[2019_05_25_04]行き場のない「核のごみ」 国内最終処分、議論も始まらず(毎日新聞2019年5月25日)
 
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行き場のない「核のごみ」 国内最終処分、議論も始まらず

 原発保有国の課題である高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分について、政府は各国の知見を共有する会議の設置方針を明らかにした。日本では1万6000トン以上の最終処分が必要になると想定されているが、処分の基準を定める原子力規制委員会の議論も始まっていないのが現状で、政府は各国との研究協力を進めたい考えだ。
 原発からは必ず高レベル放射性廃棄物が発生する。一義的には、再処理してプルトニウムなどを取り出した後に残る廃液などを指すが、再処理しない場合は使用済み核燃料自体が核のごみとなる。
 国は核燃料サイクル政策として、青森県六ケ所村に建設中の再処理工場で再処理を計画した。計画では、フル稼働で年間最大800トンの使用済み核燃料から、約400トンの核のごみが発生する。再処理工場は2021年度上期の完成を目指して規制委の安全審査を受けているが、稼働は見通せていない。
 各原発の燃料プールの保管容量は逼迫(ひっぱく)している。燃料プールなどに保管中の使用済み核燃料からは計約1万トンの核のごみの発生があるとの試算もある。
 このため規制委は22日の会合で、九州電力玄海原発3号機(佐賀県玄海町)について、プール内の燃料の間隔を詰めて保管量を増やす方法「リラッキング」と、空冷の「乾式貯蔵」施設新設を併用する方針を容認した。電気事業連合会も両方式併用などで保管容量拡大を目指す。ただ、いずれは再処理の有無にかかわらず、最終処分しなければならない。
 日本も締結する使用済み核燃料関連の条約は、核のごみの発生国での原則処分を規定している。政府は17年7月、最終処分場選びの基礎資料「科学的特性マップ」を公表し、原子力発電環境整備機構(NUMO)などが説明会を開いている。【岩間理紀】
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