[2021_03_10_02]東日本大震災 11日で10年 茨城、原発事故の影響残る(茨城新聞クロスアイ2021年3月10日)
 
参照元
東日本大震災 11日で10年 茨城、原発事故の影響残る


■復興進む

 地震や津波などによる甚大な被害をもたらした東日本大震災は11日、発生から10年を迎える。最大震度6強を観測した茨城県内では、この10年で復旧・復興が進んだが、東京電力福島第1原発事故の影響は色濃く残り、農林水産物の一部では出荷制限が続く。インフラ関連では、次の災害への備えに重点が置かれ、大洗町などでは防潮堤の工事が進められている。津波被害が甚大だった岩手、宮城、福島3県を中心に死者、行方不明、震災関連死は計約2万2千人に上る。復興庁によると、東京電力福島第1原発事故などで計約4万1千人が今も避難中だ。

■工事は残り1キロ

 茨城港大洗港区(大洗町)の水産埠頭(ふとう)地区内では、防潮堤の水門工事が進んでいる。海中の水門下部は、ほぼ工事を終えた。海中のため、気候や潮の流れを見て作業を進めてきた。現場近くには、水門のパーツが積まれている。水門入り口は幅約20メートルで、津波が来た際にはゲートを下ろす。
 同港区の防潮堤建設は、県が2016年12月に着工。県港湾課と茨城港湾事務所大洗港区事業所によると、計画区間は約4キロで、高さは海抜4.5メートル。数十年から百数十年に一度の頻度で発生が予想されるL1津波を想定している。
 20年度中に完成予定だったが、一部が遅れ、水門周辺の約1キロの工事が残る。地元住民との調整に時間を要したためで、21年度中の完成を目標としている。
 また、地元と協議を続けてきた同港区北側のホテルや旅館が並ぶ宮下地区の約500メートル区間について、県は20年度の完成予定地域から除外。既存の護岸のかさ上げなど行わないこととし、町主体で防災の対策対応を整理するという。

■液状化対策完了

 県内では津波対策事業として、防潮堤のかさ上げなどの工事が進められてきた。住宅や幹線道路を控えた特に緊急性の高い33カ所で整備され、北茨城市と大洗町の2カ所を除く31カ所は本年度中に完成する。
 インフラではほかに、被災した庁舎の建て替えや耐震補強が進められ、18年度までに日立、水戸、石岡各市の新庁舎が完成。旧耐震基準の市町村施設はほぼ改修された。液状化被害に見舞われた潮来、鹿嶋、神栖の3市では国の復興交付金を活用して液状化対策工事が行われ、各市とも19年度に工事が完了した。
 2月13日深夜には、福島県などで震度6強、茨城県10市町村で震度5弱を観測する地震が発生。次の災害はいつ起こってもおかしくない状況で、万全の備えが求められている。

■出荷制限8品目

 震災や同原発事故に伴う茨城県への避難者は2916人(2月1日現在)。このうち、福島県からが2877人で最も多い。公営住宅や民間の賃貸住宅、親戚・知人宅などで暮らす。
 原発事故の影響による農林水産物の一部出荷制限は、特用林産物や内水面の魚介類、野生鳥獣の肉類など計8品目で続いている。

【県内の震災被害状況】
■人的被害
死者 24人
行方不明者 1人
災害関連死 42人
負傷者 714人

■住宅被害
全壊 2637棟
半壊 2万5054棟
一部損壊 19万400棟
床上浸水 32棟
床下浸水 611棟
(3月1日現在)

茨城新聞社
KEY_WORD:FUKU1_:HIGASHINIHON_:FUKUSHIMA2021_:TSUNAMI_: