戻る 柏崎刈羽原発の免震重要棟 耐震基準未満 戻る
 
初めに
 
 2017年2月15日の規制委員会の会議において、東京電力から、柏崎刈羽原発の免震重要棟が基準地震動7ケースすべてに耐えられないという事が、初めて規制委に報告された。そして、この耐震性不足の件は3年前の2014年の時点で分かっていたことでもあった。

 
柏崎刈羽原発の状況
発電炉名 炉型 出力(万kW) 運転開始 運転年数 ※1 事故時の状況 ※2 事故時の状況詳細 現在の状況 ※3 現在の状況の詳細 停止開始 停止期間
柏崎刈羽1 BWR 110 1985/09/18 31年 運転中 運転中 停止中 定期検査中 2011/08/06 5年7ヶ月
柏崎刈羽2 BWR 110 1990/09/28 26年 停止中 定期検査中 停止中 停止中 2007/07/05 9年8ヶ月
柏崎刈羽3 BWR 110 1993/08/11 23年 停止中 定期検査中 停止中 停止中 2007/07/16 9年7ヶ月
柏崎刈羽4 BWR 110 1994/08/11 22年 停止中 定期検査中 停止中 停止中 2007/07/16 9年7ヶ月
柏崎刈羽5 BWR 110 1990/04/10 26年 運転中 運転中 停止中 定期検査中 2012/01/25 5年1ヶ月
柏崎刈羽6 ABWR 135.6 1996/11/07 20年 運転中 運転中 停止中 定期検査中 2012/03/26 4年11ヶ月
柏崎刈羽7 ABWR 135.6 1997/07/02 19年 運転中 運転中 停止中 定期検査中 2011/08/23 5年6ヶ月
 
※1:運転開始から現在(2017.3.11)までの年数
※2:事故とは2011.3.11福島第一原発事故、停止中は自動停止もしくは定期検査による停止中、
   廃炉中は廃炉作業中の意味
※3:現在とは2017.3.11とする。

 
柏崎刈羽原発の免震棟問題の経緯(1964〜2017)

 
(1)1964/06/16 新潟地震(M7.5)発生
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新潟地震_火災と液状化_大きく傾いた県営川岸町アパート Wikipe  1964/06/16

 
(2)1978/09/29 原子力委が耐震設計審査指針を策定
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原子力委員会が「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」を策定した。

 
(3)1981/07/20 原子力安全委が耐震設計審査指針を改訂
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当指針はココ
原子力安全委員会が静的地震力の算定法等について見直しを行い耐震設計審査指針を改訂した。

 
(4)1985/09/18 柏崎刈羽1号機運転開始
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(5)1983/05/26 日本海中部地震(M7.7)発生
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(6)1993/07/12 北海道南西沖地震(M7.8)発生
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(7)1995/01/17 阪神淡路大震災(兵庫県南部地震(M7.3))発生
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波打つように倒壊した阪神高速神戸線 時事通信  1995/01/17

 
(8)1997/07/02 柏崎刈羽7号機運転開始
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 1-7号機の合計出力821万キロワット、1カ所の原発としては世界最大規模となる。

 
(9)2001/01/06 原子力安全・保安院が新設
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「資源エネルギー庁の特別の機関」として原子力安全・保安院が新設された。

 
(10)2001/07/03 原子力安全委 耐震設計審査指針類の見直し作業開始
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 原子力安全委員会の「原子力安全基準・指針専門部会」に「耐震指針検討分科会」を設置。耐震設計審査指針類の見直し作業を進める

 
(11)2004/10/23 新潟県中越地震(M6.8)発生
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(12)2006/09/19 原子力安全委 新指針 決定
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 原子力安全委員会が新指針(原子力発電所の耐震設計審査指針の改定)を決定した。
 
原発の耐震設計(02-02-05-05) 安全委  2008/12/01

 
(13)2007/07/16 新潟県中越沖地震(M6.8)発生
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 ・原発で世界最大の揺れか 基準地震動の設計想定の2.5倍 最大2058ガル観測
 
原発 鎮火に2時間 国の指針 不明確 揺れ680ガル想定2.5倍 毎日新聞  2007/07/17

 
(14)2007/12/06 柏崎刈羽原発の断層評価 03年に「過小」認識
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柏崎刈羽原発の断層評価 03年に「過小」認識 日経新聞  2007/12/06

 
(15)2008/01/08 消えた議事録 住民側、国隠ぺい疑う 元職員「ないはずがない」
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 原子力安全委員会が柏崎刈羽原発の設置時の安全審査の議事録を保管していないという通知が新潟日報に届くも、その後、東電倉庫で議事録の写しが発見された。
 
消えた議事録 住民側、国隠ぺい疑う 元職員「ないはずがない」 新潟日報  2008/01/08
 
「緊急時対策室」の耐震基準引き上げ 保安院方針 新潟日報  2008/08/13

 
(16)2008/09/23 柏崎原発 基準地震動最大2300ガルに
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 1−4号機で2300ガル、5-7号機で1209ガル、新たな基準地震動から算定した原子炉建屋の基礎部の揺れは606-845ガルと設定、全7基、1000ガルに耐えられるよう耐震強化工事を実施中。
 
柏崎原発 基準地震動最大2300ガルに 新潟日報  2008/09/23

 
(17)2009/12/28 7号機が地震から2年5カ月ぶりに営業運転再開
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(18)2011/03/11 東日本大震災(東北地方太平洋沖地震(M9.0))発生
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福島第1原発「炉心溶融が進んでいる可能性」 保安院 日経新聞  2011/03/12
 
津波に耐えた原発 女川 建物補強 改善重ねる姿勢を重視 東奥日報  2011/09/01
 
県内施設安全性を問う2 東通原発 免震棟なし 大間は免震構造を採用 東奥日報  2011/12/16
 
地震_免震超高層に潜む危険_AERA_2012年4月2日号 AERA  2012/03/26
 
免震超高層への不安 高山峰夫  2012/03/27
 
マグニチュード8の衝撃、高層ビルの耐震性能は無意味?! 阿修羅  2012/03/28
 
免震棟9原発で未整備 大飯は15年に完成予定 福井新聞  2012/06/14
 
「原子力の憲法」変更 規制委設置法 付則で「安全保障」目的追加 東京新聞  2012/06/21

 
(19)2012/10/18 9千年間に26回大津波 新潟・佐渡島に堆積物 柏崎刈羽原発に到達か
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9千年間に26回大津波 新潟・佐渡島に堆積物 柏崎刈羽原発に到達か 東奥日報  2012/10/18

 
(20)2013/05/13 原子炉直下に活断層の疑い 柏崎刈羽 遠のく再稼働
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原子炉直下に活断層の疑い 柏崎刈羽 遠のく再稼働 東奥日報  2013/05/13

 
(21)2013/7/8 原発の新規制基準策定
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 新規制基準概要
 商業用原子力発電炉に係る新規制基準が策定、耐震設計審査指針は新基準に吸収される。
 
原発再稼働、5原発10基が申請 新規制基準施行で 日経新聞  2013/07/08
 
「やらせメール」問題の玄海 再稼働審査を申請 九電3、4号機 赤旗  2013/07/13

 
(22)2013/09/27 柏崎刈羽原発の安全審査申請時に試検討(1)を実施
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 以下に該当箇所※の抜粋を示す。
2.原子炉設置変更許可申請時の基準地震動Ssに対する試検討(1)
 2013年の原子炉設置変更許可申請時において,免震重要棟に対して基準地震動Ssによる試検討を実施している。その際,発電所本館側の地盤の地震応答解析状況を踏まえると,地盤の減衰効果が大きいと想定されたため,簡易的に建屋基礎下(T.M.S.L. 9.20m)に直接地震動を入力することとした。その結果,免震層の最大水平変位は,Ss-2及びSs-3のケースのみ評価基準値である75cmを下回った。

 最後の結論部(Ss-2及びSs-3のケースのみ評価基準値である75cmを下回った)を分かりやすく言い換えると、『7つあるケースのうち5ケースで基準値を上回った。』となる。
 ※PDFファイル4ページ目下部(2.原子炉設置変更許可申請時の基準地震動Ssに対する試検討(1))

 
(23)2014年 免震重要棟の耐震性能の試検討 7ケース全てで基準超え 
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 免震重要棟の耐震性能の試検討(2)を2014年に行い、7ケース全てで基準値超えとなる。そして、その結果を今(2017年)にいたるまで、規制委に報告をしなかった。
 以下に該当箇所※の抜粋を示す。
3.原子炉設置変更許可申請後の基準地震動Ssに対する試検討(2)
 免震重要棟のさらなる安全性の向上を図る観点から,免震層の応答変位を低減させる必要があり,ダンパー等の追設の検討を実施した。その中で,基準地震動Ssに対する検討として,1号炉の西山層以深のデータを用いて,解放基盤表面に基準地震動Ssを入力して地震応答解析を実施した。
 その結果,免震層の最大水平変位は,建屋基礎下への直接入力の結果よりも大きくなり,すべての基準地震動Ssにおいて評価基準値である75cmを上回った。

※PDFファイル5ページ目(3.原子炉設置変更許可申請後の基準地震動Ssに対する試検討(2))

 
(24)2015/03/13 東洋ゴム 免震データ改ざん 謝罪記者会見
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東洋ゴム、「免震データ改ざん」_2007年の不正の教訓は生かされなかった 東洋経済  2015/03/18
 
南海トラフの長周期地震動 高層ビル横揺れ2〜3メートル 政府初推計 東奥日報  2015/12/18

 
(25)2015/12/25 川内原発 免震棟新設計画を撤回 規制委 説明要求
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川内原発 免震棟新設計画を撤回 規制委、九電に説明要求へ 東奥日報  2015/12/26
 
社説 九電は納得のいく説明を 原発免震棟撤回 西日本新  2016/01/30
 
申請の11原発 免震機能省く 事故対策拠点 川内審査受け縮小 東京新聞  2016/02/07
 
原発 免震棟 簡易施設で審査パス 「川内」先例 コスト抑える 東京新聞  2016/02/07
 
九電、耐震施設を新設へ 川内原発、免震棟建設せず 西日本新  2016/03/25
 
九電に追加説明要求 「耐震で免震どう補うか」 佐賀新聞  2016/06/01
 
免震重要棟がないままで川内原発を稼働するな たんぽぽ  2016/06/11
 
泉田裕彦新潟県知事が廣瀬直己東京電力社長を叱責 IWJ  2016/07/05

 
(26)2016/10/18 防潮堤が液状化の恐れ 地震対策見直し審査遅れ必至
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柏崎刈羽原発 防潮堤が液状化の恐れ 地震対策見直し審査遅れ必至 東京新聞  2016/10/18
 
免震機能なし緊急時対策所」で認可してはいけない! たんぽぽ  2016/10/21
 
川内原発・免震重要棟なしの運転は危険 たんぽぽ  2017/01/11
 
<川内原発>緊急棟「耐震」に 規制委、設計変更を許可 毎日新聞  2017/02/08

 
(27)2017/02/10 免震重要棟の耐震性不足の問題を規制委事務局に初めて報告
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 新規制基準適合性審査の進め方に係る意見交換において、免震重要棟の耐震性不足の問題を、東電から規制委の事務局に初めて伝えられた。
 議事要旨

 
(28)2017/02/14 規制委審査会合 免震重要棟の耐震性不足問題議論
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 第442回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合において、柏崎刈羽原発の免震重要棟の耐震性不足の問題が議論された。
配布資料(全て)
耐震性不足関連の配布資料
会議映像
議事録
 ※議事録から問題となった部分を以下に抜粋する。文中の赤字は引用者が強調の意味でつけたものである。当抜粋は上記会議映像の2時間10分30秒〜2時間17分30秒(約7分間)に相当するものである。

○更田委員 この試検討の(2)の結果というのは、これまでの私たちが受けてきた説明とは著しく異なると、これを知っていて今までの説明をされてたんですか、試検討の(2)の結果というのは、これを踏まえて、今まで東京電力の免震棟の説明をしてきましたか。
○東京電力(金谷) 東京電力の金谷でございます。これにつきましては、1号炉の値を入力して検討した中で、ダンパーの検討をした中で実施してございまして、この結果につきましては、報告等に出てはおりませんで、最初の申請時の際に実施しておりました直接入力を主体的に説明をしてきてございます。
○更田委員 いや私が伺っているのは、試検討(1)についてですから、その解放基盤表面に基準地震動を入力して地震応答解析を実施した。その結果、全ての基準地震動Ssにおいて評価基準値である75cmを上回った。
 この結果を東京電力が把握したのは、いつで、私たちはこれを審査チームから聞いている限りでは、10日金曜日に聞いたとき、私は報告を受けているんですけども、いつ把握したんですか、東京電力は。
○東京電力(金谷) 東京電力の金谷でございます。
 この計算結果につきましては、2014年に出ておりますが、この際、全てにおいて基準地震動、評価基準値を下回ると書いてございますけれども、Ss-2のEW方向と2方向、2WAY方向ございまして、その検討の中にはSsでもつものも一応はございまして、Ss-1〜7という観点で言いますと、全てもたないという結果になってございます。
 その結果を踏まえまして、この申請書の記載等に反映をうまくされてなかったのは、こちらの社内での連絡が不足していたものと思ってございます。
○更田委員 いや緊対所に関して受けてきた一連の説明と著しくトーンが異なる、免震棟に対してこういった理解があったら、これまで緊対所に対して受けてきた説明と一貫性を欠くように思うんですが。プラント側と建設側がうまくコミュニケートしてます、東京電力。
○東京電力(金谷) 東京電力の金谷でございます。
 これらの情報につきましては、ダンパーの組み合わせによりまして、応答変位を低減させるという継続検討の中での試検討というふうに捉えておったところもございまして、この結果が、1号機を想定したという過程ではございますけれども、この結果も踏まえての申請の言い方にうまく反映されてなかったというところは問題かと、課題かというふうに解釈してございます。
○更田委員 山形さん。
○山形審議官 すみません。委員が静かなトーンで言われているんで、私から厳しいトーンで言いたいと思うんですけれども、これは東京電力、昔から言われていることですね。プラント側と土木建築側の連携が非常に悪いというか、仲が悪いというあれですね。これは1F事故の後、私が東京電力本社に行ったときからずっとそうで、プラントの部長と土木の部長がいつもけんかしている。そういう状態が続いているんで、非常にずっとこれまでの審査の過程でも、面談のときも言ってますけど、連携がとれてない、ちゃんととるように言ってきてました。
 この間の防潮堤の液状化の話でも、土木の部隊は防潮堤もたないという説明をして、プラント側はいや浸水はドライサイトですという説明がしばらく続いてたし、全く連携がとれていないと。
 今回もそうですよね。ここ一体どうなっているんですか、これは午後の技術的能力のところでギリギリやりますけれども、ここのところは一体どうなっているんですか。この2014年に解析して、それがなぜ社内で共有できてないのか、ここをしっかり説明してください。
○東京電力(姉川) 東京電力、姉川です。
 液状化のことについても、今回の基準地震動についても、十分連携ができていなかったがゆえに、的確に規制庁さんに御説明できていないので、これは非常に申し訳ない限りです。
 ただ一般論として、山形さんから、うちの土木建築関係とプラント側の連携が悪いということについては、これは福島事故、福島第一の事故を受けて改善に努めておりまして、部長同士が反目することもありませんし、今現在、設備管理部の体制の中では、プラントと土木建築は一括して見ておりますので、単に専門領域によって各コミュニケーションが悪かったのが、改善のためのアクションをとってないわけではありません。
 ただ、専門領域がかなり特徴がある者同士なので、それを十分私自身も連携をとるように改善がし切っていなかったということは、結果がこのように液状化等の基準地震動の関係で出ておりますので、これは改善しなければいけないことだと考えておりますし、今回の件は申し訳なく思っております。


 
(29)2017/02/15 田中規制委員長「東電は重症」=柏崎原発の耐震性問題
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田中俊一委員長 「もっと謙虚にやってもらわないと審査できない。非常に重症だと思っている」と非難した。
 
田中規制委員長「東電は重症」=柏崎原発の耐震性問題 時事通信  2017/02/15
 
柏崎刈羽原発 新潟知事ら東電に不信感 耐震性説明で 毎日新聞  2017/02/15

 
(30)2017/02/15 柏崎免震棟は耐震不足 東電14年に把握 説明遅れ
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柏崎刈羽原発、免震棟が性能不足か 東電14年に把握 日経新聞  2017/02/15
 
新潟・柏崎刈羽原発 耐震説明に誤り 東電 毎日新聞  2017/02/15
 
緊急時対策所を調査=柏崎耐震性「東電に説明責任」−規制委 東京電力  2017/02/17
 
免震棟、事故対応拠点とせず=柏崎刈羽原発、審査で表明―東電 時事通信  2017/02/21
 
免震重要棟が使えない? 山峰夫  2017/02/23
 
柏崎市長「再稼働を認めぬ可能性も」 免震棟耐震不足で 東京新聞  2017/02/24
 
またも東電が隠ぺい工作。柏崎刈羽原発の免震棟に浮上した大問題 まぐまぐ  2017/02/24

 
(31)2017/2/28 柏崎刈羽原発 申請書の出し直し指示 規制委、東電社長に
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柏崎刈羽原発 申請書の出し直し指示 規制委、東電社長に 毎日新聞  2017/02/28
 
「審査申請再提出を」 柏崎・免震棟問題 規制委、東電社長に要請 東奥日報  2017/03/01
 
柏崎市長、免震棟耐震問題で規制委に要請書 「東電の体質危惧」 産経新聞  2017/03/02
 
免震棟問題、東電に厳しい声 柏崎原発・地域の会で副所長が謝罪 新潟日報  2017/03/02
 
東京電力に原発を動かす資格はない 「免震重要棟が基準地震動にさえ耐えられない」 たんぽぽ  2017/03/30
 
東電“免震"問題に米山知事「安全管理意味ない」 テレ朝  2017/04/19
 
柏崎原発審査 責任者明確化求める 規制委 東電に対し 新潟日報  2017/04/21
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