[2021_02_10_02]柏崎刈羽原発不正行為問題 規制委、安全審査はやり直さず(毎日新聞2021年2月10日)
 
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柏崎刈羽原発不正行為問題 規制委、安全審査はやり直さず

 原子力規制委員会が、東京電力社員による柏崎刈羽原発でのセキュリティー上の不正行為を把握しないまま、同原発の審査で安全管理について定めた「保安規定」を了承していた問題で、更田(ふけた)豊志・規制委委員長は10日の定例記者会見で「セーフティー(原発の安全性)と(核物質の)セキュリティーは(問われている本質が)異なる」と述べ、審査をやり直さない考えを示した。
 この問題は、同原発の所員が2020年9月20日、自分のIDカードが見つからず、他人のカードを使って不正に原発の中央制御室に入室。東電はその翌日にこの不正行為を、規制委の事務局を担う原子力規制庁に連絡した。
 しかし、規制庁はすぐに規制委に報告しなかったため、規制委は9月23日の同原発の安全審査で、その不正行為を知らずに保安規定を了承していた。規制庁から報告を受けたのは、今年1月19日だった。
 更田氏は会見で、IDの不正使用に関して東電が対応手順を定めていなかったことから、核物質を扱う事業者のルールを定めた「核物質防護規定」に違反するとの認識を示した。ただ、「(不正入室は)保安規定に定めている内容に影響を及ぼす事案ではない。今回の事案を保安規定に関連付けさせようとすると、別件逮捕のような形になってしまう」と話した。
 一方、規制庁は10日、同原発のフィルターベント(排気)の装置で基準を満たしていない部品を使っていたため、東電が今後部品を取り換えると明らかにした。必要な試験を経た部品を使っておらず、規制庁の検査で判明した。【荒木涼子】
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