宝永噴火の49日目宝永地震(講演資料#27/84)
 
【島村】もうひとつは、宝永噴火の49日前、宝永地震という南海トラフの地震がありました。これは昔のことはわかっていないのですが、この宝永地震の影響を受けて、宝永噴火が起きたようにも見える。世界的にいっても、地震の後に火山が噴火した例というのは多いんです。
【補足】
「富士山噴火 過去の前兆や大地震との連動についての基礎知識」(小山真人氏)の「2.大地震は富士山の噴火を誘発させるか」の中に「富士山の1704年異常と1707年噴火の事件推移のまとめ」という図がある。
・当講演レジュメの相当ヶ所を以下に抜粋する。
「「地震が誘発した」有名な噴火がある。1707 年の宝永地震の 49 日後に富士山が大噴火した宝永噴火だ。この噴火は富士山の三大噴火のひとつになった大きな噴火だった。関東地方にも多量の火山灰を降らせた。この火山灰は、噴火後わずか 2 時間で江戸に達した。富士山から新宿まで 100km しか離れていないことを忘れてはいけない。
 三大噴火のあとの二つは平安時代に発生した「延暦の大噴火」と「貞観の大噴火」である。そのほか、平安時代 400 年間に、富士山は 10 回も噴火している。平安時代のはじめの 300 年の間に 10回(一説によれば 12回)も噴火したのである。
 宝永噴火以来、富士山が 300 年間も噴火しない状態が続いているのは異例である。また、世界的に見ても、長い間噴火しなくて、次に噴火したときには大きな噴火になる例が多い。
 いま恐れられている「南海トラフ地震」は宝永地震が再来するような大きな規模ではないかと言われている。フィリピン海プレートが年々動いているので、地震エネルギーも年々蓄積している。じつはひとつ先代の地震、東南海地震(1944 年)と南海地震(1946 年)は歴代の先祖と比べても小さめだった。つまり、残っている地震エネルギーが次回に加算される可能性がある。
 もしこの地震が起きれば、以前と同じように火山の噴火を誘発する可能性がある。ちなみに、南海トラフ地震の先祖のひとつである慶長地震(1605 年)のすぐあとには八丈島の火山が噴火した。」