[2021_02_28_01]福島第1 高濃度の放射性汚泥 安全管理に疑問符 東電 容器の状態把握できず(東奥日報2021年2月28日)
 
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 東京電力福島第1原発で、汚染水を浄化処理する過程で発生する高濃度の放射性汚泥(スラリー)の保管容器について、安全管理が不十分との指摘が上がっている。放射線による劣化に加え、東電が近年、容器内の汚泥の状態を把握できていないことも明らかになり、原子力規制委員会の検討会では「健全な保管が担保されていない状態だ」との意見がでた。
 福島第1原発では、溶融した核燃料(デブリ)冷却のための注水や地下水、雨水の流入で汚染水が発生。多核種除去設備(ALPS)で浄化後、タンクで保管している。
 管理で懸念されているのは、浄化前の過程で発生する高濃度の放射性物質を含む汚泥を入れるポリエチレン製の特殊な容器(容量約3立方メートル)。この容器はさらにコンクリートの箱に入れるが、強い放射線による容器の劣化や、汚泥の膨張による水濡れの恐れがある。
 東電は汚泥が発する放射線の影響から、容器の健全性を保つことができる期間を最短10年9カ月と評価。早く使用を始めた17の容器で2025年に期限を迎えるという。
 検討会で、東電は定期的に漏えいの有無を確認しているが、最後に容器内の状態を調べたのは18年とした。これに対し、原子力規制庁は「その後の経年劣化が考慮されていない」と指摘。東電は、至急再評価を進めるとしている。
 更田豊志委員長は「いずれ移し替えが必要になるだろうが、それを繰り返すのではなく、安定した保管法の提案が必要だ」と述べた。
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