[2017_07_02_01]東電福島第1原発 汚染水対策 凍土壁ようやく完成へ 350億円投入も効果に疑問符(東奥日報2017年7月2日)
 
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 政府が主導して設置が決まった東京電力福島第1原発の汚染水対策「凍土遮水壁」は2016年3月の凍結開始以来、ようやく全面稼働のめどが立った。原子力規制委員会の正式認可を経て今秋にも完成し、主要な汚染対策が出そろう。ただ建設に国費350億円を投じながら、効果は限定的との疑問も残る。
 凍土壁は1〜4号機を取り囲むように配管を埋め、冷却材を循環させることで地中に全長約1.5キロ、深さ約30メートルの氷の壁を築く対策だ。建屋地下には炉心溶融した核燃料の冷却に使った高濃度汚染水がたまっており、ここに地下水が流入して汚染水の量が増えるのを防ぐ。建屋地下の汚染水は大津波が襲来すれば、外部にさらわれる恐れがあり、早期の処理が求められている。
 建屋周囲の地下水位が過度に下がって、建屋の汚染水が地中に漏れ出す懸念があり、建屋西側の7メートル分を凍らせずにいた。地下水位をしっかりと制御できると判断し、全てを凍結する。
 地下水の流れの上流部に配置した井戸でくみ上げた水を迂回させ海に流す「地下水バイパス」建屋近くの井戸「サブドレン」と組み合わせて、地下水が建屋に近づかないようにする。
当初、建屋に流れ込む地下水は1日当たり400トンだったが、対策が進んで現在は120〜130トン。東電は凍土壁の全面稼働によって100トン以下とする目標を掲げている。
 東電は各対策が流入量の削減にどの程度寄与しているかの内訳を示していないが、サブドレンの効果が最も大きいとみられる。規制委はサブドレンの活用に重点を置くように求めてきた。東電は「凍土壁を作り始めてから建屋に近づく水は減っている。各対策を組み合わせて目標を達成したい」としている。
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