[2016_10_26_04]地震があるたびに原発の心配をしなければならないこと自体が自治体や住民に過剰な負担を強要するもの 鳥取地震と島根原発 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)〕(たんぽぽ舎メルマガ2016年10月26日)
 
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地震があるたびに原発の心配をしなければならないこと自体が自治体や住民に過剰な負担を強要するもの 鳥取地震と島根原発 上岡直見〔環境経済研究所(技術士事務所)〕


○今回の鳥取地震に関して、政府や電力事業者は原発に何も影響がなかったかのような態度を示しているが、物理現象を軽視した書類判断に過ぎない。
 規制委員会の「原子力災害対策指針」では、当該原子炉施設等立地道府県において震度6弱以上の地震が発生した場合は「警戒事態」に該当し、住民防護のための準備を開始しなければならない。
 熊本地震や鳥取地震に関しては、川内原発や島根原発はむしろ隣接県に近い位置にあり、特に島根原発が立地する松江市は隣が鳥取県である。隣接県で震度6弱以上の地震が発生しても書類上の区分では「警戒事態」に該当しない。
 しかし、今回の鳥取地震に関しては、原子力規制委員会と内閣府は原子力事故合同警戒本部を立ち上げている。
 「指針」に基づき立地道府県で震度6弱以上の地震があると設置を判断するが今回は鳥取県境に近い岡山県内に日本原子力研究開発機構の人形峠施設があるためと警戒本部を設置したとしている。特に異常がないとして警戒本部は約2時間後に解除されているが、立地道府県ではないが県境に近いという理由ならば、なぜ島根原発が該当しないのか。

○島根原発はたまたま停止中かつ燃料が装荷されていない状態だったが「指針」ではもし燃料が装荷されている場合は冷温停止していても「警戒事態」の対象になる。
 また使用済燃料貯槽の水位が一定の水位まで低下した場合も「警戒事態」の対象となる。周辺の自治体では、地震被害に対する対応だけでも手に余るのに、これに原発の対応をしなければならないとなったら本当に対処不能である。

○鳥取地震は活断層が発見されていない箇所で発生しており、活断層の有無を基準としても、いつどこで原子炉が損傷するような地震が起きるかわからない。
 地震があるたびに原発の心配をしなければならないこと自体が自治体や住民に過剰な負担を強要するものであり、むしろ「災害対策基本法」「原子力災害対策特別措置法」の趣旨(※)に則るならば原発撤去こそが国と都道府県の責務である。
   (※)【第1条】原子力災害から国民の生命、身体及び財産を
            保護することを目的とする

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