【記事49780】遠い「合格」、迫る「40年」 東海第2、営業運転開始38年(茨城新聞2016年11月28日)
 
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遠い「合格」、迫る「40年」 東海第2、営業運転開始38年

 日本原子力発電(原電)東海第2原発(東海村白方)は28日、営業運転開始から38年を迎える。再稼働の前提となる国の審査は中盤に入り、基準地震動(耐震設計の目安となる揺れ)の決定など一定の進展はあったものの、依然として「合格」は見通せない。国が定めた原則40年の寿命も迫る中、延長申請の期限までは残り1年を切る。
 東海第2は国内初の出力100万キロワットを上回る大型原発(沸騰水型)として、1978年11月28日に営業運転を始めた。
 東日本大震災では、津波で海水ポンプ1台が浸水した影響で、3台ある非常用発電機のうち1台が停止した。その後は一度も運転せず定期検査に入り、現在に至る。
 原電は再稼働の前提となる原子力規制委員会による適合性審査を2014年5月に申請した。停滞気味だった審査は本年度に入り開催頻度が増え、これまでに計35回開かれた。
 既に、17・1メートルとする基準津波(原発ごとに想定する最大規模の津波)や基準地震動が了承され、地震・津波に関する審査は大きな山を越えた。
 一方で、古い原発特有の課題となるケーブルの防火対策や、防潮堤を越えてくる津波に備えた対策など、設備関係の議論はあまり進んでおらず、合格までには相当な期間を要する見通しだ。
 40年超え運転の是非も今後、焦点の一つになる。東京電力福島第1原発事故後、原発の運転期間は原則40年とされ、規制委が認めれば一度に限り最大20年間延長できる。
 原電の村松衛社長は「まずは審査が最優先」と延長申請は審査終了後に判断する考えを示すが、運転延長するには40年を迎える1〜1年3カ月前までに規制委に申請する必要があり、東海第2は17年11月が期限になる。
 再稼働への「地元同意権」などを定めた安全協定については、同村や水戸市などの立地・周辺市町村は被害が広範囲に及んだ福島の事故を踏まえ、原電に対して枠組み拡大を求めているが、協議はほとんど進んでいない。
 両者は「県や地元自治体に発電所の今後にかかる判断を求める時の前まで」に協定を見直すとする覚書を結んでおり、今後、規制委の審査の進展に合わせて見直し協議も本格化するとみられる。
 自治体の避難計画づくりも難航している。対象となる原発から半径30キロ圏の住民は全国最多の約96万人に上り、県外の受け入れ先市町村はまだ決まっていない。要配慮者の支援体制に加え、大地震などとの複合災害を想定していない点など多くの課題が積み残されている。
 橋本昌知事は24日の定例会見で、再稼働の是非について「当面は審査の結果を待つ状況。先のことをとやかく言う段階ではない」と語り、40年超え運転については「(規制委で)安全が確認されれば、あとは地元が納得するのかにかかってくる」と述べた。(戸島大樹)

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