[2019_03_29_01]北本連系、新線稼働でも容量不足なお 国は再増強を推進(北海道新聞2019年3月29日)
 
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北本連系、新線稼働でも容量不足なお 国は再増強を推進

再生可能エネルギー拡大狙い

 北本連系線の容量が60万キロワットから90万キロワットに増えたことで、道内で全域停電(ブラックアウト)発生を回避できる可能性が高まった。ただ、90万キロワットでも九州や四国と本州を結ぶ連系線に比べるとまだ容量が少ない。経済産業省などは道内での再生可能エネルギー導入拡大も狙い、さらなる増強を進める考えだ。
 昨年9月の胆振東部地震では、道内最大の火力発電所、苫東厚真火発(胆振管内厚真町)が停止。直後に北本連系線を通じて本州から一時緊急送電されたが、ブラックアウトに陥った。停電の原因を調べた第三者委員会は、同線の増強がブラックアウト防止に有効との見解を示しており、増強で道内の電力供給がより安定することになる。

さらに60万キロワット増強で本州送電も

 経産省などは今後さらに最大60万キロワットの増強を検討している。北本連系線に新たに期待されるのが、道内の太陽光や風力など再生エネの電力を本州に送る役割。天候による変動が大きい太陽光や風力の電力は規模の小さな道内の送電網では受け入れに限界があり、大消費地の本州に送電する必要があるためだ。
 京都大大学院の山家公雄特任教授(経済学)は、北本連系線をさらに60万キロワット増強すれば、海上に風車を建てる洋上風力発電を道内で180万キロワット増やせると試算する。道内の風力発電の能力は計38万7千キロワット(2017年度)なので、5倍以上にできることになる。

ドイツでは送電線の整備費用を全国で負担

 国の認可法人、電力広域的運営推進機関(東京)は27日、60万キロワットの増強には最大3100億円かかるとの見通しを示した。風力発電などが盛んなドイツでは、送電線の整備費用を全国で負担する制度があるといい、経産省も同様の仕組みを検討している。

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