東電裁判

 
 
< 初めに >
 東電の旧経営陣の刑事裁判は無罪判決でしたが、その後に控訴となりました。現時点(2019年9末)での東電の裁判関連の記事を年表風にまとめたのが、当記事です。参考にした記事は199件です。裁判はおそらく最高裁までいき、10年はかかるのではとも言われています。今後の裁判について、理解を深める一助となれば幸いです。

 
<  主な参考文献 >
詳報 東電刑事裁判 「原発事故の真相は」 (NHK)(※)
※引用者注:全公判(初回〜37回)及び判決公判の内容が詳細に示されている。

9.2刑事訴訟支援団公判報告集会 福島原発刑事裁判 6.30第1回公判報告 (弁護団 海渡雄一)(※)
※引用者注:初公判(2017/6/30)時の弁護団の報告がパワーポイントで共有されている。

刑事裁判傍聴記(添田孝史)

 
< 主な項目の目次 >
 
●2006/3/24:志賀原発 初の運転差し止め 金沢地裁命令
 
●2014/5/21:大飯原発運転差止 福井地裁
 
●2016/2/29:東電旧経営陣 強制起訴
 
●2016/3/9 :高浜原発運転差し止め 稼働中、初の仮処分 大津地裁
 
●2017/3/17:原発事故、国・東電に過失 前橋地裁 避難者への賠償命令
 
●2018/4/10:元副社長「対策保留」=津波対策の東電社員証言―原発事故公判・東京地裁
 
●2018/5/9 :「対策とれば事故起きず」地震学者が証言 東電公判
 
●2018/7/11:東電公判 防潮堤工程案示すも、旧経営陣が対策先送り
 
●2019/9/19:原発事故 東電旧経営陣に無罪判決「津波の予測可能性なし」


 
●1992/10/29:伊方原発訴訟で最高裁判決(wikiは コチラ
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●2001/7/3:原子力安全委員会 耐震設計審査指針改訂作業を開始
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(3)原発の耐震審査 安全委事務局 評価法変えず 既存原発への影響懸念か
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 試案は「未確立」とした確率論的な方法を指針に含めず法的根拠を与えなかったが、国による原発の工事計画認可後に電力会社が自主的に実施し、評価するように求めた。分科会では、この点にも批判が続出。「耐震性に問題あり」の結果が出ても、認可を取り消せないという問題が生じるためだ。
 なぜ、こんな中途半端な位置付けを提案したのか。
 背景には、92年10月の伊方原発訴訟の最高裁判決があるとの指摘がある。判決は既に運転している原発でも、国の設置許可が違法となるケースとして、現在の科学水準に照らして(1)審査基準に不合理な点がある。(2)判断過程に見過ごせない過誤などがある場合−を挙げた。
 関係者によると、最新知見である新方式を盛り込んだ指針で、既存原発が「耐震性に問題あり」とされた場合は(1)に該当する恐れがあり、許可取り消しという事態を懸念しているという。
 
原発の耐震審査 安全委事務局 評価法変えず 既存原発への影響懸念か 毎日新聞  2004/12/07

 
●2006/3/24:志賀原発 初の運転差し止め 金沢地裁命令
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 北陸電力の志賀原発2号機=石川県志賀町、出力135万8000キロワット、改良型沸騰水型(ABWR)=を巡り、同県を含む16都府県の住民132人が北陸電を相手に運転差し止めを求めた訴訟の判決が24日、金沢地裁であった。井戸謙一裁判長は住民側の主張を認め、初めて運転の差し止めを命じた。(中略)
 判決は、2号機に近い邑知潟断層帯について、政府の地震調査委員会が昨年3月、北陸電の想定を超える規模の地震が起きる可能性を示したことを設計に際して考慮すべきだと指摘。「想定されたM6.5の直下型などを超える地震が発生する具体的危険性があり、原発の多重防護が有効に機能すると考えられない。地震によって、周辺住民が放射線被ばくする可能性がある」と述べ、「原告のうち、最も遠方の熊本県在住者でも許容限度の年間1ミリシーベルトをはるかに超える被ばくの恐れがある」とした。(後略)
 
志賀原発 運転差し止め 金沢地裁命令 「地震の想定、過小」 商業用初 被ばく可能性認定 北陸電力「運転は継続」 毎日新聞  2006/03/24
 
原発運転、初の差し止め 志賀2号機 耐震に問題 金沢地裁判決(号外) 東京新聞  2006/03/24

 北陸電力の志賀原発2号機の運転差し止めを命じた金沢地裁判決の理由の要旨は次の通り。(中略)
 政府の地震調査研究推進本部地震調査会が05年3月9日付で公表した「邑知潟(おうちがた)断層帯の長期評価について」と題する報告は、邑知潟断層帯は将来的にも全体が一つの区間として活動すると推定し、発生する地震の規模はマグニチュード7.6程度とした。報告の評価内容に不備があるとは認められない。耐震設計審査指針に従えば、邑知潟断層帯による地震は基準地震動S2として考慮すべき地震である。(後略)
 
志賀原発差し止め判決理由(要旨) 毎日新聞  2006/03/24

 
●2006/9/19:原発の耐震設計審査指針改訂
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●2007/7/16:新潟県中越沖地震発生
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●2007/10/26:浜岡原発 運転差し止め棄却 静岡地裁判決
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 しかし、今年7月の中越沖地震の際、柏崎刈羽原発直下の岩盤で観測された揺れは1000ガル近くに達した。新指針に基づき、M8級の地震を想定しているはずの浜岡原発の最新の想定を大きく上回っており、新指針でも過小評価の恐れがあることをうかがわせた。
(前略)毎日新聞の今年8月の世論調査では、原発の耐震性に不安を抱く人は9割に達した。
 
浜岡原発 運転差し止め棄却 静岡地裁判決 「耐震安全性 確保」 毎日新聞  2007/10/26

 
(8)原発の耐震性 宮崎慶次氏 設計に余裕 石橋克彦氏 想定超え
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 石橋克彦氏
 中電は、国の中央防災会議による想定東海地震のモデルでも浜岡原発の耐震評価をし、地震が起きても安全だと主張した。判決はこれを合理的としたが、問題が多い。地震動を左右するプレート(岩板)境界面の深さや、アスペリティー(地震波を強く出す境界面の固着域)の配置を多くの研究者が疑問視しており、想定した地震動は著しい過小評価だと思われる。
 判決は、法廷での多くの科学的論争についての判断を放棄した。原発の耐震指針は昨年9月に改定されたが、旧指針でも安全だとしており、話にならない。中電が進めている耐震補強すら否定するものだ。
 中電が1854年の安政東海地震を最大の東海地震としていることも争点だったが、判決は、最大ではない可能性を否定できないとしながら、「抽象的な可能性の域を出ない巨大地震を国の施策上むやみに考慮するこ」は避けるべきだとした。驚くべき判断だ。約1000年ごとに安政地震を上回る地震が起っていることが、判決前に学会発表された。安政地震に原発の耐震性を託してはいけない。
 
原発の耐震性 宮崎慶次氏 設計に余裕 石橋克彦氏 想定超え 毎日新聞  2007/11/26

 
●2008年4月末:柏崎原発訴訟 上申書月内に再提出 住民側最高裁へ
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 さらに新潟市沖から小千谷市付近までの長岡平野西緑断層帯に連なる断層の長さの評価が不十分だったと指摘。詳細な調査を求めた専門家の意見が無視されていたことを挙げ、「控訴蕃では調べは尽くされていない」と主張、弁論の再開と裁判の差し戻しを求める。
 一方、国側の経済産業省原子力安全・保安院訟務室の畑野浩朗室長は「最高裁から連絡はない。こちらに有利な判決がいただけるものと確信している」と話している。
 この訴訟は一九七九年七月、住民側が提訴。一、二審で敗訴した住居側が二〇〇五年十二月に最高裁に上告していた。
 
柏崎原発訴訟 上申書月内に再提出 住民側最高裁へ 断層評価が不十分 新潟日報  2008/04/24

 
(10)国側の新データ出ず 争点化回避も"戦術" 法廷の限界
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中越沖地震は海底にある断層が引き起こしたものだった。しかし一、二審を通じてそれが争点に浮上することはなかった。控訴審が開始から10年目を迎えていた2003年、被告の国側は同原発周辺海域の活断層に関する新たな情報を得ていたにもかかわらずである。
 
国側の新データ出ず 争点化回避も"戦術" 法廷の限界 新潟日報  2008/04/26

 
(11)「行政判断を尊重せよ」 ちらつく最高裁"見解" 日本の裁判官
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 裁判官の世界では戦前から、「会同」と呼ばれる会議が開かれてきた。全国各地から裁判官たちが一堂に会し、判断の難しいテーマについて意見を交換、実務に生かすことを目的とする勉強会という位置付けだ。
 ある元裁判官は一九八〇年代後半、東京都内であった会同での光景を印象深く覚えている。最高裁という存在について考えさせられたからだ。
 会場の意見交換は最終盤を迎えていた。最高裁の担当幹部が議論を引き取る形で「一つの参考として申し上げます」と"見解"を語り始めた。すると、それまで聞くだけだった出席者たちが一斉にメモを取り始めたのだ。
 柏崎刈羽訴訟の一審で裁判長を務めた小野寺規夫。数回の出席経験を通じて、会同がはらむ問題を同様に感じている。「会同で出た通りの判決を出した人もいる。結果的に最高裁の言いなりのように映る」
 会同ではもちろん、原発裁判も扱われた。最高裁事務総局が柏崎刈羽訴訟一審判決が出る三年前、九一年にまとめた「府政事件担当裁判官会同概要集録」。そこにはこんな項目があった。
 「原発などの安全性の審理方法をどう考えるべきか」
 そして次のような"見解"が記されていた。、
 「裁判所は、高度な専門技術的知識のあるスタッフを持つ行政庁のした判断を一応、尊重して審査に当たるべきである」
 
「行政判断を尊重せよ」 ちらつく最高裁"見解" 日本の裁判官 新潟日報  2008/05/02

 
(12)裁判官の苦悩 難解な技術論に不安も
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 「理解しているつもりではいたが、法律家の自分が技術論をどこまで追えるのか不安もあった。最初は原発の知識は全くなかった」
 新潟大大学院教授の西野喜一(五九)は新潟地裁の裁判官だった当時を振り返り、そう語った。東京電力柏崎刈羽原発1号機の設置許可取り消し訴訟と向き合ったのだ。
 別のプレッシャーが加わることもあると言う。最高裁の「通達」である。
 通達は下級裁判所に対し、国などが訴えられた行政訴訟を扱う場合に、審査過程の報告を義務付けたものだ。最高裁は目的を「統計に残すため」.と説明する。
 しかし、西野の解釈は異なる。「国家に影響しかねないことは報告しろ、ということ。裁判記録の表紙に『報告事件』の押印があれば、圧力に感じる人もいる」
 
裁判官の苦悩 難解な技術論に不安も 新潟日報  2008/05/02

 
●2009/3/18:志賀原発訴訟 住民側逆転敗訴 高裁金沢支部 1審の差し止め破棄
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志賀原発訴訟 住民側逆転敗訴 高裁金沢支部 1審の差し止め破棄 毎日新聞  2009/03/18

 
●2011/3/11:東電福島第一原発事故発生
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(15)原発への危惧が的中 天仰ぐ「冤罪」前知事
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佐藤 私が知事時代にプルサーマルの安全性は確認できないとストップをかけていたからでしょうか、取調室で特捜検事は「知事は日本のためによろしくない。いずれ抹殺する」と断言しました。ストーリーを先につくって、事実を違えても無理やり当てはめてしまう特捜部と、世界中で中止された核燃料サイクルを強引に推し進めてきた経産省は全く同じ官僚の病、「経路依存症」です。はからずも厚労省局長事件と福島原発事故で共に破綻し、原発政策と対峙していた私の存在が世に広く知られ、無実を大勢の方々が信じてくれるようになりました。しかし、ふるさと福島はメチャメチャです。我が身を切られるようです。
※引用者注:佐藤栄佐久氏自身の裁判の事、この記事の翌年、2012/10/16に最高裁が高裁の上告を棄却して高裁判決が確定した。
 
原発への危惧が的中 天仰ぐ「冤罪」前知事 FACTA  2011/05/11

 
(16)国会事故調「日本文化論」についての一考察
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 いくつかの英米メディアは公表直後の記事で、黒川委員長が序文に書いた「Man-made disaster」「Made in Japan」といった表現を引いて「人災」や「日本製の災害」と見出しをつけ、事故の原因として「日本の文化」を挙げていることを紹介した。(中略)
 しかし、日本の「文化」「国民性」にまで踏み込んだ部分、踏み込もうとした部分は民間事故調の報告書のどこにもない。むしろ、1974年の原子力船むつの放射能漏れに端を発した反原発運動の盛り上がり、1978年の伊方原発裁判判決などによって、安全への疑念を払拭するために「絶対的な安全性を唱え、事故が起きることを想定することすら許さない環境が出来上がった」と指摘しており、黒川委員長が「集合主義」と評したのとは逆のベクトルが働いたという説明になっている。
 
国会事故調「日本文化論」についての一考察 BLOGOS  2012/07/13

 
(17)原発安全性「本格審査を」 最高裁研究会 裁判官に改革論
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 最高裁が開いた原発訴訟をめぐる裁判官の研究会で、国の手続きの適否を中心としてきた従来の審理にとどまらず、安全性をより本格的に審査しようという改革論が相次いでいたことが三十日、共同通信が情報公開請求で入手した最高裁の内部資料などで分かった。 
 裁判所はこれまで原発訴訟のほとんどで「手続き上適法」などとして訴えを退けてきた。改革論が浮上した背景には、東京電力福島第一原発事故を踏まえ、このままでは司法の信頼が揺らぎかねないとの危機感があるとみられる。原発訴訟の審理の在り方に変化が起きる可能性がある。
 
原発安全性「本格審査を」 最高裁研究会 裁判官に改革論 東京新聞  2012/08/31

 
●2013/2/15:大飯原発 差し止め訴訟開始
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大飯原発 差し止め訴訟開始 東京新聞  2013/02/15

 
(19)函館市:大間原発差し止め提訴へ 市長「泣き寝入りせず」
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 大間原発青森県大間町の建設差し止めを求め、北海道函館市は来月3日、国と事業者のJパワー電源開発を相手取り東京地裁に提訴する。自治体が原告となって原発の差し止め訴訟をするのは初めてだ。工藤寿樹としき市長64は毎日新聞のインタビューに応じ、「福島で事故を起こしたわれわれの世代が、これ以上原発を増やすべきでない」と訴訟の理由を説明する。【聞き手・鈴木勝一】
 
函館市:大間原発差し止め提訴へ 市長「泣き寝入りせず」 毎日新聞  2014/03/23

 
(20)最高裁での原発訴訟などの研究会の資料
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 福島第一原子力発電所の事故後、原発訴訟のあり方について最高裁が研究会を開催したとの報道があった。
  原発安全性、本格審査を 最高裁研究会、福島事故踏まえ改革論日経 2012年8月31日
 どのような検討が行われたのか、最高裁に情報公開を求めて公開されたのが以下の掲載文書。(中略)
 原発訴訟について問題とされているのは、大枠でいえば、伊方原発最高裁判決の手法、原発事故を受けて考慮すべき点、設置基準などが政府内で検討中の場合の対応、中立な専門家不在という問題、専門的評価をどのように行うか、同種の訴訟での裁判所間の情報共有など。
 
最高裁での原発訴訟などの研究会の資料 情報公開  2014/05/16

 
●2014/5/21:大飯原発運転差止 福井地裁
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 福井地方裁判所は、2014年5月21日、関西電力株式会社に対し、大飯原子力発電所以下「大飯原発」という。から半径250km圏内の住民の人格権に基づき、同原子力発電所3号機及び4号機の原子炉について、運転の差止めを命じる判決を言い渡した。本判決は、仮処分決定を除くと、2011年3月の福島第一原発事故以降に言い渡された原発訴訟の判決としては初めてのものである。
 
福井地裁大飯原発3、4号機差止訴訟判決に関する会長声明 日弁連  2014/05/21

大飯原発3、4号機運転差止請求事件判決要旨

主文
1  被告は、別紙原告目録1記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏内に居住する166名)に対する関係で、福井県大飯郡おおい町大島1字吉見1-1において、大飯発電所3号機及び4号機の原子炉を運転してはならない。
2  別紙原告目録2記載の各原告(大飯原発から250キロメートル圏外に居住する23名)の請求をいずれも棄却する。
3  訴訟費用は、第2項の各原告について生じたものを同原告らの負担とし、その余を被告の負担とする。
 
【速報】大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文を掲載します NPJ  2014/05/21
 
原告勝訴の大飯原発訴訟 最高裁研議論 判決に影響か 東奥日報  2014/05/23

 
●2014/8/2:検察審査会が東電・勝俣元会長等を「起訴相当」
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 東京第5検察審査会が出した「起訴相当」の議決に拍手喝采が起きている。
 福島県民ら約5700人は2年前、勝俣恒久元会長74など東京電力元幹部ら42人を業務上過失致死傷などで告発したが、東京地検が昨年9月に出した処分は「不起訴」。検察審査会はこれをひっくり返し、勝俣元会長と、原子力担当だった武藤栄、武黒一郎両元副社長について「起訴相当」と議決をした。
 東京地検は再捜査した上で、起訴か不起訴か改めて判断するが、再び不起訴としても、検察審査会がまた「起訴相当」の判断をすれば、強制起訴されて裁判になる。
 
検察審査会が「起訴相当」東電・勝俣元会長が有罪になる日 ゲンダイ  2014/08/02

 
(23)原発訴訟で国と東電の責任を裏付ける文書
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 国が提出した上申書には、裁判の帰趨にも影響を与えかねない、驚くべき内容の資料が添付されていたのである。
 「(97年)5月26日に実施された太平洋沿岸部地震津波防災計画手法調査委員会(以下、四省庁委員会)の検討資料に基づき、太平洋側の原子力地点での津波高さの検討を行った」
 「その結果、四省庁資料から読み取った津波高さは、福島第一、福島第二および東海第二のそれぞれの発電所において、冷却水取水ポンプモータのレベルを超える数値となっている」
「また、四省庁委員会が設定した想定地震の断層パラメータ(相似則による平均値)を用い、電力独自に数値解析した結果、福島第一、福島第二、東海第二、浜岡ともに、余裕のない状況となっている」
 「以上のような状況下において、四省庁委員会が設定した想定地震の断層パラメータのバラツキおよび計算誤差を考慮して、仮に上記値の2倍の津波高さの変動があるものとすると、太平洋側のほとんどの原子力地点においては、低下水位は冷却水取水ポンプ吸込口レベル以下となるとともに、水位上昇によって冷却水取水ポンプモータが浸水することとなる」
 
原発訴訟で国と東電の責任を裏付ける文書 東洋経済  2014/08/20

 
●2015/4/14:高浜原発再稼働差し止め 福井地裁
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高浜差し止め 福井地裁「新基準、合理性欠く」 審査 根底から否定 毎日新聞  2015/04/15

 
(25)福島第1事故 予見可能 福島地裁 津波研究者が証言 生業訴訟
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 地震・津波研究の第一人者、元東大地震研究所准教授の都司嘉宣(つじ・よしのぶ)氏が原告承認に立ち、地震や津波によって東京電力福島第1原発事故が起きることを予見し、被害を防ぐことが可能だったことについて証言しました。
 
福島第1事故 予見可能 福島地裁 津波研究者が証言 生業訴訟 赤旗  2015/05/20

 
●2015/12/24:高浜原発再稼働容認 福井地裁
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高浜原発再稼働容認 逆転判断に「何がおきているのか」 東奥日報  2015/12/25

 
●2016/2/29:東電旧経営陣 強制起訴
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 東京電力福島第1原発事故をめぐり、勝俣恒久元会長ら東電旧経営陣3人が強制起訴された。これまでの事故調査で、東電が大津波の試算をしながら、対策を先送りにした経緯が明らかになっているが、当事者から責任を認める姿勢はうかがえない。事故から5年。未曽有の原子力災害に対する責任の在り方があらためて問われる。
 政府の事故調査・検証委員会の報告書などによると、政府の地震調査研究推進本部が2002年にまとめた東北地方太平洋沖での津波地震に関する長期評価を踏まえ、東電は08年、明治三陸地震クラスの地震が福島県沖で発生した想定で、第1原発の津波被害を試算した。
 この時、得られたのは敷地南側で最大15.7メートルまで津波が遡上するという結果だった。この3年後、まさに同規模の津波が第l原発に到達することになる。
 
東電旧経営陣 強制起訴 未曽有の災害 大津波試算、対策先送り 東奥日報  2016/03/01

 
●2016/3/9:高浜原発運転差し止め 稼働中、初の仮処分 大津地裁
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稼働中、初の仮処分 大津地裁、新基準に疑問 高浜3号機きょう停止 東奥日報  2016/03/10
 
関電高浜原発3・4号機の運転差し止め 大津地裁仮処分決定 日経新聞  2016/03/09
 
高浜運転差し止め 大津地裁決定(要旨) 毎日新聞  2016/03/09
 
<高浜原発>運転差し止め 稼働中、初の仮処分 大津地裁 毎日新聞  2016/03/09
 
クローズアップ2016 高浜運転差し止め 新基準への不安指摘 毎日新聞  2016/03/10
 
高浜差し止め 福島踏まえた合理的判断だ 京都新聞  2016/03/10
 
【社説】高浜原発に停止命令 フクシマを繰り返すな 東京新聞  2016/03/10
 
高浜原発運転差し止め仮処分 大津地裁決定(3月9日)全文 中日新聞  2016/03/10
 
高浜原発3号機が停止 佐賀新聞  2016/03/12

 
(29)関電・八木社長 「逆転勝訴なら損害賠償も」 怒る住民「裁判封じ」
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関電・八木社長 「逆転勝訴なら損害賠償も」 怒る住民「裁判封じ」 東京新聞  2016/03/24

 
●2016/4/6:川内原発 差し止め棄却 福岡高裁
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川内原発 差し止め棄却 福岡高裁 新規制基準「合理的」 東奥日報  2016/04/06
 
川内原発 割れた司法判断「なぜ」 住民、落胆と怒り 毎日新聞  2016/04/06
 
「社会通念」盾に安全軽視 川内原発停止認めぬ決定 高裁支部 東京新聞  2016/04/07
 
川内原発差し止め認めず 割れる司法判断にも課題 福井新聞  2016/04/07
 
社説 川内抗告審棄却 住民の不安は拭えない 京都新聞  2016/04/07

 
●2016/4/14:高浜原発 差し止め提訴 老朽1、2号機の延長「待った」
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高浜原発 差し止め提訴 老朽1、2号機の延長「待った」 東京新聞  2016/04/14

 
●2016/4/27:福島の避難患者死亡は「原発事故が原因」、東電に賠償命令
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福島県大熊町の双葉病院に入院し、福島第1原発事故後に避難先で死亡した患者2人の遺族が東京電力に計約6600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(中吉徹郎裁判長)は27日、「長時間の搬送など過酷な環境にさらされた」として原発事故が死亡につながったと認め、東電に計約3100万円の支払いを命じた。
 双葉病院から避難した患者の死亡をめぐる判決は始めて。
 
福島の避難患者死亡は「原発事故が原因」、東電に賠償命令 東奥日報  2016/04/28

 
●2016/6/17 :高浜原発、運転禁止継続 仮処分の効力停止認めず 大津地裁決定
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高浜原発、運転禁止継続 仮処分の効力停止認めず 大津地裁決定 東奥日報  2016/06/17
 
高浜原発 運転停止継続 3、4号機 関電の申し立て却下 東京新聞  2016/06/17

 
●2016/7/12:高浜原発差し止め 問電の異議退ける 大津地裁
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高浜原発差し止め 問電の異議退ける 大津地裁 東奥日報  2016/07/13

 
(35)NHK解説スタジアム8/26(文字起こし)
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●島田(政治・安全保障担当) 今、司法の判断の話が出ましたよね。これは時代背景の大きな変化の現れですよ。30年前でしたら、裁判官が常識的な判断というのはそれは「運転を認める」とイコールなんですね。しかし福島第一原発、あの事故の後、「常識的な判断」と。常識的な判断というときにはものすごく幅が広くなった。これがやはり置かれている環境の大きな変化ですよね。で、国民もまたそれを支持している面がある。もちろん電力会社の人たちの中には「一裁判官の判断で右や左に行っていいのか」と強い批判はありますけれども、その後ろに国民の厳しい目があると、そういう、やっぱり、リスク。コストというものを背負わなければ、原子力発電っていうのはもう、立ちいかないところに来ている。これは現実の問題として受け止めなければいけないと思うんですね。
●竹田(経済担当) そこにちょっと関連して言いますと、なぜこの司法の判断が重要になってくるか?またするかということの一つの原因は、私は原子力規制委員会にあるとおもいますよ。
 「安全性を保証するものではない」明確に何度も言うんですよ。
規制委員会がやっているのは「基準に適合したかどうかを審査しているので、安全性を保証するものではない」と何度も言っているわけですね。
 じゃあ、地元住民はどうすればいいんですか?
 要するに電力会社は、そこでどんどん再稼動の動きを進める。規制委員会が、安全性をきちんと審査してそれにお墨付きを与えたと思ったら、規制委員会は「安全性は保証しません」と言う。そうすると地元住民は、「じゃあ、それは裁判所に判断してもらうしかないじゃないか」と、こうなるわけですよね。ですから、やはり基本的に規制委員会として、少なくとも現在の知見ではこれは、規制委員会としてはこのレベルを超えたものは安全だと、そう認定するんだという態度はきちっと出して欲しいと思うんですよね。
 
NHK解説スタジアム8/26(文字起こし) Happy  2016/08/26

 
(36)政府未公開「勝俣調書」年内にも提出判断 東京地裁が意向
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 二〇一一年の東京電力福島第一原発事故で津波対策などを怠り巨額の損失を出したとして、東電の個人株主が歴代経営陣に損害賠償を求めている株主代表訴訟の第二十八回口頭弁論が十三日、東京地裁で開かれた。大竹昭彦裁判長は、政府事故調査・検証委員会の「聴取結果書(調書)」のうち、政府が公開していない勝俣恒久元会長(76)や武藤栄(66)、武黒一郎(70)両元副社長らの調書について「年内にも提出命令を出すかどうか判断したい」と述べた。
 勝俣元会長らの調書は、原告側が「経営陣が津波対策を怠ったことを明らかにするのに不可欠」として文書提出命令を申し立てており、提出されれば原告側に開示されることになる。東電が防潮堤建設といった本格的な津波対策を先送りした理由など、新たな事実が出る可能性があると期待される。
 
政府未公開「勝俣調書」年内にも提出判断 東京地裁が意向 東京新聞  2016/10/13

 
●2017/3/17:原発事故、国・東電に過失 前橋地裁 避難者への賠償命令
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【予見可能性】
(中略)
 国の地震調査研究推進本部が策定・公表する「長期評価」は、最も起こりやすそうな状況を予測したもの。2002年7月31日に策定された長期評価は、三陸沖北部から房総沖の日本海溝で、マグニチュード(M)8クラスの地震が30年以内に約20%、50年以内に約30%の確率で発生すると推定した。原発の津波対策で考慮しなければならない合理的なものだ。公表から数カ月後には想定津波の計算が可能だった。東電が08年5月ごろ「敷地南部で15.7メートル」と試算した結果に照らし、敷地地盤面を優に超える計算結果になったと認められる。
 東電は、非常用電源設備を浸水させる津波の到来を、遅くとも公表から数カ月後には予見可能で、08年5月ごろには実際に予見していた。(後略)
 
原発事故 国と東電に賠償命令 「巨大津波予見」の衝撃 全国の避難者訴訟 影響も 東奥日報  2017/03/18

 福島第1原子力発電所事故後に福島県から避難した住民らが国と東京電力に損害賠償を求めた集団訴訟の判決で、前橋地裁(原道子裁判長)は17日、「津波の到来を予見でき、事故を防ぐことができた」としてそれぞれの賠償責任を認めた。原発事故で国の賠償責任を認めた判決は初。東電に適切な安全対策を取らせなかった点を違法とした。
 原発事故の集団訴訟は18都道府県で約1万2千人が争っている。判決は前橋地裁が初めて。
 原裁判長は判決理由で、2002年7月に政府の地震調査研究推進本部がまとめた長期評価の想定を根拠として挙げた。マグニチュード8クラスの地震が指摘され、「遅くとも02年7月から数カ月後の時点で、事故を発生させる規模の津波の到来を予見できた」とした。
 
原発事故で国の責任認定 前橋地裁「津波は予見できた」 日経新聞  2017/03/17

 東京電力福島第1原発事故の避難者らによる集団訴訟で、国と東電の責任を認めた17日の前橋地裁判決は、東電が東日本大震災の約9年前には津波に原発が襲われることを知り得たと認定するとともに、原子力政策を推し進めながら東電に対策を命じなかった国の怠慢を批判した。一方で、原告側が求めていた賠償額とは大きな隔たりがあり、被害者救済という面ではなお課題を残したと言える。
 
原発避難者訴訟判決 国・東電の無策非難 「安全より経済優先」 毎日新聞  2017/03/18

 東京電力福島第1原発事故で福島県から群馬県などに避難した住民ら45世帯137人が東電と国に計15億0700万円の損害賠償を求めた訴訟の判決言い渡しが17日、前橋地裁であった。原道子裁判長は「巨大津波は予見でき、対策をすれば事故は防げた」とし、同事故を巡る集団訴訟で初めて東電と国に賠償責任を認め、計3855万円の支払いを命じた。全国で約30件ある同種訴訟にも影響しそうだ。
 
国と東電に責任 3855万円賠償命令 原発訴訟で前橋地裁 上毛新聞  2017/03/18

 未曽有の原子力災害から6年、その法的責任は曖昧にされてきた。原告住民の訴えの核心は、国と東電の責任をはっきりさせ、現実を直視させて二度と事故を起こさせないことにほかなるまい。
 暮らしと故郷を奪われ、今も約8万人が県内外で避難生活を送っている。福島では、避難の長期化などが原因で亡くなる「震災関連死」が地震と津波で亡くなった人を上回っており、被害は現在進行形だ。
 
原発避難者訴訟  事故の本質突いた判決 京都新聞  2017/03/18

 裁判では、東電と国は責任逃れの姿勢に終始。東電は「巨大津波は予見できなかった」といい、国は「防潮堤建設などを命じるような規制権限はなかった」と逃げていた。判決では津波の予見性について、東京電力は遅くとも2002年には津波が来ることを予見でき、国は07年には東電に津波対策を命じるべきだったとバッサリ。
 
福島原発事故「防げた」 前橋地裁が国と東電“断罪"の衝撃 ゲンダイ  2017/03/18
 
原発事故、国・東電に過失 前橋地裁 避難者への賠償命令 東京新聞  2017/03/18

 
●2017/3/28:高浜原発 再稼働へ 3,4号機 運転禁止取り消し 大阪高裁
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高浜原発 再稼働へ 3,4号機 運転禁止取り消し 高裁「新基準に合理性」 東奥日報  2017/03/29
 
高浜原発再稼働へ 大阪高裁、運転差し止め覆す 京都新聞  2017/03/28
 
高浜原発3・4号機 再稼働認める判断 大阪高裁 NHK  2017/03/28
 
<原発避難者訴訟>国と東電が控訴 「津波予見できた」不服 毎日新聞  2017/03/30

 
●2017/3/30:伊方原発3号機 運転差し止め認めず 広島地裁
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伊方原発3号機 運転差し止め認めず 広島地裁「不合理でない」 東奥日報  2017/03/31

 
(40)伊方原発運転停止の申し立て退ける 広島地裁
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伊方原発運転停止の申し立て退ける 広島地裁 NHK  2017/03/30

 
●2017/4/14:原発事故で農地汚染 原状回復の訴え却下 福島地裁支部
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 東京電力福島第一原発事故で農地を汚染されたとして、福島県の5市町村の農家8人と農業法人1社が、土壌の放射能性物質濃度を事故前の水準に戻すよう東電に戻すよう東電に求めた訴訟の判決で、福島地裁郡山支部(上払大作裁判長)は14日、訴えを却下した。原告側は控訴する方針。
 
原発事故で農地汚染 原状回復の訴え却下 福島地裁支部 東奥日報  2017/04/15

 
●2017/6/13:玄海原発 再稼働差し止め却下
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<玄海原発>「残念」住民ら怒り込め 再稼働差し止め却下 毎日新聞  2017/06/13
 
玄海原発、差し止め却下 「九電の説明うのみ」住民不安 佐賀新聞  2017/06/14

 
●2017/6/30:東電元幹部初公判
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 事故から6年。津波で全電源を失う可能性が高いと自らの調査で知りながら対策は先延ばし。一体誰が命じたのか。ようやく刑事訴訟の裁判が始まる。
「今なお様々な困難を抱える告訴人や多くの人、公判開始を見ることなく亡くなった方も大勢います。これほど甚大な被害を引き起こしたこの事故の責任を、公正な裁判により明確にしてほしいと、心から願います」
 東京電力の勝俣恒久元会長、原発担当だった武藤栄、武黒一郎の両元副社長の3人に、福島第一原発事故を引き起こした刑事責任はあるのか。それを問う裁判の初公判が6月30日、東京地裁で行われる。冒頭はこの裁判が決まった際に福島原発告訴団の武藤類子団長が話した言葉だ。この3人、一体どう出るか。
 裁判のポイントは二つある。一つは2008年、東電社内で津波対策を「先延ばし」したのは誰だったのか。もう一つは事故に関して検察だけが持つ膨大な資料が公開されることだ。
 
津波“無策3兄弟"の罪 東電元幹部初公判 アエラ  2017/06/28

 東京電力福島第1原発事故の刑事責任を巡る強制起訴裁判が30日、東京地裁で始まった。午後の法廷で、検察官役の指定弁護士は主張を裏付ける証拠として、東電内部の打ち合わせメモや担当職員らによるメールのやりとりなどを次々に明らかにした。
 東電の津波対策の担当者が2008年に送ったとされるメールには「マグニチュード(地震の規模)8の地震を設定すると、(想定される津波の高さは)従前を上回ることは明らか」などと記載され、「(原発を)停止させないロジック(論理)が必要」とも書かれていたと説明した。
 
原発事故_東電内部のメモやメール、次々に明らかに 毎日新聞  2017/06/30

 指定弁護士の冒頭陳述によると、東電子会社は、政府の地震調査研究推進本部が02年に公表した長期評価を基に、福島沖で大地震が起きたとの想定で試算した結果を東電に提示。最大15.7メートルの津波襲来に備え、海抜10メートルの敷地に10メートルの防潮提を設置するなど、大がかりな工事が必要だとも報告した。(後略)
 
津波試算、予見性立証の柱 弁護側「対策しても防げず」 東奥日報  2017/07/01
 
詳報_東電刑事裁判_「原発事故の真相は」 NHK  2017/07/01

 
●2017/7/21:運転差し止め認めず 伊方原発3号機で松山地裁
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運転差し止め認めず 伊方原発3号機で松山地裁 「基準地震動、適切に考慮」 東奥日報  2017/07/22
 
<伊方3号機停止認めず>車ない住民「死を待つしか」 毎日新聞  2017/07/21

 
(45)東電福島第一原発大事故の責任を問う_勝俣・武藤・武黒の刑事裁判始まる
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 「結果回避可能性」とはあまり聞き慣れないが、福島第一原発事故において最も端的に指摘できるのは「原発を止めておけば良かったではないか」であろう。
 現に、津波をかぶった1号機から6号機の内、運転を止めていた4〜6号機は炉心溶融も使用済燃料の溶融も起こらなかった。4号機の使用済燃料プールが危機的状況になったが、これは隣接する3号機の爆発と、4号機自体も爆発で破壊されたことが原因だ。この爆発原因は解明されたとは言い難いが、この際は水素爆発であったとしても結論には大きな違いはない。
 止めていたので最悪の事態を免れたのだから、全原発が止まっていたら、やはり大量の放射性物質の放出はなかったと考えられる。これなら津波対策について事故のわずか4日前に原子力安全・保安院に報告した時に、一緒に停止していたら事故は起きなかった。「たった4日で何が出来るのか」との反論は当たらない。
 
東電福島第一原発大事故の責任を問う_勝俣・武藤・武黒の刑事裁判始まる たんぽぽ  2017/08/07

 
(46)福島原発事故刑事訴訟への「印象操作」払拭するパワポ公開
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 集会では、同告訴団の弁護団を務める海渡雄一弁護士がパワーポイントを使い、6月30日に開かれた初公判で明らかになった事実を解説。2006年以降、東電社内では10メートルを超える大津波への対策が検討され、09年6月までにその対策を完了させる計画があった事実や、その後、この計画が先送りされて葬られた事実。そして検察や政府事故調査委員会はこうした事実を把握していながら隠蔽し、不起訴処分としていた事実などが紹介され、海渡弁護士は「このパワポのデータは皆と共有する。これを使って誰でも説明できるようになってほしい」と訴えた(パワポのデータは URL で公開中)。
 
福島原発事故刑事訴訟への「印象操作」払拭するパワポ公開 週刊金曜日  2017/09/21

 
●2017/9/22:原発避難者千葉訴訟 国の責任否定
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 東京電力福島第1原発事故による避難者らが全国の裁判所に起こした集団訴訟で、22日の干葉地裁判決は、国と東電の賠償責任を初めて認めた3月の前橋地裁判決とは異なり国の責任を否定し、東電にだけ賠償を命じた。「ふるさと喪失」に対する賠償を認めるなどの前進もあったが、原告側は「不当判決だ」と反発。国側は安堵した。原告数が最大規模の約3800人の福島訴訟は10月に判決を控え、被災者に不安が広がった。
 
原発避難者千葉訴訟 東電だけ責任「不当」 不安募らせる被災者 原発避難者千葉訴訟の争点と判決 判決要旨 東奥日報  2017/09/23

 東京電力福島第一原発事故で福島県から千葉県などに避難した十八世帯四十五人が、国と東電に計約二十八億円の損害賠償を求めた集団訴訟の判決が二十二日、千葉地裁であった。阪本勝裁判長は「国は巨大津波を予測できたが、対策を講じても事故を回避できなかった可能性がある」などと述べ、国への請求を退けた。東電に対しては、十七世帯計四十二人に計三億七千六百万円を支払うよう命じた。
 全国で約三十ある同種訴訟のうち、初判決となった三月の前橋地裁判決は、国と東電の責任を共に認めており、二件目の今回は異なる判断が示された。
 
【社会】津波対策、国の責任否定 「原発事故を回避できなかった可能性」 東京新聞  2017/09/23

 津波を予見できた。それは千葉地裁も認めたが、事故を回避できなかった可能性がある。福島第一原発事故の損害賠償を求めた判決は、三月の前橋地裁判決から論理が大きく後退した。残念だ。
 「不当判決」と原告側弁護士は法廷を出て述べた。それは判決の論理が、原告側が主張したものとは全く違っていたからだ。津波と事故の因果関係から、国や東京電力に法的責任があることを明確にすることだ。
 
【社説】原発・千葉訴訟 論理が後退している 東京新聞  2017/09/23

 更に詳細として、非常用電源の高台設置などの対策を講じたとしても「津波の規模の大きさなどから、原発事故を回避できなかった可能性がある」ので、国が2006年時点で、全電源喪失の回避措置を東電に命じなかったことが、著しく合理性を欠くとは認められない、と述べているようです。このような論理を理解できる人はいるでしょうか?
 
9月22日原発千葉集団訴訟判決の出鱈目 このような低レベルの裁判官は即刻辞めてもらいたい たんぽぽ  2017/09/25

 
●2017/10/10:福島第1原発事故 被災者訴訟 国・東電の責任認定 福島地裁 5億円賠償命令
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 東京電力福島第1原発事故の被災者約3800人が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、福島地裁は10日、国と東電の責任を認定し、原告約2900人に総額約5億円を支払うよう命じた。(中略)
 金沢秀樹裁判長は、政府機関が2002年に発表した地震に関する「長期評価」に基づき直ちに試算すれば、国と東電は敷地を大きく超える15.7メートルの津波を予見可能だったと指摘。国が02年中に東電へ対策を命じていれば事故は防げたとして「国の規制権限の不行使は著しく合理性を欠いていた」と結論付けた。
 
福島第1原発事故 被災者訴訟 国・東電の責任認定 福島地裁 5億円賠償命令 東奥日報  2017/10/11

 このため、福島の原告団は「被ばくへの不安は共通している」と主張し、原告それぞれの個別賠償でなく、避難区域の内外に関わらず、居住地の空間放射線量が事故前の水準(毎時0.04マイクロシーベルト以下)に戻るまで月5万円を支払うよう求めた。
 
<福島原発訴訟>賠償拡大、可能性開く 毎日新聞  2017/10/10

 約1万2000人の避難者らが全国の地裁に起こした約30件の集団訴訟の中で判決は3件目。原告数は最も多い。3月の前橋地裁判決は国と東電の賠償責任を認めて原告62人に総額約3800万円を支払うよう命じていたが、9月の千葉地裁判決は国の賠償責任を否定。東電のみに対して原告42人に総額約3億7600万円を支払うよう命じていた。
 
原発事故訴訟 国と東電に賠償命じる 福島地裁判決 毎日新聞  2017/10/10

 東京電力福島第1原発事故の被災者約3800人が国と東電に損害賠償などを求めた訴訟の判決で、福島地裁(金沢秀樹裁判長)は10日、国と東電双方に賠償を命じた。全国で約30件ある同種の集団訴訟で3件目の判決で、双方の賠償責任を認めたのは3月の前橋地裁に続き2件目。原告数は最大規模。
 
国と東電に再び賠償命令 原発被災者集団訴訟、福島地裁 共同通信  2017/10/10

 東京電力福島第1原発事故の被災者訴訟で国と東電に賠償を命じた10日の福島地裁判決は、賠償基準を定めた国の指針では被害が十分に救済されていない実態を改めて浮き彫りにした。賠償命令は前橋、干葉に続く3地裁連続で、専門家からは「指針は崩壊している」との指摘も。福島では地域による賠償の格差が住民の分断を生み、復興に暗い影を落としている。
 
国の指針 もはや「崩壊」 原発事故訴訟 賠償命令3地裁連続 額の格差 被災者を分断 判決要旨 東奥日報  2017/10/11

 東京電力福島第一原発事故をめぐる裁判が各地で続いている。「津波は予見可能で事故は避けられた」と訴える被害者に対し、東電や国は「大津波の予測はまだ確実ではなかった」と反論。だが実際は違う。国や東電の主張を覆す報告書が政府機関から出てきたのだ。
 報告書は「『発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針』の改訂に伴う東北電力株式会社女川原子力発電所第1号機、第2号機及び第3号機の耐震安全性評価に係るクロスチェック解析の報告書─地震随伴事象(津波)に対する安全性評価に係る解析─」。旧原子力安全・保安院が2010年4月30日に指示し、旧原子力安全基盤機構(JNES)が同年11月30日にまとめたもの。今年7月13日付で原子力規制委員会が開示した。
 
東電・福島第一原発事故 「津波予測不能」を覆す新資料の中身とは? AERA  2017/10/11

 国と東京電力の両方に賠償を命じた福島地裁の判決だった。原発事故の被災者ら約四千人が起こした裁判で、津波の予見性とその対策をしなかった責任を明確にした点は極めて大きな意味がある。
 「なりわいを返せ、地域を返せ」のスローガンで全国最大規模の訴訟だった。原告は福島の全五十九市町村ばかりでなく、宮城、茨城、栃木にまたがった。
 居住地の放射線量を事故前の水準に戻す「原状回復」を求めたが、これは認められなかった。だが、国と東電に対し、約五億円の賠償を認めた。この判決が画期的といえるのは、原告勝訴に導いた論理の明快さといえる。
 
【社説】福島原発判決 国の責任を明確にした 東京新聞  2017/10/11

 
(49)資格なき東電柏崎刈羽再稼働容認 (その1) 規制委員会の更田新体制も露骨な再稼働推進機関
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 更田氏は9月6日の会合で東電擁護の以下の発言をしました。
○東電の技術力が劣っていたから福島第一原発事故が起きたのではない
○どこの電力会社でもあれだけの津波に襲われた場合には事故に至った
○技術力や安全文化で特に東電が劣っていたと考えるのは間違いではないか
○東電が悪かった、だから事故が起きたというのは一種の思考停止であって、今後の原子力安全をを考える上でマイナスの面もある等々。
 更田氏は、巨大な津波の来襲が科学的に予測されていて、その対策を規制側も東電も検討したのに、実行するのを怠ったこと、それ故当時の東電幹部が起訴され、刑事裁判にかけられていることを無視しています。
 
資格なき東電柏崎刈羽再稼働容認 (その1) 規制委員会の更田新体制も露骨な再稼働推進機関 たんぽぽ  2017/10/19

 
(50)福島原発事故の被害者団体がGEに対して“500ミリオンドルの集団訴訟" ボストンの連邦裁に提訴
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 11月17日、福島第一原発事故の被害を受けた住民や医師、企業などからなる被害者団体が、福島第一の原子炉を設計したジェネラル・エレクトリック社(GE)に対して、500ミリオンドル(約560億円)の集団訴訟を、ボストンの連邦裁判所に提訴した。被害者団体は、原発事故は、GEが行った原子炉の設計や建設場所、不十分な安全対策などに起因し、事故により莫大な被害を受けたとして、同社に賠償を求めている。
 
福島原発事故の被害者団体がGEに対して“500ミリオンドルの集団訴訟" ボストンの連邦裁に提訴 飯塚真紀子  2017/11/21

 
(51)社説:大飯再稼働へ 未解決課題が多すぎる
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社説:大飯再稼働へ 未解決課題が多すぎる 京都新聞  2017/11/29

 
●2017/12/13:伊方3号機運転差し止め決定
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<伊方運転差し止め>「火山影響評価ガイド」厳格に適用 毎日新聞  2017/12/13
 
伊方3号機運転差し止め決定 愛媛新聞  2017/12/13
 
社説 伊方差し止め 福島事故風化への警鐘だ 新潟日報  2017/12/14
 
<伊方原発差し止め>四国電力が異議、執行停止申し立て 毎日新聞  2017/12/21

 
(53)東電強制起訴公判あす再開 津波対策の証言焦点
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二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の勝俣恒久元会長(77)ら旧経営陣三被告の第二回公判が二十六日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれる。公開の法廷での審理は、昨年六月の初公判以来で約七カ月ぶり。未曽有の大事故の刑事責任を問う裁判で、証人尋問がいよいよ始まる。 (岡本太)
 
東電強制起訴公判あす再開 津波対策の証言焦点 東京新聞  2018/01/25

 
●2018/1/26:東電強制起訴 「10m超津波想定せず」設備管理担当者
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今回出廷したのは、事故当時、原子力設備管理部の部長代理だった男性。東電が作成した事故調査報告書を取りまとめた。証人尋問では「事故の反省点は対策を講じてもそれを上回ることが起こりうるということ」と述べた上で、事故を防止するためには、防潮堤の建設や建物の防水対策が必要だったとした。
 一方で、事故前に社内で試算された「最大15・7メートル」の想定津波について「従来の想定より極端に高く、違和感を覚えた」と証言。2008年6月に東電の土木担当者が武藤元副社長らに10メートルの防潮堤建設を提言したとされる点については「対策を施していれば事故は防げた可能性がある」としつつ「非常に難しい仕事になったと思う」との見解を示した。
 
東電強制起訴 「10m超津波想定せず」設備管理担当者 毎日新聞  2018/01/26

 東京電力福島第一原発事故を巡り、津波対策を怠ったとして業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣恒久元会長(77)ら旧経営陣三被告の第二回公判が二十六日、東京地裁で始まった。東電の社内事故調査に携わった社員が証人出廷し、津波で電源が喪失し水素爆発を引き起こした事故の経緯などを説明した。
 昨年六月の初公判以来、七カ月ぶりの再開で、証人尋問は初めて。
 
原発事故公判が再開 報告書まとめた東電社員を尋問 東京新聞  2018/01/26

 
●2018/2/8:東電強制起訴裁判 旧経営陣が巨大津波予測の可能性を否定
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 元会長の勝俣恒久被告(77)ら3人は昨年6月の初公判で無罪を主張している。
 8日の公判では、検察官役の指定弁護士が3点、弁護人が64点の提出証拠について内容を明らかにした。
 指定弁護士側は、08年に東電の土木グループの中で原発の耐震性を再確認する打ち合わせに建築グループも出席する必要があるとしたメールがやり取りされていたと説明。津波を想定した防潮堤の建設を進めようとしていたと示唆した。
 一方の弁護人側は、02年に文部科学省の地震調査研究推進本部(推本)が「福島県沖を含む日本海溝沿いで巨大津波が発生しうる」とした長期評価について、防災を担当する内閣府の担当職員が「あやふやな情報は無用な不安を与えるため、公表を控えるべきだ」とのメールを推本事務局に送信していたと明らかにした。
 
<東電強制起訴裁判>旧経営陣が巨大津波予測の可能性を否定 毎日新聞  2018/02/08

 東電設計は東電の委託を受けて2008年、国の地震調査研究推進本部が2002年に公表した長期評価を基に、最大15.7メートルの津波が福島第一原発を襲うと試算。公判では、勝俣元会長ら3人がこの試算を認識し、巨大津波襲来の危険性を予測していたかどうかが主な争点となっている。
 この社員は津波の試算結果を報告した1カ月後、海抜10メートルの敷地上に高さ10メートルの壁を設置すれば原子炉建屋などの浸水を防げるとするシミュレーション結果を東電に提出したと説明。「さらに低い位置にある非常用機器を壁で囲むなど、東電側で他の案も検討することになったが、その先どうなったかは分からない」と述べた。
 
「津波試算、東電に報告」その後指示なし 子会社社員証言 東京新聞  2018/02/28

 男性は「東電設計」に所属。2007〜08年、政府の地震調査研究推進本部が「(福島県沖を含む)三陸沖に巨大津波が発生しうる」とした「長期評価」をもとに、原発敷地への想定津波を計算した。
 証言によると、男性は08年3月に試算結果を東電本社に説明。その後、本社の社員から、試算の方法を変えるなどして数値を「小さくできないか」と打診された。男性は本社側の要望を受け、前提となる津波の動きを変えて再計算したが、得られた数値はほぼ同じで、試算結果として採用されなかったという。
 
東電旧経営陣 試算数値「小さく」 東電が打診と証言 毎日新聞  2018/02/28

 
(56)3・11と原発事故 想定できたはずだ
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 事故直後は「千年に一回の巨大地震で、専門家でも予測できなかった」といわれることもあったが、二〇一二年に政府、国会、東電、民間の四つの事故調査委員会がそれぞれ報告書を発表。国や東電がどう対応していたかが明らかになった。
 要点を紹介すると(1)〇二年に政府の地震調査研究推進本部が巨大津波の可能性を記した長期評価を公表(2)〇六年に東電は「敷地を越える津波で全電源が喪失する危険性がある」と保安院に報告(3)〇七年、新潟県中越沖地震が発生。東電柏崎刈羽原発で想定を超える揺れを観測(4)〇八年に東電設計が長期評価を基に津波は最大一五・七メートルで、高さ十メートルの防潮堤を設置すべきだと報告(5)同年、東電は土木学会に津波対策の検討を依頼。防潮堤の建設を先送りした−となる。
 裁判で東電は「津波は予見できなかった」と主張したが、「(東電は)長期評価から予見される津波対策を怠った過失がある」(福島地裁判決)などとされた。〇八年には防潮堤の高さまで検討が進んでいたのだから、原発敷地を越える津波の危険性を認識していた、と考えるのが自然だろう。
 
3・11と原発事故 想定できたはずだ 東京新聞  2018/03/09

 
●2018/3/16:原発避難訴訟 東京地裁も国と東電に賠償命令 国は4例目
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 東京電力福島第1原発事故で福島県から東京都などに避難している17世帯47人が、国と東電に計約6億3500万円の賠償を求めた集団訴訟の判決で、東京地裁(水野有子裁判長)は16日、両者の責任を認め、17世帯42人に計約5900万円を支払うよう命じた。同種訴訟で国の責任を認めたのは4件目で、国側敗訴の判断が続いている。
 約30件ある同種訴訟のうち、地裁判決は6件目。国が被告とされた訴訟の判決は5件目で、これまでに前橋、福島、京都の3地裁が国の責任を認め、千葉地裁だけが否定していた。
 
原発避難訴訟 東京地裁も国と東電に賠償命令 国は4例目 毎日新聞  2018/03/16
 
国に3度目の賠償命令 原発「自主避難」 合理性認める 東京新聞  2018/03/15
 
「国に責任」判決相次ぐ「津波予見できた」 毎日新聞  2018/03/16

東電と国の責任
 東電は08年4月の試算で10メートルを超える津波到来を予見したのに対応を怠った。事故を回避する措置を取らなかったことは許されない。
 国は津波到来の危険が間近に迫っている状況ではなかったとはいえ、遅くとも06年末には東電に対する規制権限を行使すべきで、そうすれば事故を回避できた可能性は高い。東電に対して長期評価の見解に基づく津波の高さの試算をさせるとともに、津波への対応を命じなかったのは著しく合理性を欠き、職務上の法的義務に反し違法だったと認められる。
 
福島第1原発事故 原発避難者訴訟 判決要旨 毎日新聞  2018/03/16

 
(58)刑事裁判の現状
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刑事裁判の現状 添田孝史  2018/04/08

 
(59)さまざまな裁判
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さまざまな裁判 添田孝史  2018/04/08

 
(60)裁判のポイント
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裁判のポイント 添田孝史  2018/04/08

 
●2018/4/10:元副社長「対策保留」=津波対策の東電社員証言―原発事故公判・東京地裁
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元副社長「対策保留」=津波対策の東電社員証言―原発事故公判・東京地裁 時事通信  2018/04/10

 
●2018/4/11:東電旧経営陣公判 「先送り」後も対策提案 津波試算社員
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 男性社員は11日の公判で、「見送りの指示」から約1年後の09年6月ごろ、土木や建築などのグループが連携して津波対策を検討する会議の設置を上司に提案したと証言。だが上司は「不要」と退け、会議の設置は実現しなかったと振り返った。しかし、その後、男性社員が上司の役職に昇格し、10年8月に会議の設置が実現したと明かした。
 対策会議は原発事故までに4回開催され、男性社員は「12年秋までには、どんな対策工事をするか決まっている状態を目指した」とも証言。結局、11年3月に津波が到来したことについて「大きなショックを受けた」と話し、津波の規模については「さらに大きかった」と想定外だったことを示唆した。
 
<東電旧経営陣公判>「先送り」後も対策提案 津波試算社員 毎日新聞  2018/04/11

 前日10日は、2007年11月から2008年7月31日の武藤元副社長が津波対策先送りを決めた「ちゃぶ台返し」までの動きが中心だった。この日の公判は、それ以降、事故発生までを中心に時系列に沿って尋問が続けられた。
 「ちゃぶ台返し」決定と同時に、もともとは2009年6月に終える予定だった津波対策を先延ばしするために、武藤氏の指示のもと、東電は様々な裏工作を開始する。安全審査を担当する専門家の同意をとりつける作業、他社が東電の先を行かないようにする調整、原子力安全・保安院との交渉などだ。検察が集めていながらこれまで公開されていなかった関係者の電子メールをもとに、数多くの新事実が明らかにされた。
 
「2008年8月以降の裏工作」刑事裁判傍聴記:第六回公判(添田孝史) 福島原発刑事訴訟支援団  2018/04/11

 
●2018/4/17:東電旧経営陣公判 東電社員「炉の停止の切迫性なかった」
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 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第7回公判が17日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。事故前に想定津波の試算を担当していた東電の男性社員が第5、6回公判に続いて出廷し、国の調査機関が2002年に「福島沖を含む日本海溝沿いで巨大津波が発生しうる」とした「長期評価」について「原子炉を停止するほどの切迫性はないと考えていた」と証言した。
 
<東電旧経営陣公判>東電社員「炉の停止の切迫性なかった」 毎日新聞  2018/04/17

 
●2018/4/24:「どこかで間違っていた」=津波現場責任者が証言―東電旧経営陣公判・東京地裁
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 東京電力福島第1原発事故で、業務上過失致死傷罪で強制起訴された元会長勝俣恒久被告(78)ら旧経営陣3人の公判が24日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。
 事故前に東電で津波対策部門の現場責任者を務めた元社員が出廷し、「どこかで間違っていたから事故は起きた」と証言した。
 元社員は「土木調査グループ」の責任者で、政府機関の長期評価に基づき、原子炉建屋など(海抜約10メートル)に到来が予想される津波の高さについて、最大15.7メートルに達するとの試算を担当した。
 証言によると、2008年6月、元社員が原子力・立地副本部長だった元副社長武藤栄被告(67)に試算を伝えると、元副社長は驚いた様子で、防潮堤設置に必要な許認可を調べるよう指示。しかし翌月、元副社長は津波を起こす地震想定について、「信頼性を第三者にみてもらった方がよい」とし、対策を保留する方針に転換した。
 
「どこかで間違っていた」=津波現場責任者が証言―東電旧経営陣公判・東京地裁 時事通信  2018/04/24

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第8回公判が24日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。事故前に想定津波の試算を担当していたグループのマネジャーだった元社員の男性が出廷し、元副社長の武藤栄被告(67)が2008年に津波対策を「先送り」する方針を示したことは合理性があったとの見解を示した。
 検察官役弁護士側は公判で、武藤元副社長らが第1原発に最大15.7メートルの高さの津波が来るとの社内試算を把握しながら、対策を先送りしたと主張。一方、弁護側は「試算が確実なものかどうか(外部学会に)検討を依頼した」として「先送り」を否定している。
 男性は第5〜7回公判に出廷した現役社員の元上司。この日の尋問では、武藤元副社長が08年7月、15.7メートルの想定津波について対策を進めず、検討するとしたことについて「(検討後に)対策は取るので、合理性を欠くものではないと考えた」と述べた。
 一方で、原発事故時に到来した実際の津波については「15.7メートルという数値を知っていたので、『想定外』とは考えづらかった」と語った。【石山絵歩、岡田英】
 
<東電強制起訴>津波対策先送りに「合理性」元社員が証言 毎日新聞  2018/04/24

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣恒久元会長(78)ら旧経営陣3人の第8回公判が24日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれ、東電で津波水位を計算する部署の責任者だった元社員の男性が証人で出廷した。
 元社員は、社内会議で被告の一人の武藤栄元副社長(67)が津波対策の保留を決め、国の有識者会議のメンバーを納得させるよう根回しを指示されたと証言した。検察官役の指定弁護士の尋問に答えた。
 社内会議が開催されたのは2008(平成20)年7月。元社員や第5〜7回公判で出廷した別の社員は社内会議に先立ち、津波地震に関する政府見解(長期評価)に基づくと、最大15.7メートルの津波が第1原発を襲う可能性があるとの試算結果を武藤氏に伝えていた。
 
元副社長、保留根回し指示 津波対策で元社員証言、強制起訴公判 福島民友  2018/04/25
 
原発裁判 東電元社員が旧経営陣の「時間稼ぎ」証言 テレビ朝日  2018/04/25

 
●2018/5/9:「対策とれば事故起きず」地震学者が証言 東電公判
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 福島第1原子力発電所事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力旧経営陣3人の第11回公判が9日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。地震学者で元原子力規制委員会委員の島崎邦彦・東京大学名誉教授が証人として出廷し、「(政府機関の)長期評価に基づいて対策をとっていれば、原発事故は起きなかった」などと証言した。
 (中略)
 島崎氏は地震本部の部会で部会長を務めるなど、他の専門家とともに長期評価の策定に携わった。公判では議論の経過を説明したうえで、当時は長期評価の信頼性を疑問視する議論はなかったと証言。政府の中央防災会議で長期評価が防災対策に反映されなかったとして、「科学に反している」と批判した。
 11年3月の原発事故直前、東北沿岸に襲来する津波が内陸まで達する可能性があるとする長期評価の改訂版を公表する予定だったが、事務局の提案で4月に延期することを了承したと説明。島崎氏は「延期を了承しなければ、(津波への注意喚起につながり)多くの人が助かったかもしれない。なぜ延期したのかと、自分を責めた」と述べた。
 
「対策とれば事故起きず」地震学者が証言 東電公判 日経新聞  2018/05/09

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第11回公判が9日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。東電が2008年に試算した想定津波(高さ最大15.7メートル)の根拠となった国の「長期評価」をまとめた島崎邦彦・東京大名誉教授(地震学)が出廷し、「長期評価に基づく対策が取られていれば、原発事故は起きなかった」と証言した。
 
東電強制起訴公判:「対策取れば防げた」地震専門家が証言 毎日新聞  2018/05/09
 
多くの命、救えたはずだった_刑事裁判傍聴記:第11回公判(添田孝史) 福島原発告訴団  2018/05/11

 
●2018/5/29:地震予測の信頼性強調 原発事故公判、元規制委員
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 福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の旧経営陣3人の第12回公判が29日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれ、国が2002年に公表した地震予測「長期評価」をまとめた元原子力規制委員の島崎邦彦東大名誉教授が、証人尋問で評価の信頼性を強調した。
 国の地震調査研究推進本部(地震本部)は02年、福島県を含む太平洋岸に大津波の危険があるとの長期評価を公表。これをまとめた島崎氏は9日の尋問で「(長期評価を受けて)東電が津波対策をしていれば、原発事故は起きなかった」と証言した。(共同通信)
 
地震予測の信頼性強調 原発事故公判、元規制委員 沖縄タイムス  2018/05/29

 島崎氏は、かつて、政府の地震調査研究推進本部の専門家の部会で、地震の発生確率などを推計し、「長期評価」として取りまとめていました。
 平成14年の「長期評価」では、福島県沖を含む三陸沖から房総沖にかけての領域で30年以内に20%の確率でマグニチュード8クラスの巨大地震が発生するとされました。その根拠は、同じ領域で過去に起きた津波を伴う地震の回数などでした。
 前回の法廷で、島崎氏は、「『長期評価』に基づいて対策をとっていれば、何人もの命が救われ、原発事故も起きなかった」と述べ、注目を集めました。
 
詳報 東電刑事裁判 「原発事故の真相は」 第12回公判 NHK  2018/05/29

 
●2018/5/30:東電強制起訴 学者「津波13〜15m想定すべきだった」
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◇東京地裁第13回公判 都司准教授が証言
 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第13回公判が30日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。津波の歴史に詳しい都司(つじ)嘉宣・元東京大地震研究所准教授が出廷し「(過去の実例から)福島沖に13〜15メートルぐらいの津波が来ると考えるべきだった」と証言した。
 
<東電強制起訴>学者「津波13〜15m想定すべきだった」 毎日新聞  2018/05/30

 都司氏によると、部会の中でも当初は震源の位置について疑問が投げかけられましたが、文献の内容などを詳しく説明すると、同意が得られたということです。
 この日の法廷では、最後に、「福島県沖ではどのくらいの津波を考えるべきだったか」という質問が出ました。都司氏は、過去の地震の研究結果から想定される高さとして、「15メートルくらいの津波を上限として考えるべきだった」と答えました。
 
詳報 東電刑事裁判 「原発事故の真相は」 第13回公判 NHK  2018/05/30
 
津波対策の必要性指摘 地震学者、最大15メートルと分析 福島民報  2018/05/31

 
●2018/6/12:原発事故刑事裁判 専門家 地震発生確率予測「根拠ない」
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 東京地方裁判所では12日、津波工学の専門家で東北大学の今村文彦教授が証言しました。
 東京電力は、平成14年に政府の地震調査研究推進本部が公表した、福島県沖を含む三陸沖から房総沖にかけて、30年以内に20%の確率で巨大地震が発生するという「長期評価」の予測を津波の対策に取り入れるかどうか、今村氏に意見を求めていました。
 今村氏は法廷で、三陸沖から房総沖までの地殻構造は場所によって異なるのに長期評価では一律に扱われていたという認識を示したうえで、長期評価の信頼性について「根拠がなく違和感を覚えた。福島県沖で津波が来た痕跡はなかった」と述べ、信頼性は低かったという考えを示しました。
 そのうえで、「専門家の間でも信頼性について議論が分かれていた」と述べ、被告側の主張に沿う証言をしました。
 
原発事故刑事裁判 専門家 地震発生確率予測「根拠ない」 NHK  2018/06/12

 
●2018/6/13:「事故は、やりようによっては防げた」_刑事裁判傍聴記:第16回公判(添田孝史)
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 6月13日の第16回公判の証人は、首藤伸夫・東北大名誉教授だった。首藤氏は1934年生まれ、「津波工学」の提唱者であり、1977年に東北大学に津波工学研究室を創設した初代教授だ。前日の証人だった今村文彦教授の師にあたる。
 1995年から原発の設置許認可を担う旧通産省の審査に加わった。土木学会が1999年から始めた津波評価技術(土木学会手法)の策定では主査を務めた。事故前に、福島第一原発の津波想定が5.7mとなる基準を定めた、そのとりまとめ役である。
 公判で、首藤氏は明治三陸津波(1896)以降の津波対策の歴史を語り(*1)、そして福島第一原発の事故について「やりようでは防げた」と証言した。
 
「事故は、やりようによっては防げた」_刑事裁判傍聴記:第16回公判(添田孝史) 福島原発告訴団  2018/06/15

 
●2018/6/15:「津波対策、十分だった」 東電旧経営陣公判、元安全審査員が証言
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 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の旧経営陣3人の第17回公判が15日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれた。事故当時、原子力規制に携わっていた東大大学院教授の岡本孝司氏(原子力工学)が証人尋問で、当時の規制に照らせば東電の津波対策は十分だったとの認識を示した。
 岡本氏は2005(平成17)〜12年、原子力安全委の安全審査員を務めた。岡本氏は事故前の第1原発で想定できた津波は最大4〜5メートル程度と証言。「東電が(電気事業者として)一般的な対策を怠ったわけではない」と述べた。
 当時の規制側は「津波よりも地震対策に注力していた」とも証言。事故は「電気を必要としない多様な対策を取れば防げた」とした上で「事故前にそうした発想や議論はなかった」と述べた。次回は20日午前10時から別の証人を尋問する。
 
「津波対策、十分だった」 東電旧経営陣公判、元安全審査員が証言 福島民友  2018/06/16

 
●2018/6/20:詳報 東電刑事裁判 「原発事故の真相は」 第18回公判
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 これまでの裁判では津波対策を統括する当時のグループマネージャーとその下で対策に中心的な役割を担った課長が証人として呼ばれていて、今回証言した社員は、2人の指示を受けて、津波の高さの計算や他の電力会社との連絡などの実務を担っていました。(中略)
 「長期評価」では、福島県沖を含む三陸沖から房総沖にかけての領域のどこでも巨大な津波を伴う地震が発生する可能性が指摘されていて、この見解を津波対策に取り入れるべきだったかどうかが、裁判の大きな焦点になっています。
 この「長期評価」について社員は「著名な研究者らが集まった国の組織の見解であり、津波対策に取り入れずに国の安全審査で妥当と認められることは難しいと思っていた」と証言しました。
 
詳報 東電刑事裁判 「原発事故の真相は」 第18回公判 NHK  2018/06/20

 
●2018/7/11:東電公判 防潮堤工程案示すも、旧経営陣が対策先送り
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 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第20回公判が11日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。原発の土木設備を担当していた東電社員が出廷し、東日本大震災前に防潮堤の工程案を旧経営陣側に示したが、旧経営陣が対策を先送りしたと証言した。
 証言によると、社員は2008年6月、社内の別グループが出した第1原発への想定津波の試算結果に基づき、元副社長の武藤栄被告(68)から、防潮堤の設置に必要な許認可などを調べるよう指示を受けた。社員は、原発の東側沖合に高さ20メートル、長さ1.5〜2キロの防潮堤を設置することを想定して資料を作成。緊急発注すると最短で16カ月後に着工でき、費用は数百億円になるとの概算を武藤元副社長に提出した。
 だが、対策は取られなかったといい、社員は「沖合に防潮堤を作ると、防いだ波が(堤の両側に流れ)近隣地域に影響すると懸念したのではないか」と推測した。【石山絵歩、岡田英】
 
東電公判 防潮堤工程案示すも、旧経営陣が対策先送り 毎日新聞  2018/07/11

 
●2018/7/27:東電強制起訴公判 日本原電の社員、津波対策の切迫性否定
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 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第23回公判が27日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。同業他社の日本原子力発電(東京)で津波対策を担当していた男性が出廷し「(対策を講ずる)切迫性はなかった」と証言した。旧経営陣は公判で、2008年に津波対策を先送りしたことに過失はなかったと主張しており、旧経営陣に有利な証言となった。
 男性は元々、東電の社員。07〜09年に日本原電に出向し、東海第2原発(茨城県東海村)の津波対策を担当していた。この日の尋問では、「(当時は巨大津波が)現実的に至近に来るとは思っていなかった」と述べた。また、震災前に東電と日本原電など同業4社は津波対策を意見交換し、3社は東電の「先送り」に同調したとも説明。業界内の横並び主義が浮かんだ。【石山絵歩、岡田英】
 
<東電強制起訴公判>日本原電の社員、津波対策の切迫性否定 毎日新聞  2018/07/27

 地震本部が予測した津波地震について、「今回のバックチェック(BC)にいれないと後で不作為であったと批判される」と、2007年12月10日、東電の高尾誠氏(第5〜7回公判証人)は語っていたようだ。公判で示されたメモ(*1)で明らかになった。
 2008年2月、高尾氏が今村文彦・東北大教授に面談し、その際に今村教授は「福島県沖海溝沿いで大地震が発生することは否定できないので、波源として考慮すべきである」と指摘した(*2)。
 その内容について報告を受けた安保氏は、東電の金戸俊道氏(第18・19回証人)に、「こうすべきだとダメ押しされたという内容ですね」とメール(*3)を送っていた。
 これらのデータをもとに、日本原電の2008年3月10日の常務会では、地震本部による津波地震の予測について「バックチェックにおいて上記知見に対する評価結果を求められる可能性が高い」と報告されていた(*4)。
 
「福島も止まったら、経営的にどうなのか、って話でね」刑事裁判傍聴記 福島原発刑事訴訟支援団  2018/07/27

 
(74)元福島知事「検察に抹殺」 京都で共謀罪の危険性語る
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 佐藤氏は、取り調べの過程で検事が「なぜ原発に反対するのか。知事は日本によろしくない。いずれ抹殺する」などと発言したことや、有罪となったものの控訴審で収賄額が0円と認定されたことなどを説明。「検察やマスコミにより、あっというまに逮捕される状況がつくられ、裁判ではどうにもならなかった」と事件を振り返った。
 三宅弁護士は「知事が辞任しなければ、福島の原発も津波対策がされたはず」と東日本大震災の原発事故を防げたとの認識を示し、「佐藤氏には自分にやましいところはないと各地で訴え、日本の在り方に警鐘を鳴らしてほしい」と述べた。
 
元福島知事「検察に抹殺」 京都で共謀罪の危険性語る 京都新聞  2018/07/28

 
(75)15.7メートル津波対策 10年前「白紙」に 「第三者に頼もう」常務、先送りを指示
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 2011年3月の東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷の罪に問われた東電旧経営陣、勝俣恒久元会長(78)、武黒一郎元副社長(72)、武藤栄元副社長(68)の東京地裁での刑事裁判は、津波対策に関わった東電社員らの証言が続く。02年、政府の地震調査委員会による長期評価は東北太平洋沿岸への大津波を警告したが、東電はこれに備えなかった。津波対策を「白紙」にしたとされる10年前の夏。重要な決定の瞬間を証言からたどる。
 
15.7メートル津波対策 10年前「白紙」に 「第三者に頼もう」常務、先送りを指示 東奥日報  2018/08/29

 
●2018/9/7:大津波警告は「妥当」 原発事故公判で東北大教授見解
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 福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力旧経営陣3人の第25回公判が7日、東京地裁(永淵健一裁判長)であり、国の地震調査研究推進本部で地震調査委員を務める松沢暢東北大教授が証人喚問で、2000年に「三陸沖から房総沖のどこでも大津波が起きる可能性がある」と警告した同本部の長期評価は妥当だったとの見解を示した。
 
大津波警告は「妥当」 原発事故公判で東北大教授見解 東奥日報  2018/09/08
 
「長期評価は不確実」としながらも福島沖での地震確率「ゼロとは言えない」 安全問題研究会  2018/09/11

 
●2018/9/18:福島事故後44人死亡 東電元幹部ら公判 双葉病院・元看護師証言
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 東京電力福島第一原発事故を巡り、津波対策を怠ったとして業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の旧経営陣三被告の第二十六回公判が十八日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。双葉病院(福島県大熊町)に勤めていた元看護師の女性が証人として出廷し、「原発事故がなければ入院患者はもっと生きられた」と訴えた。 (池田悌一)
 
福島事故後44人死亡 東電元幹部ら公判 双葉病院・元看護師証言 東京新聞  2018/09/19

 
●2018/9/19:東電強制起訴公判 消防隊員ら命の危険と隣り合わせ
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 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第27回公判が19日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。検察官役の指定弁護士が、事故現場で負傷した消防隊員や作業員が「コンクリートの塊が降り、死ぬかと思った」などと語った供述調書を朗読。命の危険と隣り合わせだった過酷な状況を明らかにした。
 原発事故を巡っては、2011年3月12日午後に1号機、14日午前に3号機がそれぞれ水素爆発。降ってきたがれきに接触するなどした消防隊員や自衛官、東電関係者がけがをした。
 
<東電強制起訴公判>消防隊員ら命の危険と隣り合わせ 毎日新聞  2018/09/19

 
●2018/10/2:東電公判 「20m防潮堤なら津波被害低減」東北大教授
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 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第28回公判が2日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。東日本大震災前に第1原発に防潮堤を設置していた場合の津波被害について実験した今村文彦・東北大教授(津波工学)が出廷し「高さ20メートルの防潮堤があれば、(原子炉)建屋への影響は小さかった」との見解を示した。
 実験は、検察官役の指定弁護士が今村教授に依頼して実施。第1原発の海側全面に海面からの高さ20メートルの防潮堤が建設されていた場合、東日本大震災時の津波で敷地内がどの程度浸水したかをシミュレーションした。
 
<東電公判>「20m防潮堤なら津波被害低減」東北大教授 毎日新聞  2018/10/02

 
●2018/10/16:東電公判 武藤元副社長、冒頭被災者におわび 被告人質問
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 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣3人に対する被告人質問が16日午前、東京地裁(永渕健一裁判長)で始まった。この日は3人のうち、武藤栄元副社長(68)への被告人質問が午後まで行われ、17日も続く予定。
 武藤元副社長は被告人質問で、まず原発事故が起きたことに対する思いを問われ、「亡くなられた方々やご遺族、避難を強いられている多くの方々に、言葉で表せないご迷惑をかけていることを深くおわび申し上げる。誠に申し訳ございません」と謝罪した。
 
<東電公判>武藤元副社長、冒頭被災者におわび 被告人質問 毎日新聞  2018/10/16

 福島第一原発の事故をめぐり東京電力の旧経営陣3人が業務上過失致死傷の罪で強制的に起訴された裁判。これまでの裁判では、原発事故の前、東京電力の社内で巨大津波に備えた対策が、具体的に検討されていたことが社員たちの証言からわかってきました。
 このうち、津波対策を担当していた社員は、平成14年に、政府の地震研究調査推進本部が公表した福島県沖で巨大な津波を伴う地震が起きうるという「長期評価」について、「権威のある組織の評価結果であることなどから、想定の見直しに取り入れるべきだと思った」と証言しました。
 
東電社員 巨大津波対策 事故前に検討と証言 NHK  2018/10/16

 東京電力福島第一原発事故を巡り、津波対策を怠ったとして業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人の公判が十六日、東京地裁(永渕健一裁判長)であり、津波対策の実質的な責任者だった武藤栄(さかえ)元副社長(68)の被告人質問があった。弁護側から、三人が出席した同社首脳による二〇〇八年二月の「御前会議」で大津波に対応する新たな方針が了承されたかを問われ、「方針が決まったことは一切ない」と全面的に否定した。
 
東電・武藤元副社長「大津波対策指示せず」 原発事故 強制起訴 東京新聞  2018/10/16

 東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人の公判が十六日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれ、原発の安全対策の実質的な責任者だった武藤栄(さかえ)元副社長(68)の被告人質問があった。事故の三年前、新たな津波対策を先送りしたのは武藤元副社長だったとの趣旨を部下らが証言している点について、「先送りというのは全くない。大変心外だ」と語気を強めて反論した。
 
津波対策「先送りない」 原発事故公判、東電元副社長が反論 中日新聞  2018/10/17

 
●2018/10/17:東電公判 元副社長「メール記憶ない」 対策不備 震災直前に社員から報告
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 福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力旧経営陣三人の第三十一回公判が十七日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれた。武藤栄(さかえ)元副社長(68)は被告人質問で、事故直前に「原子力安全・保安院(当時)から津波対策が不十分だと指摘された」と報告したとする社員からのメールについて「見た記憶がない」と述べた。社員は公判で報告を証言しており、説明が食い違っている。
 また、津波の試算結果の報告を受けてから専門家への研究依頼を指示するまでは「誰とも相談していない」と明らかにした。
 
東電公判 元副社長「メール記憶ない」 対策不備 震災直前に社員から報告 東京新聞  2018/10/17

 東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人の公判が十七日、東京地裁(永渕健一裁判長)であった。十六日に続いて被告人質問を受けた武藤栄(さかえ)元副社長(68)は、「最善の努力はしてきたつもりだが、事故を防ぐのは難しかった」と述べ、過失はなかったと強調した。
 東電が津波対策の見直し作業中だった二〇〇八年七月、武藤元副社長は部下から最大一五・七メートルの津波が襲来するとの試算結果を伝えられたが、防波堤工事などの対策は取らず、外部機関に試算手法の「研究」を依頼するよう指示した。
 
武藤元副社長「事故防ぐのは難しかった」 東電公判・被告人質問 東京新聞  2018/10/18

 
●2018/10/19:東電公判 津波対策 保留は「当然」 武黒元副社長が主張
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 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された旧経営陣3人の公判は19日、東京地裁(永渕健一裁判長)で武黒一郎元副社長(72)への被告人質問があった。東日本大震災の3年前に武藤栄元副社長(68)が津波対策を保留して専門家に検討を依頼したことについて「当然だった」と述べ、武藤氏の判断は妥当だったとの考えを示した。
 
<東電公判>津波対策 保留は「当然」 武黒元副社長が主張 毎日新聞  2018/10/19

 東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人の第三十二回公判が十九日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれた。武黒(たけくろ)一郎元副社長(72)は被告人質問で、事故前の二〇〇八年に津波の試算結果の報告を受けたかどうかについて「記憶にないが、あってもおかしくはない」と述べた。武藤栄(さかえ)元副社長(68)は十六日の被告人質問で報告したと説明していた。
 
東電公判 武黒元副社長、津波報告「記憶にない」 武藤氏と食い違い 東京新聞  2018/10/19

 
●2018/10/17:第31回公判(添田孝史) 「Integrity(真摯さ)」を大切にしていた?
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 「津波がこれまで起きていないところで発生すると考えるのは難しい」と武藤氏は述べた。これも間違っている。
 2007年度には、福島第一原発から5キロの地点(浪江町請戸)で、土木学会手法による東電の想定を大きく超える津波の痕跡を、東北大学が見つけていた。土木学会手法の波源設定(2002)では説明できない大津波が、貞観津波(869年)など過去4千年間に5回も起きていた確実な証拠が、すでにあったのである。
 土木学会が完全なものとは考えていなかった他社は、どんどん研究成果を取り入れて新しい波源を設定し、津波想定を更新していた。東電だけがそれをしなかった。Safetyのレベルは、電力会社の中で、東電が最も低かったことがわかる。
 
第31回公判(添田孝史) 「Integrity(真摯さ)」を大切にしていた? 福島原発告訴団  2018/10/21

 
●2018/10/30:東電事故 勝俣氏、15.7m津波試算「知らなかった」
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勝俣氏は事故前の津波対策について「安全対策の責任は一義的に(社内の)原子力・立地本部にあった。問題があれば報告があると思っていた」と述べ、担当部署に一任していたとの見解を示した。
 弁護人側は被告人質問で、勝俣氏が社長時代の2008年2月に出席した「御前会議」で、政府の「長期評価」(02年公表)に基づき津波対策を進める方針が報告、了承されたとする別の元幹部の供述調書の内容について質問。勝俣氏は「報告を受けた記憶はない」と明確に否定した。
 
<東電事故>勝俣氏、15.7m津波試算「知らなかった」 毎日新聞  2018/10/30

 東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人の公判が三十日、東京地裁(永渕健一裁判長)で開かれた。事故当時の最高責任者だった勝俣恒久元会長(78)が初の被告人質問に臨み、業務執行に関する会長の職務権限について「ない」と否定。「社長の求めで助言することはあったが、業務執行はすべて社長に譲っていた。各部に直接関わることはなく、指揮する立場にない」と強調した。(中略)
 勝俣元会長はこの日の被告人質問で、弁護人から社長の職務権限について問われると、取締役会などで最重要案件を決める権限があるが、組織が巨大だとして「すべてを直接把握するのは不可能に近い。権限を各部長らに付与し、それが果たされているか見る役目だった」と説明した。
 
「業務執行、全て社長に」 東電元会長、原発事故謝罪 東京新聞  2018/10/30

 勝俣元会長は2008(平成20)年2月に、津波高の想定が従来を上回る可能性があるとの報告を受けたかどうかについて「報告はなかった」と証言、武藤栄(68)、武黒一郎(72)両元副社長と同じ見解を示し、証拠採用された元幹部の検察官面前調書の内容を否定した。
 調書で元幹部は、勝俣元会長ら3人が08年2月に津波対策の実施を事実上了承、その後に正式決定したとしているが、勝俣元会長は「(元幹部の)勘違いではないか」と話した。
 
津波危険性「報告ない」 勝俣元会長が証言、東電強制起訴公判 福島民友  2018/10/31

 
●2018/10/30:東電刑事裁判 第33回公判
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 御前会議の配布資料にあった津波高さなど細部については、勝俣氏は「聞いていない」と繰り返した。一方で東電の津波対応が遅れているという認識はあったことを認め、以下のように述べていた。
 「東電は日本最大の17基の原発を持つ。バックチェックで津波は少し遅れても、やむを得ないと考えていた」
 「よくわかりませんけれど、(バックチェックのスケジュールが)後ろに延びていった気がします」

 福島第一は安全なのか、最新の科学的知見に照らし合わせて点検する作業がバックチェックだ。それを完了しないまま、漫然と運転していることを知っていたのだ。
 
刑事裁判傍聴記:第33回公判(添田孝史) 「責任は現場にある」は本当なのか 福島原発告訴団  2018/11/04

 
(86)【社説】東電被告人質問 矛盾が次々噴き出した
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 検察が元社員から話を聞いてまとめた供述調書には、勝俣恒久元会長ら三被告が出席した二〇〇八年二月の会議で、国の地震予測「長期評価」を津波対策に取り入れることが了承されたと記されていた。この長期予測を基にした子会社の試算で、津波は最大一五・七メートルになることが判明する。
 別の社員は、同年七月にこの試算を基に被告の武藤栄元副社長に判断を仰いだ際、試算手法の研究を専門家に依頼するよう指示を受け、「津波対策をとらないという結論は予想していなかったので、力が抜けました」と法廷で明かしている。
 しかし武藤元副社長らは長期予測の信頼性に疑義があったとし、対策の「先送り」を意図したわけではないと主張。最高責任者の勝俣元会長にいたっては「社長の求めで助言することはあったが業務執行はすべて社長に譲っていた」「すべてを直接把握するのは不可能に近い」と自らの権限を否定した。
 
【社説】東電被告人質問 矛盾が次々噴き出した 東京新聞  2018/11/01

 
●2018/11/14:東電公判 意見陳述で遺族「両親返して」 来年3月結審
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 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の公判は14日、東京地裁(永渕健一裁判長)で被害者遺族が意見陳述した。事故で長期避難を強いられ、家族を亡くした2人が出廷し「両親を返してほしい。誰一人、責任を取っていないのは許せない」などと訴えた。
(中略)
 公判に出廷した遺族の1人は事故当時、福島県大熊町に住んでいた女性。第1原発から約4.5キロ離れた介護老人保健施設「ドーヴィル双葉」に入所していた両親が避難中に亡くなっており、「事故さえなければ両親を亡くすこともなかった。(東電が津波)対策を取っていれば、事故は防げたと思うと死んでも許すことはできない」と述べた。
 
<東電公判>意見陳述で遺族「両親返して」 来年3月結審 毎日新聞  2018/11/14

 
●2018/12/26:検察官役指定弁護士「情報収集怠り、重大な結果招いた」 東電強制起訴の論告公判
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 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人に対する東京地裁(永渕健一裁判長)の論告公判で、検察官役指定弁護士は26日、「原発事故を防ぐための積極的な情報収集義務を怠り、重大な結果を招いた」などとして勝俣恒久・元会長(78)と、武黒一郎(72)▽武藤栄(68)の両元副社長にいずれも禁錮5年を求刑した。
 指定弁護士は冒頭、「3被告は原子力事業者の最高経営層に身を置きながら、なすべきことを何もせずに(原発の)運転を継続し、多くの人を死に至らしめた」と指摘。その上で「大津波襲来に関する情報を自らの権限で取得し、的確な対策を実行していれば、重大事故を防げた」と述べた。
 
検察官役指定弁護士「情報収集怠り、重大な結果招いた」 東電強制起訴の論告公判 毎日新聞  2018/12/26

 
●2018/2/20:原発事故避難 国に5度目賠償命令 横浜地裁 東電の責任も認定
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 東京電力福島第一原発事故の影響で福島県から神奈川県などに避難している六十世帯百七十五人が、国と東電にふるさとでの生活を奪われた慰謝料など約五十四億円を求めた訴訟の判決で、横浜地裁(中平健裁判長)は二十日、両者の責任を認め、百五十二人に対する約四億二千万円の支払いを命じた。(中略)
 中平裁判長は判決理由で、二〇〇九年の報告で敷地高を超える津波の到来を予見できたと指摘。非常電源設備を移設していれば、1号機の水素爆発は回避できたとし、「国はただちに行政上の手続きに着手すべきで、遅くとも一〇年には実現が可能だった」とした。
 
原発事故避難 国に5度目賠償命令 横浜地裁 東電の責任も認定 東京新聞 2019/02/20

 
●2019/3/12:東電原発事故裁判結審 鍵握る人物 証言なく 調書に「対策先送り」
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東京電力福島第一原発事故を巡る刑事裁判が12日、結審した。業務上過失致死傷の罪に問われた勝俣恒久元会長ら東電旧経営陣3被告は改めて無罪を主張したが、真相究明の鍵を握る重要人物が最後まで証言台に立つことはなかった。
 その人物とは山下和彦氏。2008年、地震や津波の対応部門の部長だった故・吉田昌郎氏(後に第1原発所長)の補佐役だった。現場から第1原発の敷地を超える高さ15.7メートルの大津波が襲う想定の報告を受け、被告らに伝えたとされる。
 
東電原発事故裁判結審 鍵握る人物 証言なく 調書に「対策先送り」 東奥日報  2019/03/13

 
(91)検察調書が明らかにした新事実 添田孝史
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東京電力福島第一原発の事故に関して、東電社員や原子力安全・保安院の職員らが検察に供述した内容をまとめた調書が、東電株主代表訴訟で3月28日に証拠として採用された[1]。そのおかげで、これまで非公開だった調書が、東京地裁で閲覧できるようになった。この中には、政府や国会の事故調報告書や、刑事裁判の公判では明らかにされていなかった情報も多く含まれている。東電や国が事故を引き起こした過程を詳しく調べるための重要な手がかりとなりそうだ。
 数多い新事実の中で、この記事では以下の項目について取り上げた。
・保安院室長が「政府事故調に嘘ついた」と告白
・東電、東北電力の津波報告書を書き換えさせる
・東電、日本原電の津波報告書にも圧力
・保安院も東電の「貞観隠し」に加担
・バックチェックの短縮、保安院首脳が指示

・溢水勉強会の詳細判明
 
検察調書が明らかにした新事実 添田孝史 Level 7 NEWS  2019/04/10

 
(92)原発より一般住宅の方が安全 電力会社が最も国民に知られたくない情報
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原発差止訴訟で地震を理由として差し止めを認めたのは、樋口裁判長と大津の山本義彦裁判長の二人だけで、止めなかったのは15人にもなるが、この違いは原発の怖さを心底知っていたかどうかだと云ってました。
 樋口さんは、温厚な語り口で、伊方のように高度な専門技術訴訟としてのつじつま合わせの先例に習う必要はなく、社会通念としてのものの道理にかなっているかで判断されるべきだと語っています。
 この判決が圧力に屈することなく特別に勇気あるものなどという評は全くの見当違いで、いかに「当たり前」の結論であるかを平易に説明してくれました。
 
原発より一般住宅の方が安全 電力会社が最も国民に知られたくない情報 たんぽぽ  2019/06/07

 
●2019/8/3:避難者訴訟・名古屋地裁判決 原発事故 国の責任否定
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 桃崎剛裁判長は判決理由で「東電と津波の危険性を検討した2006年時点で国は津波の到来を予見できたが、その予見可能性の程度は高いものではなく、切迫していたとは言えない津波より地震対策に注力したことは不合理とはいえない」と指摘。その上で「国が規制権限を行使したとしても、津波による全交流電源喪失の結果を回避できたとは認められない」と結論付けた。
 
避難者訴訟・名古屋地裁判決 原発事故 国の責任否定 東奥日報  2019/08/03

 
(94)原発事故裁判 19日判決 私の見方 <1> 元弁護士 井戸謙一弁護士 司法への期待捨てない
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 −2006年に金沢地裁の裁判長として、原発の運転差し止め請求を初めて認めた。
 「判決後、行政は新しい知見を取り入れた原発の新たな耐震指針を出した。だが同様の司法判断は続かず、結果的に東日本大震災前の差し止め判決は1件だった。司法の流れをかえられなかったのは残念だ。」
 −災害への対策が不十分なまま大震災が発生し、東京電力福島第一原発事故が起きた。
 「原発事故は万が一にも起こしてはならず、どんなに小さな可能性だとしても対処することが必要だ。東電は防潮堤のかさ上げまでは決断できなかったとしても、原子炉を冷やすための非常用電源をより高い場所に設置するなどの次善の策があったはずだ。結局何もしておらず、安全神話に毒されていたとと思う」
 
原発事故裁判 19日判決 私の見方 <1> 元弁護士 井戸謙一弁護士 司法への期待捨てない 東奥日報  2019/09/02

 
(95)福島原発事故の刑事責任を問う裁判 「放射能汚染と向かい合うための基礎知識(20)」
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一方、公判を通じ、津波の予見可能性についてさまざまなことが明らかになっている。時系列でみてみよう。

・福島第一原発の設置許可(1966年)で想定されていた津波高さは、1960年のチリ津波に基づいて3.1mだった。
・奥尻島津波(1993年)などの経験から「既往最大」の津波対策では不十分となり、2000年に電事連の会議で日本の各原発の津波影響を比べてみると、福島第一は津波に対して最も弱い原発であった。
・2002年7月、阪神淡路震災をきっかけに地震防災を推進するために設置された地震調査研究推進本部が、福島県沖の日本海溝でM8級の津波地震が発生する可能性についての長期予測を発表。東電は、長期予測は信頼できないとする工作で対応。
・2006年1月、2004年のスマトラ島沖地震と津波をうけ、保安院や電力会社が「溢水勉強会」を立ち上げた。想定外津波が来ると全電源喪失に至るという共通認識。
・2006年9月、原子力安全委員会が「耐震設計審査指針」を改訂。既存の原発も、津波対策を含めたバックチェックを2009年6月までに要求される。
・2008年3月、東電内部の計算で福島第一の津波高さが最大で15・7mになると判明。技術グループは防潮堤の建設を提案。
・2008年7月、防潮堤の設計や費用を検討する会議で、武藤副社長がバックチェックを先送りすることを決定。
・2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震発生。
 
福島原発事故の刑事責任を問う裁判 「放射能汚染と向かい合うための基礎知識(20)」 たんぽぽ  2019/09/07

 
(96)大津波予見可否が焦点 東電原発事故強制起訴裁判 19日判決
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 東京電力福島第一原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣三人の公判は十九日午後一時十五分から、東京地裁(永渕健一裁判長)で判決が言い渡される。大津波を予見し、事故を回避できたかどうかが最大の焦点となる。
 強制起訴されたのは、勝俣恒久元会長(79)と武黒一郎元副社長(73)、武藤栄元副社長(69)。被告人の弁護側と検察官役の指定弁護士との主な争点は、(1)大津波を予見できたのか(2)国が公表した地震予測「長期評価」の信頼性(3)対策を取れば事故を防げたのか−の三点。被告三人の弁護士は、大津波は予測できず、事故は防げなかったと無罪を訴えている。検察官役の指定弁護士の主張と真っ向から対立している。
 
大津波予見可否が焦点 東電原発事故強制起訴裁判 19日判決 福島民報  2019/09/07

 
(97)<それぞれの8年半>東電旧経営陣判決を前に[1]事故の責任告訴で問う
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 福島原発告訴団長の武藤類子さん(66)=福島県三春町=が7月、宇都宮大で学生ら70人に自身の半生を語った。震災の関連授業に特別講師として招かれた。
 第1原発事故後、各地で講演を重ねる。「一人一人が問題を考え、広がっていく。草の根の活動こそが社会の変化につながる」と信じるからだ。
 特別支援学校の教員を務める傍ら脱原発運動に参加してきた。「原発は一度事故を起こせば人が住めなくなる」。1986年の旧ソ連チェルノブイリ原発事故が転機となり、30年以上活動を続けている。
 
<それぞれの8年半>東電旧経営陣判決を前に[1]事故の責任告訴で問う 河北新報  2019/09/12

 
(98)東電原発事故強制起訴裁判 迫る判決 結果回避義務
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 東京電力福島第一原発事故をめぐり、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣の被告三人は「想定外の津波で、対策を採っていても事故は防げなかった」と法廷で責任を否定し続けた。過失の立証には、三人に予見できた損害を回避する「結果回避義務」があったかどうかが重要になる。検察官役の指定弁護士は、対策を講じていれば事故は防げたとみており、「対策が終わるまでは原子炉の運転を止めるべきだった」と主張する。
 
東電原発事故強制起訴裁判 迫る判決 結果回避義務 福島民報  2019/09/12

 
(99)<それぞれの8年半>東電旧経営陣判決を前に[2]「命軽視」の責任を問う
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 18年2月の福島地裁判決で東電の敗訴が確定し、社員が自宅へ謝罪に来た。「線香を上げてほしい」と美江子さんが願っていたためだ。
 一応はかなったが、後から「事後処理」の担当者と聞いた。「一人の人間が亡くなっている。本来は事故責任が問われた当時の経営者が来るべきで、誠意は見えなかった」と振り返る。
 美江子さんは東電に「あなたの大切な家族だと思って考えてください」と何度も訴えていた。東日本大震災後、県内では関連が認められただけでも100人以上が自殺。原発事故の影響は明らかなのに、淡々とした態度は人ごとのようだった。
 命を軽視する姿勢は事故前からずっと続いていると感じる。刑事裁判では、東電が津波の恐れを認識しながら対策を先送りした経緯が明らかにされた。
 当時の経営者は責任を否定したまま判決の日を迎える。「手抜きをせず、命を最優先にすれば防げた事故だった。事故の責任は誰にあったのか、心ある司法判断を示してほしい」。美江子さんは望む。
 
<それぞれの8年半>東電旧経営陣判決を前に[2]「命軽視」の責任を問う 河北新報  2019/09/13

 
(100)【9・19判決 東電旧経営陣強制起訴裁判】証言から見えてきた津波対策 
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 武藤さんが傍聴の中で注目したのが津波対策を巡る現場の社員と旧経営陣のやり取り。
 武藤類子さん:「東電の社員の人達が15.7メートルという津波の計算が出てきたときに、それに対して対策をしなければならないということで いろいろと考えていたってことが分かったわけですね。」
 原発事故前の3年前、津波対策を行う東電社内の担当グループは子会社に依頼して、国の地震評価を基に高さ15.7メートルの津波が第一原発を襲うと試算。
 対策案とともにこれを東電元副社長 武藤栄被告に報告。
 元東電社員:「武藤さんもビックリした様子で、『信頼性はどれくらいか』などの質問があった」
 武藤栄被告は対策に必要な許認可などを調べるよう指示。
 担当者たちは津波対策を進めようと資料をまとめたが翌月に設けられた報告の場で意外な言葉が返ってきたという。
 武藤栄被告:「研究しよう」
 
【9・19判決 東電旧経営陣強制起訴裁判】証言から見えてきた津波対策  福島テレビ  2019/09/17

 
(101)原発事故、国民皆で考えて=公判「東電知る材料」−元規制委の島崎氏
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原発事故、国民皆で考えて=公判「東電知る材料」−元規制委の島崎氏 時事通信  2019/09/17

 
●2019/9/19:原発事故 東電旧経営陣に無罪判決「津波の予測可能性なし」
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 判決で、東京地方裁判所の永渕健一裁判長は、裁判の大きな争点となった原発事故を引き起こすような巨大津波を予測できたかについて「津波が来る可能性を指摘する意見があることは認識していて、予測できる可能性が全くなかったとは言いがたい。しかし、原発の運転を停止する義務を課すほど巨大な津波が来ると予測できる可能性があったとは認められない」と指摘しました。
 そのうえで、「原発事故の結果は重大で取り返しがつかないことは言うまでもなく、何よりも安全性を最優先し、事故発生の可能性がゼロか限りなくゼロに近くなるように必要な措置を直ちに取ることも社会の選択肢として考えられないわけではない。しかし、当時の法令上の規制や国の審査は、絶対的な安全性の確保までを前提としておらず、3人が東京電力の取締役という責任を伴う立場にあったからといって刑事責任を負うことにはならない」として無罪を言い渡しました。
 
原発事故 東電旧経営陣に無罪判決「津波の予測可能性なし」 NHK  2019/09/19

 有罪は厳しいかもしれない、という予想はあった。しかし刑法上の責任を問うのが難しい結果になるとしても、ここまで判決内容が腑に落ちないものになるとは想像していなかった。唖然とした。
 開廷は2019年9月19日、午後1時15分。永渕健一裁判長は「被告人らはいずれも無罪」と言い渡し、それから午後4時半ごろまで、休憩を挟んで約3時間にわたって、とてもメモを取りきれない早口で判決要旨を読み上げ続けた。
 読み上げを聞いていると、「あの証拠と矛盾している」「そこまで言い切る根拠はどこにあるの」「なに言ってんだ、それ」という疑問が次から次へと頭に浮かんできた。この裁判では、証言だけでなく、電子メールや議事録など、事故を読み解く豊富な証拠を集めていたはずだ。よい素材はあったのに、どうしたこんなまずい判決になったのだろう。
 検察官役の指定弁護士を務める石田省三郎弁護士は「国の原子力行政を忖度した判決だ」と記者会見で語気を強めた。
 
「無罪」証拠と矛盾多い忖度判決(刑事裁判傍聴記: 添田孝史) 福島原発刑事訴訟支援団  2019/09/19

 国会が設置した事故調査委員会に参加した宇田左近さんは「司法として個人の刑事責任がどうあるべきかという判断だったが、経営陣が何か明確に悪さをしたということは証明できなかったということだが、国会や政府などの事故の調査では東京電力の組織の問題はすでに明らかになっている」と述べました。
 そのうえで、「経営陣が知らなかった。聞いていたけど判断できなかったというのは経営する能力が足りなかったという意味になる。組織として考えたとき、責任が回避される組織というのは、国民から見るととても怖い組織なので、東京電力が信頼を回復していくということは、もう、そういう組織ではないと示していく必要がさらに強まったのではないか」と話していました。
 
原発事故 無罪判決 受け止めは? NHK  2019/09/19

東京電力の旧経営陣3人が原発事故を防げなかったとして強制的に起訴された裁判。全員に無罪判決が言い渡されたことについて福島県では「残念だ」、「納得できない」という声が聞かれました。
福島市では
 福島市の19歳の女性は「被害者の気持ちからすれば残念だと思います。無罪だとしても何らかの形で責任を取ってほしいです」と話していました。
 また福島市の63歳の男性は「有罪でも無罪でも、復興が進むかどうかには関係がないかもしれませんが、釈然としない気持ちです。旧経営陣はこれまでの裁判で立場がある中で発言してきたと思いますが、本当はどう思っているのか聞いてみたいです」と話していました。
 
原発事故 東電旧経営陣に無罪判決 福島の人たちは… NHK  2019/09/19

 3人が津波による事故を予見し、事故を回避できたと言えるかどうかが最大の争点となった。
 検察官役の指定弁護士によると、東電は08年3月、政府の地震調査研究推進本部が公表した地震予測(長期評価)を基に「最大15.7メートルの津波が原発に襲来する可能性がある」との試算を子会社から受け取った。
 武藤元副社長は同年6月、担当者から試算の報告を受けたが、翌月、長期評価の信頼性について外部の専門家に調べてもらうよう指示。当面は長期評価を取り入れずに津波対策の検討を進めるよう求めた。
 勝俣元会長も09年2月、最高経営陣が出席する通称「御前会議」で、担当部長の「14メートル程度の津波が来るという人もいる」との発言を聞き、武黒元副社長も同年4〜5月、担当者から試算の報告を受けた。
 指定弁護士は、武藤副社長が対策を先送りせず、津波の報告を受けた3人が適切に情報収集していれば、津波による原発事故で死者やけが人が出ることを予見できたと主張。津波対策が完了するまでの間、原発の運転を停止していれば、事故は回避できたと訴えた。
 
東電旧経営陣3被告に無罪判決 福島第1原発事故で東京地裁 毎日新聞  2019/09/19

 東京電力旧経営陣3人を無罪とした東京地裁判決は「津波についてあらゆる可能性を想定し、必要な措置を義務づければ、原発の運転はおよそ不可能になる」と指摘した。
 
東京地裁「あらゆる可能性想定、原発の運転は不可能」 共同通信  2019/09/19

 検察官役の指定弁護士はこれまで、武藤元副社長の対応について「大津波の襲来は十分予見できたのに、原発の運転停止リスクや多大な出費を避けるため、対策を先送りした」と指摘。武黒元副社長についても、〇九年四〜五月に試算結果を聞いていたのに「何ら防護措置を取らなかった」と批判した。
 勝俣元会長に対しては、〇九年二月の会議で大津波の可能性を知った時点で「担当者に対策を検討させ、対策の完了まで原発の運転を停止する義務があった」と指摘。「三人は何ら対処することなく漫然と原発の運転を継続し、事故を引き起こした」としていた。
 
東電旧経営陣3人無罪 福島事故 東京地裁判決 東京新聞  2019/09/19
 
「証拠あったのに」と憤り=原発告訴団、控訴求める−東電旧経営陣裁判 時事通信  2019/09/19

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣の勝俣恒久元会長(79)、武黒一郎元副社長(73)、武藤栄元副社長(69)の3被告に無罪が言い渡された19日の東京地裁判決。判決を受け、JR福知山線脱線事故(2005年)や中央自動車道笹子トンネル事故(12年)の遺族らでつくる「組織罰を実現する会」は「役員たちの弁解をそのまま是認する極めて不条理な判決だ」と批判するコメントを出した。「重大事故の責任が追及されないまま放置されると、新たな重大事故発生の誘因になる」とも指摘し、企業や法人に刑事罰を科す「組織罰」の必要性を訴えた。【望月靖祥】
 
組織罰を実現する会、東電判決に「役員の弁解そのまま是認 極めて不条理な判決」 毎日新聞  2019/09/19

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された勝俣恒久元会長(79)ら東電旧経営陣3人について、東京地裁(永渕健一裁判長)は19日、無罪を言い渡した。
 永渕裁判長が「被告人らはいずれも無罪」と主文を読み上げると、傍聴席からは「ええー!」「うっそー」と声が上がった。地裁前では刑事告発した市民グループが「不当判決」と書かれた紙を掲げ、「間違ってる」と抗議した。
 
東電旧経営陣の無罪に法廷騒然「不当判決」抗議も 日刊スポーツ  2019/09/19

 検察当局に「起訴しないのはおかしい」という議決を出したのは、無作為に検察審査会に選ばれた一般の市民。それを受けて強制起訴したのも、「在野」に生きる弁護士だ。
 あの大事故で、だれも刑事責任を問われないのはおかしい。この刑事裁判は、そんな「市民感覚」から始まった。
 そして、普段は刑事事件で被告人を弁護する弁護士らが東電元幹部らの罪を問う役に回った。一方、被告側には、犯罪捜査を熟知する検察官出身の弁護士らが弁護団を結成した。
 「攻守」が逆転したかたちで行われた裁判。東京地裁の永渕健一裁判長は9月19日、「3人が予見可能性がある情報に接していたとはいえない」などとして、3人に無罪を言い渡した。
 
原発事故の責任を誰が取るのか。「市民感覚」で始まった裁判で東電元会長らに無罪判決 BUZZ_FEED_JAPAN  2019/09/19

 福島第1原発事故で強制起訴された東京電力の旧経営陣3人を無罪とした19日の東京地裁判決を受け、兵庫県に避難してきた人たちからは落胆の声が上がった。 神戸地裁ではこの日、避難者ら92人が東電と国に損害賠償を求めた兵庫訴訟の口頭弁論があり、報告集会で無罪判決が伝えられた。50代女性の原告は「無罪判決に過呼吸を起こしそうになった。なんで。経済性優先で事故を起こしたのは明らかなのに」。40代女性の原告は「私たちの苦しみに見合わない判決。『組織としての東電にも責任はなかった』『事故は避けられなかった』という風潮にならないか不安」と話した。
 
「判決に過呼吸を起こしそう」兵庫の避難者ら落胆と憤り 原発事故で東電旧経営陣に無罪判決 神戸新聞NEXT  2019/09/19

 しかし、37回におよんだ公判からは、これまで知られていなかった“新事実"が次々に明らかになった。例えば、その1つ。首都圏唯一の原発、茨城県にある東海第二原発では、運営する日本原子力発電が東日本大震災が起きる3年前からすでに巨大津波への対策を進めていたことが初めてわかったのだ。さらには東京電力の現場の担当者たちは、巨大津波への対策を進める考えだったことも明らかになった。「本当に津波による原発事故を防ぐ手立てはなかったのだろうか」。 公判を見続けてきたNHK取材班は、この疑問を胸に、公判の証言と資料を分析、関係者への接触も試み真実に迫るため、取材を展開した。(東京電力刑事裁判 取材班)
 
東電裁判 “見えた新事実" NHK  2019/09/20

 原発事故から8年半が過ぎたが、約4万2千人の福島県民は今も県内外での避難生活を強いられている。長引く避難生活のために命を落とした「災害関連死」も、全体の6割超にあたる2272人が福島県の関係者だ。
 原発の安全を確保する責任が誰にあるのかはっきりしないままでは、東電、さらには原発への不信もなくなるまい。
 判決は、自然災害に起因する企業の重大事故の原因を刑事裁判で究明することの限界も示した。再発防止のためには、原因究明を中途半端な形で終わらせてはならない。裁判以外での取り組みを進めるとともに、関係者に刑事免責を与え証言義務を課す制度や、組織の責任を問う「企業罰」創設なども検討する必要があろう。
 
東電旧経営陣無罪 刑事裁判での究明に限界 熊本日日新聞  2019/09/20

 判決は検察官役の指定弁護士の主張をほとんど退ける内容で、「巨大な津波の発生を予測できる可能性があったとは認められない」としました。
 また、「地震の発生前の時点では、法令上の規制や国の指針などが絶対的安全性の確保までは求めていなかった。東京電力の原発の安全対策について、行政機関や専門家などから、明確に否定するなどの意見が出ていた事実はうかがえない」と指摘しました。
 この判決について、指定弁護士は19日の会見で、「国の原子力行政をそんたくした判決だ。原発には絶対的な安全性までは求められていないという裁判所の判断はありえない」と批判しました。
 
東電旧経営陣無罪判決 控訴するかどうかが焦点 NHK  2019/09/20

 これまで、すでに全国各地で、東電に対して原発事故の避難者によって民事訴訟が約30件提起され、すでに12件の一審判決が出ている中で、いずれも東電に対しては賠償を認める判決が出ていることを考えれば、ありえない判決といえます。(中略)
 報道によると、判決では「津波が来る可能性を指摘する意見があることは認識していて、予測できる可能性がまったくなかったとは言いがたい」とする一方で、「原発の運転を停止する義務を課すほど巨大な津波が来ると予測できる可能性があったとは認められない」としているそうです。しかし、認識していたのならば、最悪の事態を想定した投資または運転の停止を指示することこそが危機管理であり、それを行わないのは、「業務上の過失」ではないのでしょうか。
 
2019.9.20 山本太郎 代表談話「東電原発事故経営陣刑事裁判の判決について」 れいわ新選組  2019/09/20

 2019年9月19日の東電刑事裁判では被告が全員無罪となり、不当判決と憤るのは当然である。
 ただし事前の集会では、弁護士さんから強制起訴に持ち込めただけでも奇跡的で、判決は楽観できないとの解説があった。
 また判決がどちらになっても、相手方が控訴するから高裁があり、さらに高裁の判決がどちらになっても上告で最高裁があるから十年戦争だと言われた。
 被害者の救済にかかわる事案であれば急がなければならないが、この訴訟で求められているのは刑事責任だけなので、不当判決と憤るだけではなく、何か得るところはないかと考えるべきだろう。
 
【東電訴訟は十年戦争だ。この機会を活用してゆこう】 たんぽぽ  2019/09/20

 「福島県民は納得できない」「原発を動かすのに高度な安全性は要らないのか」
 東電旧経営陣3人をいずれも無罪とした19日の東京地裁判決を受け、被害者代理人や福島原発告訴団は不満をあらわにした。
 「司法の歴史に汚点を残す判決だ」。被害者代理人の海渡雄一弁護士は記者会見で語気を強め、控訴を求める考えを示した。判決が国の地震発生予測「長期評価」の信頼性を認めず、大津波の予見可能性を否定した点を「多くの学者や技術者らが法廷で語った内容と大きく異なり、信用できない判断だ」と非難した。
 
告訴団「被害に向き合っていない」と不満あらわ 東電旧経営陣に無罪判決 河北新報  2019/09/20

 検察官役の指定弁護士は、地震予測「長期評価」を根拠に算出された「最大15・7メートルの津波が襲来する」との試算を基に対策すれば事故は防げた、と主張してきた。
 これに対し元会長の勝俣恒久被告(79)は「そんなものをベースに企業行動をとることは、あり得ない」と語気を強めた。勝俣被告は、長期評価の信頼性は絶対的ではなかったとして直ちに対策に乗り出さなかったことの正当性を強調。試算を伝えた当時の担当部長、吉田昌(まさ)郎(お)氏(事故時の第1原発所長)の口ぶりも「懐疑的だった」ことなどから担当部署に精査を任せていたと説明した。
 
結審まで37回 強気の3人、いらだち見せ反論も…東電旧経営陣裁判 産経新聞  2019/09/20

 東京電力の旧経営陣は「無罪」−二〇一一年の福島第一原発事故で検察審査会が強制起訴した裁判だった。本当に予想外の事故だったのか疑問は残る。
 事故の三年前まで時計の針を戻してみよう。国の地震予測である「長期評価」に基づく津波の試算が最大一五・七メートルにのぼるとの報告がなされた。東電社内の会合で元副社長に「『(津波想定の)水位を下げられないか』と言われた」−担当していた社員は法廷で驚くべき証言をした。元副社長は否定し、「そもそも長期評価は信頼できない」と反論した。
 
【社説】東電旧経営陣に無罪 「人災」の疑問は残る 東京新聞  2019/09/20

 福島第一原発事故を巡り、東京電力旧経営陣3人の刑事責任を否定した東京地裁は「事故が絶対に起きないレベルの安全性が求められたわけではない」と指摘した。「原発事業者は極めて高度な注意義務を負う」と強制起訴を決めた市民の感覚とは大きな隔たりがあった。企業が関わる大事故で、社内にいる個人の刑事責任を問う壁は高く、企業自体にペナルティーを科す「組織罰」の導入を求める声がいっそう強まりそうだ。
 
東電原発裁判 旧経営陣無罪 司法と市民感覚 隔たり 「組織罰」 導入求める声も 東奥日報  2019/09/20

 東京電力の旧経営陣を無罪とした19日の東京地裁は、国が2002年に大津波の危険性を公表した「長期評価」の信頼性を否定した。福島第一原発事故に関する民事訴訟では、長期評価を根拠に「事故は予見できた」とする判断が続いていたが、刑事裁判ではより高度な予見可能性を求めた。
 
予見可能性 厳格に判断 東京地裁「長期評価」の信頼性否定 民事訴訟「津波は予見」判決多く 東奥日報  2019/09/20

 19日の東京地裁判決後、被害者参加代理人の弁護士らと東京・霞が関の司法記者クラブで会見した福島原発告訴団の武藤類子団長は「残念の一言に尽きる。福島の人は誰一人納得していない」と憤りをあらわにした。海渡雄一弁護士も「これほどひどい判決がでると・・・」と絶句。「司法の歴史に大きな汚点を残した。取り消されるべき判決だ」と言葉をつないだ。
 
東電原発裁判 「ひどい判決」「残念」 告訴団憤り、抗議集会も 傍聴席から「うそー」法廷内騒然 東奥日報  2019/09/20

龍谷大教授 大島堅一氏
 東京地裁の判決は、東京電力旧経営陣が果たすべき責任を一切問わず、あまりにも被告側に甘いものだと言わざるを得ない。事故から8年を経て、事故原因の徹底的究明が引き続き求められると同時に、東電自らが旧経営陣の責任を明らかにするべきときが来ている。
元東京地検特捜部検事 郷原信郎氏
 これだけ悲惨かつ重大な原発事故の被害者や遺族が「誰も責任を取らなくていいのか」と強く思うのは、十分すぎるほど理解できる。一方で、個人の刑事責任を追及することに限界があったことも否定しない。
 
指標 東電原発裁判 旧経営陣無実 多くの新事実を軽視 責任問わず甘い判決 大島堅一氏 企業罰導入の契機に郷原信郎氏 東奥日報  2019/09/20

 なぜ対策は実施されなかったのか。公判で、その核心が初めて明かされた。
 「新潟県中越沖地震(07年)で柏崎刈羽原発が停止し、経営が悪化していた。さらに(対策の実施で)福島第1も止まるのは何とか避けたかった」
 原子力設備管理部ナンバー2の元幹部は調書で、判断の背景に経営事情があったことを告白した。
 しかし東京地裁は詳しい理由を示さずに調書を「疑義がある」と一蹴。予測自体も「客観的な信頼性はなかった」と結論付け、武藤氏の判断を追認した。
 「想定津波高が10メートル以下だったら、(安価で済むため)国の予測を踏まえた対策を取っていただろう」。元幹部はこう述べ、後悔の念を口にしている。
 被害者側の代理人の海渡雄一弁護士は判決の問題性を強く批判した。「国家機関の予測を考慮しなくていいと裁判所が言ってしまった。原発事故を許すような異常な判断だ」
 
<虚像の「15.7m」>東電強制起訴・無罪判決(上)白紙化の夏/経営懸念 対策先送り 河北新報  2019/09/21

 郷原氏は今回の判決はあれだけの事故が起きても、その責任を個人に帰することが困難であるという現行制度の限界を示唆していると指摘した上で、高度に技術が進んだ今日、大規模事故の原因を究明し公正に責任を追及するためには、法人の責任を問えない現行の業務上過失致死傷罪では不十分であるとして、現行法に特別法として組織罰の条項を加える必要性を強調した。
 
大規模事故には現行の業務上過失致死傷罪は不十分 原因究明と再発防止に両罰規定の導入を 郷原伸郎氏(弁護士) VOICE_NEWS  2019/09/21

 未曽有の原発事故を引き起こし、今なお収束していないにもかかわらず、誰1人刑事責任を問われない。市民感覚とのずれに驚くほかない。
 2011年3月の福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東京電力の旧経営陣3被告に対し東京地裁(永渕健一裁判長)は無罪判決を言い渡した。
 勝俣恒久元会長、武黒一郎元副社長、武藤栄元副社長の3被告。いずれも禁錮5年を求刑されていた。
 公判では大津波を予見できたか、対策を取れば事故を回避できたかどうかが最大の争点となっていた。
 
社説[東電旧経営陣に無罪]誰も責任問われぬとは 沖縄タイムス  2019/09/21

 避難者らが国や東電に損害賠償を求めた民事訴訟では、東電は津波を予見できたと判断し、電源の高台移転などの対策を取らなかった過失を認めた判決も出ている。
 今回の裁判は、東京地検の不起訴処分を受け、検察審査会で強制起訴が決まった。原発事業者に高い注意義務を求める市民感覚の表れといえるだろう。深刻な被害を出した事故の刑事責任をだれも負わないことは、ほかの原発事業者や経営陣に甘えも生みかねない。
 
福島原発判決 対策取らなかった責任は 信毎WEB  2019/09/23

▼悪いのは3人ではなく、システム全体だったということになる。判決は「発生前までの規制は絶対的安全性の確保までを前提とはしていなかった」と認定した。国、東電、研究機関がもたれ合い、安全性を後回しにする総無責任体制が存在した
「あらゆる可能性を考慮して必要な措置を義務付けられれば、運転はおよそ不可能になる」とも。言い出したらきりがない、という居直りが加わって未曽有の犠牲が出た。判決は意図せず原子力制御の限界を認めている
 
[大弦小弦]「東電無罪」の論理 沖縄タイムス  2019/09/23
 
「私たちの社会は何故このような判決を生みだしたのか」 鎌田慧 東京新聞  2019/09/24

◎サイエンスライター 添田孝史氏(55)
 判決は原発事業者の最高経営層の責任や安全対策への姿勢、見識に触れておらず、被害者らが期待していた司法の役割を果たしていない。不親切だと感じる。
 司法が科学の不確実性を裁くことができるのか、ずっと疑問だった。国の地震予測「長期評価」の信頼性を裁判所が「ない」と断言してしまっていいのか。
 地震の確実な予測は今の科学技術では不可能で、不確実さを前提にいかに対策を講じるかが重要だ。特に原発事業者は、万が一の事態にも備えが求められる。
 
<東電強制起訴・無罪判決>識者の視点/真実に光 裁判に意義 河北新報  2019/09/24

 また、Aさんは国が2002年に福島沖でМ8.2前後の津浪が発生する可能性を予測した「長期評価」を東電が無視し、対策を先送りした責任について、裁判官がやむを得ないとしたことに呆れたと。
 もしその時点で、電源を高地に移動していれば少なくとも過酷事故を防げたかもしれない。こんなことは小学生でもわかる。
 
東電旧経営者3名「無罪判決」に抗議 山田和秋 たんぽぽ  2019/09/24

 「原発は安全」として推進してきたのに、事故後に「当時の社会通念の反映である法令上の規制は絶対的安全性の確保を前提にしてはいない」などと呆れかえる判示で電力会社を救済するのは、卑怯な屁理屈だと思います。
 司法に希望をつなぐ気持ちはさらさらありませんが、道理が通る社会にするために、裁判所が自らの責任を果たし、全うするよう、市民は主張し続ける必要があります。
市民としてこの裁判の支援・応援を続けていきたいと思います。
 「社会通念」という得体のしれない概念は、権力者にとって都合よく使われるのが常ですが、その「社会通念」が、今や権力者は間違ったことでも何をしてものうのうとして肥え太っていいのだということになっているとしたら、私たちはその「社会通念」を変えていかねばならないでしょう。
 
東電刑事裁判元経営陣「無罪」判決は不当! 控訴を願う緊急ネット署名に賛同を! たんぽぽ  2019/09/24

 検察審査会の強制起訴事件では、証拠が足りず、有罪判決を得ることがむつかしいと説く論者も見られます。確かに、もともと検察がきちんと捜査していない事件は、裁判を遂行するのは難しいかもしれません。しかし、今回の事件では検察は起訴前提で捜査を完了させていたと評価できます。不起訴決定後に作られたおかしな証拠もありました。普通の検察官ならこういう証拠は開示しなかったでしょうが、石田弁護士たちは、すべての証拠を弁護側に公正に証拠開示しました。まさに検察の立場で、フェアな裁判を行おうとしたのです。
 だから、この事件は、裁判官がまともであれば、有罪の結論しかなかったはずです。誤った判決の結果は、端的に裁判所がおかしかったためであると私は考えます。裁判所は、勝手に争点をすり替え、自分に都合の悪い証拠は無視し、都合の良い証拠だけをかき集めて支離滅裂な事実を認定し、原発に求められる安全性のレベルをうんと切り下げたのです。その結果が、この無罪判決です。
 
東電刑事裁判無罪判決 裁判所はなぜ誤ったのか_海渡雄一_(東電刑事裁判 被害者代理人 弁護士) 福島原発刑事訴訟支援団  2019/09/29
 
控訴が決まりました!(指定弁護士・被害者参加代理人コメントあり) 福島原発刑事訴訟支援団  2019/09/30

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