[2017_07_28_03]トリチウム汚染水を海に流すな、柏崎刈羽原発の再稼働を認めるな −田中委員長が「はらわたが煮えくり返って」東電に恨み節− 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会! その142 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)(たんぽぽ舎2017年7月28日)
 
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トリチウム汚染水を海に流すな、柏崎刈羽原発の再稼働を認めるな −田中委員長が「はらわたが煮えくり返って」東電に恨み節− 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会! その142 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

 この数週間の田中俊一委員長の記者会見の発言が奇異で記者たちも戸惑っている。
 3年以上前からトリチウム汚染水を海に流せと言ってきたのにそれを表明した東電はけしからんと怒り、柏崎刈羽原発6,7号機を優先審査して来たのに東電の安全文化を疑って再稼働を認める訳にはいかないと言う。

1 トリチウム汚染水の海洋放出
 7月14日に東電川村会長が「汚染水海洋放出方針判断」表明。東電はすぐに「トリチウム水の海洋放出時の影響に関し、科学的・技術的な見地に基づく現行の規制・基準に照らし問題ないという、原子力規制委員会田中委員長他のご見解と同様である」と言い訳文を発表。
 全漁連が19日に川村会長らを呼んで抗議したのは当然。一方、田中俊一委員長は同日の記者会見で、川村会長の言動を「はらわたが煮えくり返る」と非難し、「事故の当事者として私が求めていた地元と向き合う姿勢と違う」と東電を責める。
 これはおかしい。例えば日経新聞の2016年2月の記事。

 原子力規制委員会の田中俊一委員長は(2016年2月)13日、事故から5年になる東京電力福島第1原子力発電所を視察した。浄化処理した汚染水を約1千基ものタンクに保管している実態に触れ、「見たらわかるようにタンクをつくるスペースはない。海に捨てるという持続的な形をつくらないと廃炉は進まない」と述べた。

 田中委員長は3年も前から何度も「基準値以下に薄めたうえで海洋に放出する必要性を強調」していたのだ。
 トリチウム汚染水については、イギリスやインドほかで人体影響の具体例が報告されている。長年、原発や再処理施設からトリチウム汚染水が放出されているが、2013年12月時点で汚染水に含まれていたトリチウムの総量は8×10の14乗(=800兆ベクレル)で、2009年度にイチエフから放出した量(2兆ベクレル)の400倍だ。これだけ大量のトリチウム汚染水を安易に海洋に放出させてはならない。排出基準の妥当性に根拠なく、本来なら総量規制をするべきだ。原発推進者たちがかってに生物への被ばくを強要してはならない。
 そう考えれば、吉野復興大臣でさえも海洋放出に反対するのに、規制行政のトップが3年も前から希釈して海洋放出せよと主張していたことが、漁業関係者にとって「はらわたが煮えくり返る」思いであろう。

2 柏崎刈羽原発の再稼働
 「あれはあれこれはこれとは行かぬ」と言っていたのに、イチエフ対応を延び延びにしながら柏ア刈羽原発の優先審査を進めてそろそろ最終段階を迎えた原子力規制委員会。が、田中委員長が東電へのトリチウム騒動の怒りで、再稼働に後ろ向きの発言をし出した。
 「1F(イチエフ)の後始末がきちんとできないような事業者には、新たに柏崎刈羽の運転といったような、そういう原子力事業をやる適格性というものの確信はできないですねという話も申し上げているわけです」と。
 だったら直ちに柏崎刈羽の審査を中止すべきだ。東電の安全文化を問うなら、まずはイチエフ収束と廃炉と事故検証と被害者救済に専念させるべきだ。あるいは、5年間も東電を甘やかしてきた原子力規制委員会・規制庁の安全文化を問うべきだ。
 それとも東電と心中したくないからぐずぐず言っているだけなのか。7月27日−28日の柏崎刈羽原発現地調査の後の原子力規制委員会の対応をしっかり監視せねば。

KEY_WORD:KASHIWA_:FUKU1_:川村隆: