[2021_04_09_02]カナダ核ごみ受け入れ構想「処分場未決時の備えに」 日本側関係者が証言(北海道新聞2021年4月9日)
 
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カナダ核ごみ受け入れ構想「処分場未決時の備えに」 日本側関係者が証言

 日本の原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)をカナダで最終処分する構想を巡り、計画を主導したカナダの元首相側から相談され日本の原発関係者を紹介した日本のPR会社幹部が、匿名を条件に北海道新聞の取材に応じた。幹部は「数十年後も日本で最終処分場が決まらなかった場合に備えて、まず民間レベルで内々に計画を進めていくつもりだった」と、日本で処分場が決まらないことへの懸念から、カナダ側の相談に乗ったことを明らかにした。
 PR会社は企業などの広報やコンサルティング業務を行い、海外拠点も持つ国内大手。幹部によると、2019年末ごろ、カナダのクレティエン元首相が関係者を通じ、核のごみ受け入れ構想について相談してきた。元首相は「実現に向け、カナダ政府を含めた関係者をまとめていく」との意向を示していたという。
 幹部は、閣僚経験があり原子力に詳しい元政治家から、日本原子力産業協会の服部拓也元理事長を紹介され対応を協議。服部氏らは、核のごみに関する国際条約に「自国内で最終処分することが原則」と定められていることから、「カナダでの処分は実現可能性が低い」との見解を示した。
 ただ、原子力規制庁国際室によると、2国間の政府レベルで合意できれば、国際条約上も核のごみを他国で最終処分することは可能という。幹部は「核のごみは必ず処分しなければならない。このまま10年、20年、30年後も日本で処分場が決められなかった場合を考えると、海外での処分も選択肢の一つとして残しておくべきだ」と考え、服部氏とともに、昨年4月にカナダで開かれる予定だった会合でクレティエン氏に会うと決めた。だが、会合の開催は新型コロナウイルスの影響で見送られた。
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