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柏崎刈羽原発、免震棟が性能不足か 東電14年に把握

 東京電力は14日、原子力規制委員会の会合で、柏崎刈羽原子力発電所6、7号機(新潟県)の事故対応拠点である免震重要棟が、新規制基準で求められる性能を大幅に欠くことを明らかにした。これまで想定される地震の揺れの一部には耐震性不足だとしていたが、どの揺れに対しても不足だと説明を変えた。2014年に判明したが、社内連絡が悪く報告が遅れたという。
 会合では規制委の更田豊志委員が「これまで受けてきた説明と著しくトーンが異なる」と発言し、東電の対応を批判。これまで報告が遅れた原因などを改めて説明するよう東電に求めた。
 東電の姉川尚史常務執行役は会合後、「嘘の説明をしたわけではないが、十分ではなく誤解を与えた。これまでの経緯を含めてきちんと説明したい」と述べた。
 免震重要棟は、07年に新潟県で起きた中越沖地震を受けて09年に初めて柏崎刈羽原発に設けられた施設。免震装置で地震による揺れを吸収して損傷を防ぎ、原発事故のときの対応拠点となることを想定している。その後、福島第1原発にも建設され、11年の事故の際に機能を果たした。
 東電によると、柏崎刈羽原発の再稼働に向けて安全審査を申請した13年に設備の耐震性を試算。敷地内で想定する最大級の地震の揺れ「基準地震動」の7種類のパターンのうち5つで、十分に揺れを吸収できないことがわかった。
 その後、14年に別の条件で試算し、7パターンすべてで不十分であることが判明したが、規制委に報告しなかった。試算を担当した部門と設備の安全審査の間で情報が共有されず、報告が遅れたという。 会合では規制委側から「福島事故の時から社内の連携に問題がある」との指摘も出た。今後、東電から原因や事実関係を聞き取り、改めて安全審査を進める方針だ。
 柏崎刈羽6、7号機は福島第1と同じ型式の「沸騰水型」と呼ぶ審査の先頭を走り、昨年夏にも安全審査に合格する見通しだったが、防潮堤の地盤が地震で液状化する懸念が出るなどして遅れている。立地する新潟県の米山隆一知事はかねて「福島事故などの徹底的な検証がされない限り、再稼働の議論はできない」と表明している。

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