【記事52810】原子力規制委員会が「非公開」で臨時会議開催_前橋地裁判決「原発事故 国・東電に責任 賠償命令」に敏感に反応_木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)(たんぽぽ舎メルマガ2017年3月22日)
 
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原子力規制委員会が「非公開」で臨時会議開催_前橋地裁判決「原発事故 国・東電に責任 賠償命令」に敏感に反応_木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

 3月17日の前橋地裁判決については多々報道された。原子力損害賠償群馬弁護団の「福島第一原発事故損害賠償請求事件 前橋地裁判決 弁護団声明」は以下で読める。
 さて、この画期的判決に対して、早々と原子力規制委員会が面白い動きを示した。営業日で言えば判決日の明くる日3月21日(火)夜に、早速臨時会議を開催するのだ。

<引用開始
第71回原子力規制委員会 臨時会議の開催について(お知らせ)
日時 平成29年3月21日(火)18:45〜19:15
議題 福島第一原子力発電所事故に伴う国家賠償請求訴訟(前橋地裁)の判決について   その他
 本会議は、原子力規制委員会の所掌事務に関する訴訟の対応方針について扱うものであるため、行政機関の保有する情報の公開に関する法律5条に定める不開示情報を扱うことから、原子力規制委員会議事運営要領7条の規定に基づき、会議を公開しないこととします。
 また、要領8条の規定に基づき、資料(不開示情報を含むものに限る。)及び議事録についても同じ理由により、公開しないこととします。
 そのため、会議終了後速やかに議事要旨をホームページにおいて公開します。
本件の問合せ先 原子力規制庁 原子力規制庁
○会議に関すること 長官官房 総務課 会務担当 TEL:03-5114-2108
○内容に関すること 長官官房総務課法務室 TEL:03-3581-3352(代表)
>引用終了

 東京電力ばかりでなく、「規制の虜」(規制機関が被規制側の勢力に実質的に支配されてしまうような状況)と国会事故調報告書で指弾されたように、「国は規制権限を行使すれば事故を防げたのにしなかった。著しく合理性を欠き国賠法上、違法だ」、「国の責任が東電に比べて補充的とは言えず、国が賠償すべき慰謝料額は東電と同額だ」(判決要旨からの引用)と、国が厳しく規制行政責任を問われているのだから規制委が検討するのは当然だ。

 しかしながら、これを非公開でする理由が分からない。
 既存原発を稼働させる為の「新規制基準」の議論を表向きは公開でしながら、司法で指摘された重要な問題の議論を非公開でする理由が分からない。
 「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資すること」(原子力規制委員会設置法)を目的として設置されたはずの原子力規制委員会が、「規制委委員と官僚たち並びに原子力マフィアの地位と財産の保護」を目的として規制行政をしているのではないか。
 原子力規制委員会が正に「規制の虜」になっている証明だ。
 福井地裁や大津地裁で「新規制基準」とその審査について「緩やかに過ぎ合理性を欠く」と厳しく判定された時には司法は司法と無視していた原子力規制委員会が、今回はなぜ敏感にかつ非公開で相談するのか。
 まるで、原子力規制委員会と規制庁による「共謀」ではないか。
 なお、判決は津波の予見可能性を認めたが、だからと言って国会事故調が警告した地震による配管破断がなかったと断じられた訳では全くない。
 地震による事故についても続けて追及しないといけない。

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