[2019_02_21_03]<福島第1原発>2号機、初の接触調査 固着デブリ、取り出し課題(河北新報2019年2月21日)
 
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<福島第1原発>2号機、初の接触調査 固着デブリ、取り出し課題

 東京電力福島第1原発の廃炉作業は、最難関の溶融核燃料(デブリ)取り出しに向けた一歩を踏み出した。東電が13日に2号機で実施した初の接触調査で、デブリとみられる堆積物のうち小石状などの一部は比較的簡単に動かせた。一方で動かせなかった堆積物もあり、複数の取り出し手法の組み合わせやデブリの全体像把握の必要性といった課題が浮き彫りになった。
 接触したのは2号機原子炉格納容器内部の堆積物で、2018年1月の前回調査で確認されていた。15メートルまで伸びるパイプを挿入し、遠隔操作で動く「指」を備えたつり下げ式の装置で、底部6カ所と作業用足場4カ所の計10カ所を調査した。
 このうち動かせたのは底部5カ所と足場2カ所。いずれも1〜8センチ程度の小石状か、構造物らしき棒状の堆積物だった。東電が14日公開した動画には、「指」が小石状の堆積物を複数集めて持ち上げたり裏返したりする様子が映っている。
 動かせなかった3カ所は粘土状に見えていた場所。「指」では全く挟めなかったことから、溶岩が平らに固まったような状態と考えられ、床面などに固着している可能性もある。
 東電は堆積物の性状が異なる理由を「核燃料が溶け落ちた後、急に冷やされた場合はひび割れて小石状になり、ゆっくり冷えた場合にのっぺりとした(粘土状に見える)状態になったのではないか」と推測する。

<新年度少量採取>

 2号機は19年度下期にデブリの少量採取を控える。21年に始まる本格的な取り出しの初号機になる可能性も高く、今回の調査で、小石状の堆積物については「つまみ出す」方法が有効と判明したと言えそうだ。
 問題は動かなかった堆積物にどう迫るか。「指」の接触跡も見当たらず、一定程度の硬さがあるとみられ、採取や取り出しにはカッターやドリルのような機器を開発する必要がある。

<「3次元計測を」>

 東電は少量採取の対象を小石状に限るか、それ以外も含めるかは「今後検討する」と慎重だ。接触調査と同時に測定した放射線量や温度のデータを分析し、機器の開発状況も考慮して決めるとみられる。
 格納容器底部の今回の調査範囲は底部全体の2%にとどまる。デブリの広がりや厚さなど分布状況はまだまだ未解明だ。
 福島第1廃炉推進カンパニーの小野明最高責任者は1月31日の記者会見で、19年度下期に少量採取と併せて実施する格納容器の追加内部調査の重要性を強調。「デブリを3次元計測し、どこにどれぐらいあるのか全体的な状況が分かるマップを作りたい」と語った。

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