[2019_05_24_07]核燃税交付金 定額30億円に 県「減らさないよう考慮」 自治体「増額に応じず」不満(東奥日報2019年5月24日)
 
 県が原子力関連施設の事業者に課税し、立地・周辺自治体に配分する県核燃料物質等取扱税(核燃税)交付金について、県は本年度から交付総額を30億円の定額とした。税収が減少しても交付額が従来より減ることがないよう考慮した−と県側は説明する。だが、交付額の上限撤廃と増額を県に求めてきた関係自治体は「増額に応じず、われわれの思いをくんでいない」と不満をあらわにし、双方の考えはかみ合っていない。(山内はるみ、工藤洋平)

 県によると、交付金制度は核燃税施行に併せて2012年度に創設した。18年度までの交付要綱では「30億円(12、13年度は20億円)」または「税収の18%」のいずれか低い額を上限に配分する仕組みだった。実績として14年度以降は毎年度30億円を15市町村に配分してきた。
 ただ、今後を見据えると、現行の核燃税条例の実施期間(19〜23年度)の税収見込み額が約976億円で、前期(14〜18年度)の約964億円と比べて大幅な増加ではない上、19年度単年度では約193億7600万円と18年度より約6億6100万円減の見込みとなっている。この先、税収が減ると交付額が30億円を下回る可能性があり、税収減に影響されない安定的な制度とするため今年4月に要綱を改正。「税収の18%」を削除して定額30億円とし、交付額を維持することにしたという。
 同交付金を巡っては、原子力施設が立地する下北半島のむつ、大間、東通、六ヶ所の4市町村が地域経済が危機的状況にあるとして、県に対し、上限を撤廃して配分を厚くするよう要望してきた経緯がある。
 今回の県の対応について、むつ市の宮下宗一郎市長は23日の取材に「私たちの要望と反対のことをしている。(下北の5市町村長らでつくる)下北総合開発期成同盟会でも(増額を)要望する方針だが、その前に結論を出された。甚だ不本意だ」と反発した。
 県原子力立地対策課の藤田裕士課長は「今後、施設の状況変化や税条例の変更などによる税収の大幅な増加など環境変化があった場合は、交付金の見直しを検討することになるのではないかと考えている」と話している。
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