[2020_12_08_05]核ごみ調査の寿都町、神恵内村に不満 周辺町村で「核抜き条例」制定の動き(毎日新聞2020年12月8日)
 
参照元
核ごみ調査の寿都町、神恵内村に不満 周辺町村で「核抜き条例」制定の動き

 原発の高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向け、文献調査が始まった北海道寿都町と神恵内村の周辺自治体で、核のごみの受け入れを拒否する「核抜き条例」制定に向けた動きが広がっている。制定を目指すのは後志管内の寿都町など5町村の反対派議員。背景には、両町村への説明不足に対する不満と風評被害への懸念などがある。【高橋由衣】

 黒松内町では7日、定例会が開会した議会(定数9)で、岩沢史朗町議が「黒松内町に放射性物質等を持ち込ませない条例」を発議した。保管や研究のための施設を受け入れないことなども盛り込んだ。
 同町は寿都町の調査への応募が明らかになった8月以降、隣接する蘭越町、島牧村と共に寿都町の片岡春雄町長に対し、周辺自治体への説明を求めてきた。
 しかし、寿都町は説明しないまま応募を決断した。岩沢町議は「誠実でない」と批判。「後志管内全体が『核のごみ』のイメージで見られる」と風評被害に懸念を示した。
 隣接する蘭越町、島牧村でも、近く開かれる定例議会に一部議員が同様の条例案を提出する見込みだ。岩沢町議は「(条例制定が)3町村だけでなく、後志管内全体に広がれば(寿都町と神恵内村が)次の調査に進むか判断する際、明確に反対姿勢を示すことになる」と意義を強調した。黒松内町議会では、10日の総務経済委員会での審議を経て11日にも本会議で可決される見通し。
 寿都町でも、一部議員が12月の定例会に同様の条例案を提出する方針だ。応募を容認した一部町議は「核のごみが持ち込まれるわけではない」とこれまで発言しており、条例案の審議過程で発言の真意が問われる可能性がある。
 神恵内村に隣接する積丹町でも、来年3月の定例会をメドに核抜き条例の制定を目指す動きがある。田村雄一町議は、2町村から調査への応募までに情報提供がなかったことを踏まえ「このまま悪い方向に進んでいってしまうのではと不信感がある。隣町として人ごととは思えない。町議全員で議論を進めている」と話す。
 今後、寿都町と神恵内村の住民を中心に事業への理解を深める対話活動を進める原子力発電環境整備機構(NUMO)は「周辺自治体に心配の声があることは承知している。周辺自治体の要望を確認し、対応していく」としている。
KEY_WORD:寿都町_調査応募検討_: