【記事76010】<東電公判>「20m防潮堤なら津波被害低減」東北大教授(毎日新聞2018年10月2日)
 
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<東電公判>「20m防潮堤なら津波被害低減」東北大教授

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第28回公判が2日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。東日本大震災前に第1原発に防潮堤を設置していた場合の津波被害について実験した今村文彦・東北大教授(津波工学)が出廷し「高さ20メートルの防潮堤があれば、(原子炉)建屋への影響は小さかった」との見解を示した。
 実験は、検察官役の指定弁護士が今村教授に依頼して実施。第1原発の海側全面に海面からの高さ20メートルの防潮堤が建設されていた場合、東日本大震災時の津波で敷地内がどの程度浸水したかをシミュレーションした。
 この日の公判で今村教授は、実験の結果、海底の地形などから最も津波が高くなるとされていた敷地南側の4号機付近でも、浸水が50センチ以下にとどまったと説明した。
 これに対し弁護側から、震災前の想定津波(最大15.7メートル)に基づいて防潮堤を建設した場合について質問されると、「当時の想定津波では、津波が高くなる敷地の南側と北側に設置するのが合理的だった。東日本大震災の津波が起きたら、1〜4号機の建屋に浸水したと思う」と証言。現実には、浸水を防ぐのは難しかったとの考えも示した。【蒔田備憲、伊藤直孝】

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