【記事18663】揺らぐ安全神話 柏崎刈羽原発 断層からの異議 1号機訴訟30年 <7> 最高裁の関心 「劇的変化」をどう判断(新潟日報2008年5月4日)
 

※以下は上記本文中から重要と思われるヶ所を抜粋し、テキスト化したものである

 四月九日夕、弁護士・和田光弘(五三)は、受話器から聞こえてきた言葉に息をのんだ。
 「中越沖地震を踏まえた主張の書面を早く出してほしい。国側にも反論を書いてもらうので」
 相手は、東京電力柏崎刈羽原発1号機設置許可取り消し訴訟を担当する最高裁書記官。取り消しを求め上告中の住民側代理人の和田に書面提出を催促してきたのである。
 裁判長の指示だという。
 最高裁では通常、法廷で原告、被告が証拠に基づいて論争する事実調べ、つまり弁論は行われない。法的な誤りや事実誤認がないかどうかを判断するのが中心だ。開廷もせず上告を棄却する例が多い。
 しかし、今回は書面に対して国にも反論させるという。「異例のことだから驚いた」と和田。上告後二年四カ月を経て、弁論の再開に初めて光が見えたのである。
 四月十四日、新潟市中央区の新潟第一法律事務所。和田から報告を聞いた主要メンバーは沸き立った。三十年前の提訴時から代理人を務める弁護団長今井敬弥も「最高裁の重い扉を何とか開かせたい」と感慨を込めた。
 それでも和田はあくまでも慎重だ。「反論を書かせるということは、イコール再開ではない」
 
 最高裁の選択肢は現実的には「上告棄却」あるいは下級裁判所への「差し戻し」の二つというのが大方の見方だ。結論がどちらにせよ、中越沖地が突き付けた現実を真正面から受け止める姿勢を示すかどうかが注目される。

KEY_WORD:弁護士・和田光弘:中越沖地震:東京電力柏崎刈羽原発1号機設置許可取り消し訴訟:弁護団長今井敬弥:一審新潟地裁の裁判官・新潟大大学院教授の西野喜一:「上告棄却」:「差し戻し」:CHUETSUOKI: