【記事18186】全原発の耐震性 再評価を 柏崎刈羽原発調査委 班目春樹委員長 「柏崎刈羽」基準上げ 耐震性高める補強 電力会社、重い負担も(日経新聞2007年8月6日)
 

※以下は上記本文中から重要と思われるヶ所を抜粋し、テキスト化したものである

 −−被害状況の調査のポイントは。
 「これまで明らかになっている被害は(耐震基準が一般建築物並みの)Cクラスばかり。(原子
炉など基準がより厳しい)AやAsクラスが壊れていないかがポイントだ。一見壊れていないように見える部分でもゆがみや傷があるかもしれない。配管が損傷している可能性はある」
 −−小さな変形や傷はどの程度までなら再使用を許すのか。
 「(原発直近で大きな地震が起きた)初めてのケース。その場その場で判断していかなければならない。単に技術的な『安全』だけでなく、地元の理解を含めた『安心』でないと運転再開はできない」
 −−原発の心臓部である原子炉圧力容器が再使用できない場合は廃炉もあり得るのか。
 「一般的に圧力容器は再使用できないとされるが、今の技術でやろうと思えばできる。柏崎刈羽原発は比較的新しいプラントで、今まで聞いている情報では廃炉はないんじゃないかと思う」
 −−Cクラスの変圧器で火災が起きた。基準見直しは必要ないのか。
 「所内電源の変圧器はCクラスで十分。ただ、鎮火に時間がかかって住民の方の不安を招いたのは反省点。自前の消防設備で消火できる体制を整える必要がある」
 −−活断層の評価が甘かったという指摘がある。
 「活断層について(国の)チェック体制は反省しなければいけない。また、海中に断層がある場合は見逃す可能性がある。震源を特定しない地震の想定が低すぎた。今後は過去に起きた地震よ
りも何割増しかにしないといけない」
 「柏崎刈羽の場合は多分、(建物の基礎上で)八百ガル(ガルは揺れの強さを示す加速度の単位)に耐えるものにする必要があるだろう。ほかの発電所についても耐震性の再評価が必要になる。海中の断層を全国で調べるいいチャンスだ」
−−いつまでに報告をまとめるのか。
 「一年は軽くかかる。補強工事や補修などやるべきことは報告を出さずとも、東京電力に逐一やってもらう」
(聞き手は福岡幸太郎)

KEY_WORD:新潟県中越沖地震:東京電力柏崎刈羽原子力発電所:経済産業省の調査・対策委員会:委員長の班目春樹・東京大学教授(原子力工学):中部電力の浜岡原子力発電所:新潟県の斎田英司・危機管理監:CHUETSUOKI: