【記事65490】東電強制起訴 「10m超津波想定せず」設備管理担当者(毎日新聞2018年1月26日)
 
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東電強制起訴 「10m超津波想定せず」設備管理担当者

 東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電旧経営陣3人の第2回公判が26日、東京地裁(永渕健一裁判長)であり、東電の幹部だった男性が「事故前に10メートル超の津波が起きるとは想定していなかった」などと証言した。初公判から約7カ月ぶりの再開。地裁は同日、6月までの15回の公判期日を指定し、秋までに二十数人の証人尋問を行う審理方針を明らかにした。
 昨年6月30日の初公判で、元会長の勝俣恒久被告(77)と、元副社長の武黒(たけくろ)一郎(71)、武藤栄(67)の両被告は無罪を主張した。
 今回出廷したのは、事故当時、原子力設備管理部の部長代理だった男性。東電が作成した事故調査報告書を取りまとめた。証人尋問では「事故の反省点は対策を講じてもそれを上回ることが起こりうるということ」と述べた上で、事故を防止するためには、防潮堤の建設や建物の防水対策が必要だったとした。
 一方で、事故前に社内で試算された「最大15・7メートル」の想定津波について「従来の想定より極端に高く、違和感を覚えた」と証言。2008年6月に東電の土木担当者が武藤元副社長らに10メートルの防潮堤建設を提言したとされる点については「対策を施していれば事故は防げた可能性がある」としつつ「非常に難しい仕事になったと思う」との見解を示した。
 この事故では、福島原発告訴団が12年に勝俣元会長らを告訴。東京地検は2度不起訴としたが、検察審査会が3人について起訴すべきだと議決し、16年に検察官役の指定弁護士が強制起訴した。初公判後、地裁は証人の選定などを進めていた。【近松仁太郎、伊藤直孝、岡田英】

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