[2019_02_25_01]中西・経団連会長「原発、公開の討論を」 本気か? 民間の申し入れは拒否(毎日新聞2019年2月25日)
 
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中西・経団連会長「原発、公開の討論を」 本気か? 民間の申し入れは拒否

 原発をめぐる中西宏明・経団連会長の発言が物議を醸している。中西氏は年明けから「真剣に一般公開の討論をすべきだと思う」と意気込んでいるが、経団連は脱原発を目指す民間団体の公開討論の申し入れを断るなど、立場を超えた対話には消極的な姿勢のまま。政府の動きも鈍く、エネルギー政策をめぐる国民的議論の行方は見えない。
 中西氏は25日の記者会見で、国民的議論が必要だとする理由について「日本の高品質電力の基盤が崩れるという危機感がある」と述べた。東日本大震災以降、原発の再稼働はなかなか進まず、二酸化炭素(CO2)を排出する火力発電への依存が高まっている。再生可能エネルギーの普及に必要な送電網整備などへの投資も進んでおらず、このままでは安定的な電力供給が脅かされるとの懸念がある。
 年明けからの中西氏の発言を受け、民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(原自連)は1月以降、2度にわたって公開討論を経団連に要請した。しかし経団連は今月18日に「4月をめどにエネルギー政策の提言をまとめているところで、応じられない」と回答。原自連の木村結事務局次長は「中西氏が提唱した公開討論会は誰を想定しているのか。国民の姿がないように思う」と疑問を呈する。
 原自連の要請を拒否したことについて、中西氏は25日、「エネルギー問題全体を議論する仕掛けをつくらないと。(脱原発団体と経団連では)水と油だ」と政府主導で国民的議論を進めるべきだとの考えをにじませた。一方、世耕弘成経済産業相は先月29日の閣議後の記者会見で「国民の理解を得るというのは従来、取り組んでいる。具体的に追加的なアクションは考えていない」と述べ、政府主導の論議には消極的な姿勢を示した。
 25日の記者会見では中西氏が陳謝する場面もあった。14日の中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)視察の際、原発再稼働への理解が進まない背景について報道陣から問われ「原発と原爆が頭の中で結びついている人は、『違う』と分離するのは難しいのかなと思う」と発言したことに、地元自治体などが反発。「表現自体は非常に不適切だった」と、自らの非を認めた。【横山三加子】

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