[2019_01_25_02]<女川原発>防災訓練 少ない参加者・実効性不安(河北新報2019年1月25日)
 
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<女川原発>防災訓練 少ない参加者・実効性不安

 東北電力女川原発(女川町、石巻市)から30キロ圏内の7市町と県が24日に実施した原子力防災訓練は、事故発生から、避難途中の線量測定と簡易除染、避難者受け入れに至る一連の流れを確認した。参加者からは課題を指摘する声が相次ぎ、数万人規模に上るとみられる避難の実効性に不安を残した。
 避難退域時検査場所に指定された東松島市の鷹来(たかぎ)の森運動公園では、避難者の線量測定と簡易除染を初めて実施。同市矢本の立沼、前里両地区の住民が仙台市泉区に避難する想定で、地区住民や自主防災組織の役員ら18人が参加した。
 バスや自家用車など避難車両8台が検査場所に着くと、防護服を着た県の関係者ら約50人が車両表面の線量を測定、高圧洗浄機で簡易除染した。バスの簡易除染は約5分30秒かかった。
 体に付着した放射性物質の測定機器を載せた車も使い、汚染が確認された避難者がウエットティッシュで手を拭く流れも確かめた。
 県によると、検査後に避難住民に配る通過証が配布されないトラブルがあった。
 東松島市大塩の高橋裕光さん(64)は「除染が遅かった。いざという時に対応し切れるのか」と指摘。同市矢本の永沢克之さん(66)は「時間をかけてもやらなくてはいけない作業だが、今日のように寒い日だと大変だ」と振り返った。
 県原子力安全対策課の長谷部洋技術補佐は「実際は数万人の避難が想定される。実効性を高めるため訓練を重ねたい」と話した。
 住民団体「女川原発の再稼働に反対する東松島市民の会」の山下司郎代表(72)は「参加者が少なく実効性の検証にはほど遠い。再稼働に向けた条件整備にされても困る」と訴えた。
 石巻市の石巻赤十字病院は、原発構内で内部被ばくしたり、けがを負ったりした発電所員4人が搬送されたとの想定で訓練した。
 同院や東北大病院、仙台医療センターの医師ら約50人が参加。救急車の到着後、体表面の汚染を検査した。石巻赤十字病院の市川宏文医療社会事業部長は「複数の医療班が役割を分担できた。傷病者が多数だった場合はどうなるだろうとも感じた」と話した。
 女川町では原発から約5キロ離れた竹浦、桐ケ崎両行政区の住民24人が栗原市へバスで避難した。離島の訓練は悪天候で一部が中止に。出島の住民約10人は島内の放射線防護対策施設に避難。江島では約20人が自衛隊のヘリコプターに乗り、避難の段取りを確認した。

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