[2021_07_30_02]経済団体が原発の新増設を注文 エネルギー基本計画の改定案(毎日新聞2021年7月30日)
 
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経済団体が原発の新増設を注文 エネルギー基本計画の改定案

 総合資源エネルギー調査会(経済産業相の諮問機関)の分科会は30日、経団連など4団体を招き、国のエネルギー政策の中長期方針を定める「エネルギー基本計画」の改定案に関する意見を聞いた。経済団体の代表者は、21日に経産省が公表した改定案では記載を見送った原発の新増設や、積極的な原発の活用を政府側に求めた。
 改定案は、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする政府目標の達成に向け、再生可能エネルギーの拡大を重視。原発については新増設の記載を見送ったが、30年度の総発電量に占める原発の比率は現行計画を維持した。意見公募(パブリックコメント)を経て、10月までに閣議決定する見通し。
 分科会では、日本商工会議所特別顧問の広瀬道明・東京ガス会長が「政府目標の実現を見据えれば、原発は再稼働のみならず建て替えや新増設が必要ではないか」と主張。原則40年、最大60年までとされている原発の稼働期間についても延長を求めた。経団連の椋田哲史専務理事も「原発は引き続き重要。新増設をエネルギー政策で明確に位置付けるべきだ」と同調した。
 一方、再エネについては、河野太郎規制改革担当相直轄の「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」で委員を務める高橋洋・都留文科大教授が「先進諸国に比べれば高くない。更なる高みを目指すべきだ」と主張。30年度の再エネの電源構成について、改定案では現行計画の22〜24%から36〜38%に引き上げたが、上限を撤廃して再エネを一層活用するよう求めた。
 太陽光発電事業者でつくる太陽光発電協会の代表者は「思い切った(太陽光発電の)導入支援策があれば、積み上げも可能だ」と述べた。
 経済2団体も再エネ拡大には理解を示したが、再エネを普及するために適用されている固定価格買い取り制度に関して、電気利用者のコスト増を招いていると警戒。「産業競争力を損なわないよう対応を講じるべきだ」(経団連)と指摘した。
 こうした意見を踏まえて経産省は改定案を修正するが、大幅な変更はない見通しだ。【岡大介】
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