【記事78770】<報告>「〜原発のあるムラから〜東海村元村長 村上達也さんに聞く」 この国はなぜ20年延長(東海第二原発)にこだわっているのか 問題だらけの東海第二原発 同じ過ちをしないために次の世代のためにも原発を止めるべき 加藤マリ子(「さようなら原発」あびこ)(たんぽぽ舎2018年12月21日)
 
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<報告>「〜原発のあるムラから〜東海村元村長 村上達也さんに聞く」 この国はなぜ20年延長(東海第二原発)にこだわっているのか 問題だらけの東海第二原発 同じ過ちをしないために次の世代のためにも原発を止めるべき 加藤マリ子(「さようなら原発」あびこ)

   日 時:12月13日(木)14時〜16時30分
   会 場:あびこ市民プラザホール
   主 催:「自主講座『市民自治』」、
    「選挙で変えよう」あびこ市民の会
   協 力:「さようなら原発」あびこ
   報告者:加藤マリ子(「さようなら原発」あびこ)

 村上達也さんは、問題だらけの東海第二原発がなぜ20年延長されるのか、1999年の「JCOの臨界事故」で何を見、何を考えたか、そして、「科学技術」と日本ではひとくくりで言うが、「科学」と「技術」は違うということを話されました。
 質疑では、原子力規制委員会が真の規制に転じるのは、世論が高まった時だとお答え下さいました。
 茨城県では原発について何も語らない知事が当選し、県議選でも原発に触れない保守、連合系が当選したとのこと。
 各種世論調査では60%以上が再稼働反対ですが、世論をもっと高めるのはどうしたら良いか、私たちの知恵の出しどころです。
 我孫子では、1月の市長選に<東海第二原発の延長稼働に反対を表明する市長候補を擁立し、訴えていきます。

以下、村上さんのお話の概要です。

1.<この国はなぜ20年延長(東海第二原発)にこだわっているのか>

 30年だった原発の10年延長の時、大変な作業がされた。そして今回の20年延長について「これは例外中の例外」と言っていた。
 しかし、東海第二は簡単に延長になった。原子力規制委員会は原子力界に降伏した。
1.原子力発祥の地、メッカの火は消せない
2.日立製作所のお膝元(政界、財界、労働組合)の原発を守る。3号機、4号機建設計画は今でも消えていない。
3.日本原電は資金力なし。破たん処理の表面化の先延ばし。
 しかし、30キロ圏内に96万人、5キロ圏内には8万人が住んでいる。福島第一原発事故の時は、20キロ圏内に8万人だったが、いまだに解決できない状態である。問題解決していないことを進めようとするのは気違い沙汰だ。
 2012年12月16日の衆議院選で自民党が復活し、安倍政権が誕生した日から、夜が明けない。政府は薩摩川内原発(鹿児島県)を稼働するとき、「政府の責任で」と言っていたが、責任を考えたら東海第二原発は動かせないはずだ。浜岡原発も動かせるものではない。

2.<問題だらけの東海第二原発>

 東海第二原発は問題だらけ。地盤、耐震性、電気系統、避難計画など。
 軟弱地盤(岩盤ではなく堆積層の上。海抜8メートル。福島第一より低い)。
 規制委員会と最後までもめていたのは基礎の杭をどこまで打つか。原電は40メートル、規制委員会は岩盤までの60メートルを求めた。防潮堤の基礎工事、など。
 避難計画は難民づくり計画だ。これから進めても40%以下。できたと言っても実際にはできていない。要援護者にバス1000台が必要。
 しかし、バスが無い、運転者が来てくれるか疑問。建前のみ。実際に起きた時には何もできない。
 東海村は震度6弱以上の地震発生率81%の地域。東海第二の基準地振動は作られた時、270ガルだった。2017年には1009ガルになったが、積水ハウスの4分の1の耐震性だ。
 ちなみに山崩れのあった北海道厚真町(1504ガル)、熊本(1580ガル)、宮城県内陸地震・栗駒(4022ガル)、中越(2004ガル)。
 いかに東海第二原発は耐震性が無いかわかる。

3.<1999年のJCO臨界事故で何を見、何を考えたか〜「国策」の世界>

 原子力界と政府のお粗末さ(日本では起きないという自惚れ)。アクセルだけの後進国的原子力政策。政治的非科学的精神と底の浅い「科学技術立国」。JCOだけに責任を負わせてあわてて蓋をし、一件落着にした。
 私は独自の判断で住民避難を敢行し、「原子力推進の旗は振らない」と言明した。その結果、2001,2005,2009年の村長選挙では「政・官・業」挙げて「村上落とせ!」と猛攻撃された。真の科学的精神は欠如している。暴走は続く。旧皇軍の如し。

4.<科学と技術は違う>

 日本の科学者は迎合している。エリートは自分の保身のために体制に寄っていく。官僚、役人の保身。エリートが国を滅ぼす。ヨーロッパでは、科学は哲学、数学、倫理などと一緒の分野になる。アルキメデスの時代から科学は危ないものであることをわかっている。
 日本は技術には長けているかもしれないが、科学的精神は欠けている。想定もせずやってきた。「過酷事故は考えられない」というところからスタートしている。安全規制体制が薄い。法律まではできていない。

5.<日本は発災地なのになぜ転換できないのか>

 昭和5年に日本軍は25万人だったが、終戦時には772万人となっていた。徴兵制はないが、いざ戦争になったら皆駆り出されたのだ。終戦時、中国にいた日本兵は179万人。日本は、朝鮮、中国、アジア侵略をけろっと忘れ、原爆、空爆、シベリア抑留を盾に被害者面、平和愛好国民面をしている。
 ドイツ国民は戦争責任をヒットラーに押し付けることもできた。
 しかし、そうしないで国民全体が罪を負い、その清算に努力してきた。
 だからドイツはヨーロッパに存在し続けられる。
 しかし、日本はアジアに存在し続けられるだろうか?歴史認識、科学的精神に向き合っていない。
 同じ過ちをしないために、次の世代のためにも、原発を止めるべきだ。

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