[2004_06_18_01]列島覆う大地震の危険性 迫られる備え 「阪神」を教訓に 「99%」の衝撃 人口密集地 意外に怖い確率1% 同時発生の恐れ 津波怖い海溝型 2つのタイプ 危険な東京 地震調査委員会・長期評価部会長 島崎邦彦・東大地震研究所教授 30年以内に予想される大地震(読売新聞2004年6月18日)
 

※以下は上記本文中から重要と思われるヶ所を抜粋し、テキスト化したものである
 「東海地震の切迫性は極めて高い」。中央防災会議の専門家たちは、このところ、こう力説している。迫っているのは東海地震だけではない。首都直下型、南海、東南海なども、専門家が「あす起きても不思議はない」と警鐘をならす巨大地震だ。1995年の阪神大震災を受け、国の地震調査研究推進本部が調査し続けている大地震の発生確率を見れば、日本列島が、たびたび暴れる大ナマズの背中に乗っている恐ろしさが一目でわかる。(東京本社科学部、大阪本社地方部)
 「30年以内にマグニチュード7.5前後の地震が発生する確率は99%」
 昨年6月、同推進本部が宮城県沖地震の危険度を発表すると、宮城県庁には重苦しい雰囲気が広がった。その翌月、震度6クラスの地震に相次いで襲われた県民は「30年ではなく、明日くるのでは」との切迫感を持ったという。(中略)
 関東大震災は14万人を超える死者・不明者が出たが、この80年で東京はさらに巨大化、高層化。地下街や地下鉄も広がった。都が97年にまとめた想定では、マグニチュード7.2級の直下型が起こると火災で38万棟が消失、死者7000人以上の被害が出る。
 発生確率をどう受け止めたらいいのだろう。表は「1%以上」を基準にしたが、確率はそもそもイメージしにくい。発表する側の地震調査研究推進本部は報告書で、参考となる数値として「30年間に地震以外の災害にあう確率」を以下のように挙げている。▽交通事故で死亡・・・約0.2%▽火災で死傷・・・約0.2%▽火災に被災・・・約2%▽交通事故で負傷・・・約20%
 比較すると「1%」も決して低い確率と言えないようだ。(中略)

地震調査委員会で大規模地震の発生確率が高いと評価された主な海溝型地震
(C)三陸沖ー房総沖の海溝寄り津波地震
 予想される最大地震規模   8.2前後※
 30年以内の地震発生確率(%) 20
※津波マグニチュードでの地震規模。津波マグニチュードとは、津波の高さから求める地震の規模。津波地震は揺れがそれほどでもなく、通常のマグニチュードでは実態が表せないので、この数値を使っている

2つのタイプ
 地震調査研究推進本部の地震調査委が対象としているのは「活断層帯」98カ所と「海溝型」28領域。事態が切迫しているとされる所から調査を開始し、活断層帯は57か所調査を終え、確率を公表した。最大値が1%以上は28カ所。糸魚川ー静岡構造線が14%と最も高かった。危険性の高い未知の活断層も発見され、同委事務局は「2004年度末の終了予定を延ばし、調査を継続することも検討している」という。
(中略)
危険な東京
 島崎邦彦・東大地震研究所教授

 地震の危険度から見て、東京ほど厄介な首都は、世界にないのではないか。
 死者4000人以上とされる安政江戸地震のような直下型は、東京の地下のプレート運動が複雑なので、発生予測は非常に難しい。東海地震のような海溝型地震も、いつ起きてもおかしくない。
 地震の長期評価が発表されるようになって、自治体や市民の意識は変わってきたが十分ではない。自分の住む地域の地震確率の高さだけでなく、実際の揺れがどのくらいになるのかまで知っておくべきだ。
 地盤が良く、しっかり建てた家は大地震でも倒れない。地盤が弱い所だと、すぐにでも耐震診断、補強をしないと生命にかかわる。

KEY_WORD:ANSEIEDO_:KANTOUDAISHINSAI_:TOUNANKAI_:KANTOU_:中央防災会議:東海地震:首都直下型:国の地震調査研究推進本部:安政江戸地震:関東大震災:東南海地震:糸魚川ー静岡構造線: