[2025_08_29_02]原発地域振興特別措置法の適用範囲 半径30キロ圏内に拡大へ(NHK2025年8月29日)
 
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原発地域振興特別措置法の適用範囲 半径30キロ圏内に拡大へ

 17:41
 政府は29日、原子力関係閣僚会議を開き、法律に基づく財政支援の対象を原発の半径30キロ圏内の自治体に拡大する方針を決めました。

 政府は29日午前、総理大臣官邸で原子力関係閣僚会議を開きました。
 この中で、原発周辺の自治体の公共事業に対する国からの補助金を定めた「原発地域振興特別措置法」の適用範囲について、現在の原発の半径10キロ圏内から30キロ圏内に拡大する方針を決めました。
 2011年の東京電力福島第一原発の事故の後、避難計画の策定といった防災対策が求められる重点区域が原発から30キロ圏内に拡大された一方、財政支援の対象は10キロ圏内のまま変更されず、原発が立地する道県の知事などから改善を求める声があがっていました。

 また、29日の会議では東京電力が再稼働を目指す柏崎刈羽原発について運営に対する国の監視を強めるため、内閣官房副長官をトップとする専門のチームを立ち上げることも決まりました。
 新潟県の花角知事は県民の意見を把握する取り組みを行ったうえで、来月以降に再稼働の是非に関する判断を示すとしていて、今回の国の対応が地元の同意にどのような影響を与えるかが焦点になります。

 支援対象の自治体 22道府県の約150市町村に

 財政支援の対象が原発の半径30キロ圏内に見直しされることで、支援を受けられる自治体は現在の14道府県の76市町村から22道府県のおよそ150市町村に広がる見通しです。
 内閣府の担当者は「なるべく早く実施したい」としているものの、具体的な時期は現時点で明らかにしていません。

 対象に指定されれば、道路や港、学校などを整備する際の国の補助割合が通常の50%から55%に引き上げられるなどの支援を受けられることになります。
 政府はことし2月に閣議決定した新たなエネルギー基本計画で原子力を最大限活用していく方針を打ち出し、発電量全体に占める原子力の割合を現在の2023年度末の8.5%から2040年度の時点で「20%程度」まで引き上げることにしています。
 今回の財政支援の対象拡大は新潟県の東京電力柏崎刈羽原発をはじめ、各地の原発の再稼働に向けた後押しにつなげるねらいもあるとみられます。

 石破首相「再稼働への理解が進むよう全力で対応を」

 石破総理大臣は「原子力発電所の安全性と必要性についての理解が深まるよう十分かつ丁寧な説明や情報発信を行うとともに原子力災害時の住民避難を円滑にするための避難路や屋内退避施設の整備など避難対策の実効性を向上していくことが重要だ」と述べ、原子力防災体制を充実・強化するよう関係閣僚に指示しました。
 また「原子力発電所の再稼働については安全性の確保を大前提とし、原子力規制委員会が新規制基準に適合すると認めた場合のみ、地元の理解を得た上で再稼働を進めるのが政府の一貫した方針だ。関係閣僚と東京電力は電力の安定的かつ効率的な供給の確保に向けて柏崎刈羽原発の再稼働への理解が進むよう全力で対応してほしい」と求めました。

 東電社長 柏崎刈羽原発再稼働に向け新たな資金支援

 東京電力ホールディングスの小早川智明社長は原子力関係閣僚会議のあと、記者団に対し、柏崎刈羽原発の再稼働に向けた新潟県での取り組みについて「原発で発電した電気が首都圏に供給されていることから、地域経済のさらなる発展に資する取り組みを求める声があると認識している」と述べ、地域経済の活性化に向けた資金面での支援などを新たに行うことを明らかにしました。
 具体的な内容は今後、地元との協議を踏まえて決めるとしています。

 また29日の会議では柏崎刈羽原発の安全対策などの運営全般に外部の視点を取り入れるための会議のメンバーに「原子力損害賠償・廃炉等支援機構」の経営改革支援室長が加わることも明らかにされました。
 小早川社長は「運営会議に加え、今後は国が設置する監視チームの指導のもと、管理体制の強化にしっかり取り組んでいく」と述べました。
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