【記事79160】原電社長「再稼働、自治体の合意得るまでできない覚悟」 東海第2原発(毎日新聞2019年1月8日)
 
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原電社長「再稼働、自治体の合意得るまでできない覚悟」 東海第2原発

 日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働を巡り、村松衛社長が2017年3月、周辺6市村の首長らとの非公開協議で「自治体の合意を得るまでは再稼働できない覚悟だ」と発言していた。6市村のうち、同県那珂市が情報公開請求で開示した公文書で明らかになった。
 原電は18年3月、再稼働に関して6市村に「実質的な事前了解権」を認める新安全協定を締結した。新協定は文書で「事前協議により実質的に事前了解を得る仕組みとする」と表記する一方、自治体間で賛否が分かれた場合の対応について明確にせず「玉虫色」の内容となっている。村松社長の発言はこの解釈に影響を与えそうだ。
 村松社長の発言は、6市村の首長らでつくる「原子力所在地域首長懇談会」の非公開協議であった。那珂市の報告書によると、新協定に関して「(再稼働などについての)合意形成を図るために協議会を設置する」としていた原電に対し、首長側が「合意形成を事前了解と表現できないのか」と質問。村松社長が「実質的な事前了解だと考えている」と述べた上で発言した。
 一方で、高橋靖・水戸市長の「水戸市が再稼働に反対と判断した時は、再稼働しないのか」との問いには、「事業者としての責任範囲の中で対応する。国の再稼働政策もあり、申し上げられる立場にない」と明言を避けた。
 新安全協定を巡り、原電の和智信隆副社長は昨年11月、「『拒否権』という言葉はない」と発言。6市村側の反発を受け、和智副社長は「不用意な発言で不愉快な思いをさせた」などと謝罪し、発言を撤回していた。
 原電は「非公開の協議でありコメントは差し控える」としている。【加藤栄、吉田卓矢】

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