【記事70570】浜岡再稼働、事前了解勉強会に懸念 御前崎「立地市の立場ない」(静岡新聞2018年5月31日)
 
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浜岡再稼働、事前了解勉強会に懸念 御前崎「立地市の立場ない」

 中部電力浜岡原発(御前崎市佐倉)の地元4市(御前崎、牧之原、掛川、菊川)が中電と結ぶ安全協定のあり方勉強会の開催が決まったことについて、御前崎市内で懸念が広がっている。再稼働時の事前了解の範囲を立地自治体だけでなく、周辺まで広げて安全協定を結んだ他県事例を学ぶ狙いだが、市議会などから「立地市の立場がない」などと反発も出ている。
 「市民が聞いたら怒るだろう」。4市の首長らでつくる浜岡原発安全等対策協議会(4市対協)の総会が開かれた29日。先立つ理事会で勉強会開催が決まったことを知った職員はつぶやいた。
 勉強会は、日本原子力発電東海第2原発(茨城県)と立地する東海村、周辺5市が結んだ再稼働時の事前了解に関する安全協定について学ぶ。再稼働に慎重な掛川市の松井三郎市長が提案し、御前崎市の柳沢重夫市長が歩調を合わせた。
 同市の杉浦謙二議長は「勉強は悪いことではない」としつつ「勉強会の開催は、その先に協定の見直しがあると捉えられかねない。柳沢市長は立地市の立場をきちんと説明する必要がある」とくぎを刺す。4市対協の元委員の60代男性は「浜岡原発から半径31キロ圏の5市2町へも、同じ動きが広がるのでは」と懸念する。
 勉強会は6月以降に担当者レベルで開催予定。柳沢市長は「浜岡の協定は(再稼働の事前了解が)ある程度担保されていると考える。見直す考えはない」と強調する。これに対し、同市の別の職員は「早期に4市の首長の共通認識にしてもらわないと、なし崩し的に見直しにつながる」と危惧する。

 <メモ>東海第2原発では原発事故以前に東海村、隣接4市が安全協定を結んでいた。事故を受け今年3月、県庁所在地で30キロ圏の水戸市が新たに加わった。東海村と周辺市には権限に差がある。この協定とは別に同月、「再稼働の事前了解」に関する協定を全国で初めて締結した。2007年に結んだ浜岡原発の安全協定では、再稼働の事前了解に関する明文規定はないが、必要に応じた立ち入り調査や対策の要求ができることから御前崎市長は「ある程度担保されている」との見解を示す。4市には同等の権限が与えられている。


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