【記事48050】政府未公開「勝俣調書」 年内にも提出判断 東京地裁が意向(東京新聞2016年10月13日)
 
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政府未公開「勝俣調書」 年内にも提出判断 東京地裁が意向

 二〇一一年の東京電力福島第一原発事故で津波対策などを怠り巨額の損失を出したとして、東電の個人株主が歴代経営陣に損害賠償を求めている株主代表訴訟の第二十八回口頭弁論が十三日、東京地裁で開かれた。大竹昭彦裁判長は、政府事故調査・検証委員会の「聴取結果書(調書)」のうち、政府が公開していない勝俣恒久元会長(76)や武藤栄(66)、武黒一郎(70)両元副社長らの調書について「年内にも提出命令を出すかどうか判断したい」と述べた。
 勝俣元会長らの調書は、原告側が「経営陣が津波対策を怠ったことを明らかにするのに不可欠」として文書提出命令を申し立てており、提出されれば原告側に開示されることになる。東電が防潮堤建設といった本格的な津波対策を先送りした理由など、新たな事実が出る可能性があると期待される。
 大竹裁判長はこの日の法廷で、一部が黒塗りで公開されている故吉田昌郎(まさお)・元福島第一原発所長と、経済産業省原子力安全・保安院(廃止)の担当者二人の計三人の調書の提示を政府に求めたことを説明。政府から今週中に地裁に全面的に提示されるとの見通しを示した。
 今後、裁判官だけで調書を確認し、政府が黒塗りとした妥当性について検討する。当時の東電の対応をさらに把握する必要があると判断すれば、勝俣元会長ら当時の幹部三人らの調書の提出命令を出す可能性がある。
 原告側代理人の海渡(かいど)雄一弁護士は弁論後の会見で「提出(命令)に向けた裁判所の並々ならぬ決意が表れている」と歓迎した。
 勝俣元会長ら三人は今年二月、業務上過失致死傷罪で強制起訴され、三人の調書は検察や検察官役の指定弁護士には提出されている。

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