[2021_06_29_06]再稼働を進めるための島根原発2号機の適合性審査終了に強く抗議します 島根原発の再稼働に対して 私達住民の答えはNO!です 芦原康江(島根原発1,2号機差し止め訴訟原告団長) 2021年6月23日(たんぽぽ舎2021年6月29日)
 
参照元
再稼働を進めるための島根原発2号機の適合性審査終了に強く抗議します 島根原発の再稼働に対して 私達住民の答えはNO!です 芦原康江(島根原発1,2号機差し止め訴訟原告団長) 2021年6月23日

 2013年12月に設置許可変更申請書が出され、およそ7年半にわたって行われてきた島根原発2号機の新規制基準適合性審査は、本日原子力規制委員会による「審査書」案が示され、終了することとなりました。
 これまでの審査の中では、主要な論点として、活断層評価と基準地震動の評価、そして津波や火山の噴火、竜巻、重大事故対策、技術的能力などが規制委員会によって審査されてきましたが、深層防護第5層に位置付けられ、住民の安全を守る最後の砦である「避難計画」については、審査の対象から外されたままの状態で進められてきました。このような審査のあり方自体に大きな異議があります。
 また、適合性審査の合格に関して、田中前規制委員長は「基準の適合性は見ているが、安全だということは私は申し上げません」。
 更田現規制委員長は「政府が新規制基準を『世界で最も厳しい水準』等と説明することについては『違和感がある』。『あの厳しい基準に合格しているのだからこの炉は安全です』という脈絡で語り出すと、それはある種の新安全神話だ」と述べています。
 では、島根原発2号機の新規制基準の合格は、この施設の安全性に関して規制委員会として何を保証するのか、どこまで保証するのか、明確に具体的に責任を持って説明すべきです。
 審査における主要な内容については、私達は、差し止め訴訟の中で、中国電力による評価が過小評価であることを度々主張してきました。
 中でも、「宍道断層」の評価については、私達は1998年から1,2号機の運転差し止めを求める裁判の中で、あまりにも過小評価であることを主張し続けてきました。
 その間、活断層長さは延伸し続け、今回の適合性審査の結果、「不確かさの考慮」で39kmまで伸びました。
 中国電力は、安全側に立って評価したと言うのでしょうが、活断層の東端から更に東には鳥取沖西部断層が連なっています。
 その鳥取沖西部断層の西端側を途中から短くし、両断層の離隔距離を6kmとしています。
 さらに、同じ地殻構造の中に位置することを示す両断層を連なる重力異常を無視した結果、両断層の連続も連動も否定してしまっています。
 原子力規制員会が、この中国電力の説明をうやむやなままにし、了解したのは断じて容認することができません。
 それでも、審査の過程では中国電力の安全性軽視の姿勢が次々に露呈し、規制委から相当な不信感を持たれていたことも事実です。
 例えば、津波の影響を審査する中で、中国電力は防波壁に漁船がぶつかることを全く想定していませんでした。
 このことについて原子力規制委員会は、「漁船がぶつかった場合は重大な影響がある。だから漁船は無いことにする。と言う考え方を出してくるというのはどういうお考えなんですかね。」と厳しく指摘しています。(第894回審査会合:2020.9.3)
 しかし、中国電力の姿勢に不信感を抱きながら、原子力規制員会が原発再稼働を粛々と進めるために、島根原発2号機の「審査書」案を出したことに対しては、私達は強く抗議したいと思います。
 彼らが目を瞑ろうとする代償は、いったい、誰が払うのでしょうか?
 島根原発の再稼働を進めることに対して、私達住民の答えはNO!です。
 今後も、私達は勝訴のために全力で裁判に取り組んでいくとともに、各自治体が再稼働にNO!の答えを出すよう求め続けたいと思います。
KEY_WORD:SHIMANE_:TSUNAMI_: