[2019_03_16_01]熊本地震データ捏造…阪大元准教授、調査中死亡(読売新聞2019年3月16日)
 
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熊本地震データ捏造…阪大元准教授、調査中死亡

 大阪大は15日、工学研究科の秦吉弥・元准教授が執筆した、熊本地震(2016年)や東日本大震災(11年)についての研究論文計5本で、観測データなどの捏造や改ざんの不正があったとする調査結果を発表した。阪大は「不正は単独で行われた」とし、論文の出版社や共著者に論文を取り下げる意向を伝えた。
 阪大によると、秦元准教授は2017年12月に退職し、大学による調査中に死亡した。死因は明らかにしていない。
 秦元准教授は16年4月16日未明に起きた熊本地震の本震(最大震度7)の揺れを、熊本県益城町に自ら設置した地震計で観測したとし、論文が米地震学会誌に掲載された。ところが17年9月以降、外部から「データに疑義がある」との申し立てが相次ぎ、大学は調査委員会を設置し、この論文を含む複数の論文について不正の有無を調査した。
 その結果、米地震学会誌掲載の論文に使用した地震波データは、益城町にある別の地震計による観測データを基に捏造したものと判断した。一方、論文の共著者だった後藤浩之・京都大准教授らについては「不正への関与はなかった」と断定した。気象庁はこのデータを震度の判定などに用いておらず、「捏造による影響はない」としている。
 阪大によると、秦元准教授は調査に対し「実際に測定して論文を書いた」と不正を否定したが、自らの観測データは提出しなかった。現地に地震計が設置された痕跡もなかったという。
 調査委は、このほか4本の論文で、近くの地震計のデータを転用・加工していたと認定、17本についても捏造、改ざんが強く疑われるとした。

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 読売新聞は2017年4月15日朝刊3面「熊本地震1年」の記事で、熊本県益城町役場周辺の住宅被害に関し「同町内の一部は、この波を2倍に増幅させる弱い地盤だったことも分かり、『局所的に非常に強い揺れに見舞われた可能性が高い』と、京都大の後藤浩之准教授(地震工学)は分析する」と報じましたが、この部分は今回、大阪大が捏造と認定した論文の地震波データに基づく内容でした。この部分を削除します。

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