[2021_03_09_04]汚染水を海に流すな! 菅首相の「処分方法決定」方針は誤り 汚染水は長期保管で放射能濃度の減衰を待つべき それが福島、日本全国、世界中の人々の健康と環境の権利を守る唯一の方法 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ舎2021年3月9日)
 
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汚染水を海に流すな! 菅首相の「処分方法決定」方針は誤り 汚染水は長期保管で放射能濃度の減衰を待つべき それが福島、日本全国、世界中の人々の健康と環境の権利を守る唯一の方法 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

◎ 断片的で「間欠泉」のような菅首相の発言。新型コロナ問題でも東電福島第一原発事故でも変わらない「不鮮明」ぶりです。
 3月6日土曜日、福島第一原発事故から10年を前に、原発に出向き、またしても「間欠泉」のごとき不鮮明な断片発言を繰り返しました。
 「適切な時期に政府が責任を持って処分方針を決定していきたい」「タンクが増加し、敷地が逼迫(ひっぱく)してきている。いつまでも決定せずに、先送りするべきではない」(福島民友3月7日)
 しかし、決定するのは東電であって政府ではありません。そのことは経産省の官僚との間で何度も繰り返し確認してきたことです。規制委もその立場です。国はあくまでも処分方法を提案するだけです。

◎ 海洋投棄反対の声は日本中、世界中で

 これまで福島県や東京で行われた意見聴取のための公聴会において、ほとんどの参加者は海洋投棄に反対の声を上げました。
 賛成論を展開しているのは原子力産業に関わる人や団体に限られると言っても過言ではありません。
 また、国際的にもIAEAや原子力を推進する国などでは肯定的反応ですが、多くの市民団体が反対の声明を発し、レポートを出しています。
 その中で、昨年10月にグリーンピース・ドイツ、ショーン・バーニー氏の名で公表された「Stemming the tide 2020 The reality of the Fukushima radioactive water crisis」日本語題名「東電福島第一原発 汚染水の危機2020」の翻訳板から、「はじめに」を紹介します。
 どうぞ、原文は以下のサイトにありますので、入手し広めてください。

◎ 日本語版
https://www.greenpeace.org/static/planet4-japan-stateless/2020/10/ba82306e-radioactivewater_jp_fin.pdf
 
「東電福島第一原発 汚染水の危機 2020」(大沼淳一氏抄訳)

※ 英語版
https://www.greenpeace.org/static/planet4-japan-stateless/2020/10/5e303093-greenpeace_stemmingthetide2020_fukushima_radioactive_water_crisis_en_final.pdf

 はじめに

 2019年1月、グリーンピースは東京電力福島第一原発の放射能汚染水に関する報告書を発表した。それから2年近く経過したが、原発敷地内の汚染水問題は解決を見ていない。本報告書はそれに続くものである。汚染水にはトリチウム以外にも、ストロンチウム90、炭素14などの放射性物質が含まれる。
 海洋放出は地域の住民はもとより、広範囲にわたって長期的に大きな影響を及ぼす。海洋放出は2022年末から2023年にかけて始まり、2050年中頃まで続くと予想される。
 日本政府と東電はこれまで自らに都合のよい複数の「神話」を作り上げてきた。
 2022年までに汚染水を保管する場所がなくなる、汚染水に含まれているのは無害なトリチウムである、そして海洋放出以外の選択肢がないというものである。
 本報告書では、これらが事実ではないことを示す。これらの「神話」は経済および政治的理由から作られたものである。海洋放出は最も「安い」選択肢であるだけでなく、廃炉が順調に進んでいるという印象づくりにも役立つ。
 しかし、東電福島第一原発事故の影響は、福島県の住民はもとより、国境を超えて人々にとっての脅威であり続けている。
 東電と日本政府はこの危機をさらに深刻にしている。高濃度の炭素14が汚染水に含まれていることを明らかにしたのはつい最近のことだ。この10年間、この種の隠蔽が繰り返されてきた。
 海洋放出に対する反対は、福島の住民、福島県の市町村議会の過半数、全国漁業協同組合連合会(全漁連)、そして全国に広がっている。隣国である韓国も反対を表明している。
 しかし、日本政府はこれらの海を守ろうとする人々の声を無視し続けている。
 詳細な検討の結果、グリーンピースは、汚染水について、容認できる選択肢は長期保管と放射性物質除去技術の適用しかないと結論づけた。
 これらの選択肢は実現可能である。効果的な放射性物質除去技術を検討する間、保管を続けることは半減期が12.3年のトリチウムの量を減らすことにもなる。
 それが福島の、全国の、そして世界中の人々の健康と環境についての権利を守る唯一の方法だ。
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